人手不足なのに賃金が上がりにくい理由
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2018年09月16日 小笠原誠治の経済ニュースゼミ
米国もそうですが、日本では人手不足であるにも拘わらず米国以上に賃金が上がりにくい状況が続いています。 何故なのでしょう? 労働力に対する需要が、その供給にくらべて大きければ大きいほど賃金が上がってしかるべき。 そうですよね? 特に、労働者側が、賃金を上げないと俺は働かないときっぱりした態度を取ることができれば、賃金は上がるでしょう。 その一方で、経営者側が、労働者が不足していると感じながらも、仮に賃上げをしてしまうと競争力が落ち、赤字になってしまうと考えたら、どうでしょうか? 仮に、賃上げをしても、そして、その分を製品価格に上乗せしても売れ行きが落ちないという自信があれば、賃上げをしてでも生産量を維持しようとするでしょう。 しかし、近年の日本企業の行動の特徴について考えると、値上げは極力避けたい、という思いで行動していることが窺えます。 だから、日本ではなかなか物価が上がりにくい状況が続いているのですよね。 要するに、自社の製品の競争力が落ちている、と。或いは、日本製品の持つ魅力が小さくなってきている、と言えるかもしれません。 少しでも価格を上げれば、他社の製品を買うとか他国の製品を買うとかという動きが起きることが容易に想像されるので、値上げは最後の手段になる、と。 それに、労働者の側も、職に就けるのであれば、賃金水準についてそれほど贅沢は言えないという人も多いのではないかと推測されます。さらに言えば、労働組合の力が落ちてきているので、賃上げはままならない、と。 さらに、さらに言えば… アウトソーシングだとか、海外の安い労働力を利用する手もあるので、そうしたことも国内の賃金を上がりにくくしている原因の一つだと考えます。 だとしたら、日本の賃金が上がりにくいことや景気がなかなかよくならない理由を、かつてのように日銀のせいにするのは全く根拠のないことだと分かる筈。 しかし、今後も総理の座にとどまりたいアベシンゾウは、自分の在任期間中は異次元の緩和策を続けると言っている訳です。 これで賃金が上がることを期待するのは無理でしょう? そして、それどころか安倍政権は、オリンピックに学生を始めとして多くの人々に無償で労働力を提供することを求めているのです。 民間企業の経営者たちに対しては賃上げを求めながら、自分たちは、賃上げどころか給料なしで働いて欲しいと言っている訳ですから、これではなおのこと賃金が上がりにくい状況が続くでしょう。 いずれにしても、労働力の質、企業の技術力、そうしたものを引き上げて、付加価値の高い製品を生み出すことができるようにしなければ本当の意味で賃金を上げることはできないのです。 逆に言えば、日本人の労働力の質及び企業の技術力を引き上げることができれば、仮に海外に安い労働力が存在しようと、それほど恐れることもなくなる訳です。 安倍政権は、例えば高等教育の無償化なんてことを言っていますが…しかし、本当に必要なことは学生の能力をアップすることにあるのであって、数字の上だけで大学進学者の割合が増えても何の意味もないのです。 東京オリンピックのためにボランティアという美名を使ってタダ働きさせようとする安倍政権を支持することはできないという方、クリックをお願い致します。 ↓↓↓ 人気blogランキングへ ※リンク省略 |