景気ウォッチャー調査と景気をウォッチしない政府
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/53080693.html
2018年08月09日 在野のアナリスト
昨日、7月の景気ウォッチャー調査がでてきました。現状判断DIは46.6で前月比1.5pt減、先行き判断DIは49.0で前月比1.0%減。今回、気になっていたのは西日本豪雨災害の影響で、交通網の混乱で消費減、農産物の被害で価格高騰、などの影響がでている。また猛暑関連でもエアコンや冷蔵庫の売れ行きはいい、との声がある一方、来店客数の減少や秋物への移行がすすまない小売りなど、少なくない影響もでています。また原油高の中、豪雨災害によりJR貨物が不通となったことで、物流網の再構築などが迫られるなど、家計からも企業からも悲鳴に近い声が寄せられています。現状が悪いことはある程度想定されましたが、西日本豪雨と猛暑のダブルパンチで、先行きまで悪化するのは短期でこの影響が終わらないだろう、誰もがそうみていることも影響するのでしょう。
長崎原爆の日で、安倍首相の演説はやはり広島でのそれと変わらないし、毎年同じことをくり返すばかりです。本気で核廃絶に意欲があるなら、自分の言葉で少しでも前進するよう、言葉を尽くすでしょう。被爆者からも核禁止条約を批准しなかったことへの説明を求められましたが、安倍氏はまともに答えなかった。安倍氏は「現実的な策…」として、核保有国も納得できる合意を、としますが、そんな合意がとれるのか? また安倍氏はそれに向けて何らかの手立てがあるのか? その動きを何もしていないのですから「現実」には、安倍氏はまったく無策のまま無為に過ごしている、という結論にしかなりません。
西日本豪雨災害でも、悪影響が目立ち始めているのですから、早く補正予算をとりまとめて被災地を安堵させ、景気の下押しを食い止めなければいけないはずなのに、まったくそれをする気配もない。このままお盆を越し、先に予想した通り、総裁選の成果として補正をとりまとめるつもりなのでしょう。今、無為無策であることを棚に上げ、私は一生懸命にやっている、とアピールする。実際には遅れに遅れているのに、です。サマータイムなども、その影響や効果についてどこまで知識があるのか? 不明なように、安倍氏の行動原理は、自分にとって都合よいことを、都合よいタイミングで行う、に終始するのです。
4-6月期機械受注は前期比2.2%増だった。7-9月期もほぼ横ばいであり、内閣府は基調判断を「持ち直しの動きに足踏み」と下方修正しました。7-9月期は従前から心配しているように、猛暑と西日本豪雨災害で計画を下振れると予想され、不安は増します。しかも米中貿易摩擦の影響をうけないよう、4-6月期はかなり需要を先食いした印象もあり、その影響もこれから出てくるでしょう。いずれにしろ景気は先行き、弱含みが予想されます。
注意しなければいけないのは、景気ウォッチャー調査で「良」と答えているその多くに、人手不足による効果が乗っている、ということです。それを差し引けば、実は日本の個人、企業のマインドは大きく低下してしまっている。しかも人手不足は少子高齢化の結果ですから、むしろ日本全体からみれば悪影響でもあるのです。そして今、猛暑ばかりでなく、水不足による農作物への被害も顕著になってきた。安倍政権は、不足するところに充足することなく、景気減速を甘受するつもりなのでしょう。なぜなら、米国さえ景気が堅調なら、株高は持続され、安倍政権の失敗とはみなされないためです。しかしこれが安倍氏の、景気対策における「現実的な策…」というのなら、その対応は『現実をまったくみていない的外れな策』の略語としか、思えなくなってくるのでしょうね。