ガザの海上封鎖に抗議する船団の最初の1隻が襲われ、全乗組員が拘束された
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2018.08.01 櫻井ジャーナル
イスラエルはパレスチナ人が住むガザを海上封鎖している。そうしたパレスチナ人弾圧に抗議する目的で「自由船団」がガザへ向かっているが、その中の1隻、アル・アウダ(帰還)がイスラエル海軍に襲われ、乗船していた22名の人々は拘束された。イスラエル側は平和的に拘束したとしているが、解放された2名によると、兵士はテーザー銃(ワイヤー付きの電気銃)で乗組員の身体を麻痺させ、棍棒で殴打したとしている。
言うまでもなく、イスラエルの海上封鎖に正当性はない。先住のアラブ系住民(パレスチナ人)を虐殺し、追い出してイスラエルは作られたが、ガザやヨルダン川西岸にはパレスチナ人が残っている。そこをイスラエル領にしようとしているのだが、それだけではないと見られている。南はナイル川から北はユーフラテス川まで、西は地中海から東はヨルダン川までがイスラエルだと考えている可能性がある。イランやシリアを制圧し、中東から北アフリカにかけての地域をイスラエル領、あるいはイスラエルの支配地にしようと目論んでいると推測する人もいる。
先住のアラブ系住民(パレスチナ人)を虐殺し、追い出して作り上げられたイスラエルのクネセト(イスラエルの国会)は7月19日、イスラエルを「ユダヤ人の国」だと定める法律を成立させた。主権者はユダヤ人だけだというわけであり、人種差別、人種隔離を制度化する内容だ。つまり、イスラエルはアパルトヘイトを公然と掲げたのである。人権を本当に大切なものだと本当に考えているなら、イスラエルに抗議するべきであり、そうしたことをしないのなら、そうした人々の掲げる「人権」は紛い物だということだ。
今回の「自由船団」にはアメリカの情報収集船リバティの生き残り、通信兵だったジョー・ミードーズが乗船していた。リバティは1967年6月の第3次中東戦争でイスラエル軍の攻撃を受けて沈没寸前になり、乗船していた34名が死亡、174名が負傷している。
その攻撃は3機のミラージュ戦闘機によるロケット弾やナパーム弾の攻撃で始まる。この時点で皆殺しを意図していたことは明白で、船の通信設備は最初に破壊された。
破壊された機器を使って寄せ集めの装置を通信兵は作り、第6艦隊に遭難信号を発信、空母サラトガの艦長はすぐ救援のためにA1スカイホークを発信させるが、艦隊の司令官とリンドン・ジョンソン政権は引き換えさせるように命じた。
この間にイスラエルが行った交信をアメリカ側は全て傍受、記録していたのだが、電子情報機関のNSAがそうしたテープを大量に廃棄したという。複数の大統領へのブリーフィングを担当した経験を持つCIAの元分析官、レイ・マクガバンもこうした隠蔽工作があったと確認している。その後、アメリカ政府は隠蔽工作を始めるが、その責任者に選ばれたのがアメリカ海軍太平洋艦隊の司令官だったジョン・マケイン・ジュニア、つまりジョン・マケイン3世上院議員の父親だ。
戦争が勃発する2カ月前、アメリカ政府はリバティを潜水艦と一緒にイスラエル沖へ派遣するという計画「フロントレット615」を立てていた。第3次中東戦争はアメリカの軍や情報機関がイスラエル軍を支援していたとも言われ、リバティを撃沈する作戦にはアメリカ政府が関与していた可能性がある。撃沈の責任をエジプトかソ連になすりつけて大規模な戦争を引き起こそうとしていたかもしれない。