自民党沖縄県連は、今日まで辺野古基地建設において知事とは完全な一致があると表明しているが、8月17日から防衛局が土砂投入を開始するにも関わらず、翁長氏はこれまで通り「埋立承認撤回」の明確な時期を示さず、その質問に自ら答弁することさえ避けた。
一方、県側では、環境部が防衛局の提出した赤土等流出防止条例に基づく書類の審査を終え、既に7月28日からの土砂投入を可能として着工準備を整えている。
口では安倍政権を「傍若無人」と批判しながら、県条例上は「土砂投入」にGOサインを出すという二重手法も、実工事が始まれば最早必要なくなる。
更に、翁長氏の「撤回」理由は基地建設自体を否定する「公益撤回」ではなく、建設条件を問うに過ぎない「要件撤回」に限定されている。
「軟弱地盤」や「高さ制限」の抵触を理由にしているから、仮にそれが司法手続きで認められても、政府が建設条件に適合する場所を申請すれば、県は承認せざるを得ない。
「南北首脳会談」や「米朝首脳会談」など朝鮮半島の緊張緩和に口では触れるが、それを決して「撤回」の理由にはしないから、防衛省側からは裁判になっても争点はあくまで行政手続きや技術面だと冷ややかに受け止められているのは当然だ。
4年前の知事選公約は、法的瑕疵がない場合でも「県民がノーという意思を強く示すこと」を埋め立て承認撤回の条件としていた。その上で翁長氏は県民の反対の意思表明とは「私が知事選に勝つということ」だと繰り返し述べている。
すなわち、当選すれば、即、埋め立て承認撤回だったのだ。
それを3年8カ月引き伸ばした挙句、「撤回表明」したかと思えば、基地建設反対を理由とはせず、「沖縄防衛局の留意事項違反や処分要件の事後的不十分」という「要件撤回」であり、新基地の是非を問う本質とは懸け離れている。
それ故、政府はこのような事務・行政手続きを問題とする限り、公判でも勝てると踏んでいる。更に、県の担当部局(土木建築部)からさえ「留意事項に違反したからといって公有水面埋立法にまで抵触するとは言いにくい」と指摘される始末で、知事任期の終盤でようやく出されてきた「撤回表明」が如何に実体の無いものか既に露呈している。
7月27日、翁長氏は「私が4年前にしっかりと公約で約束したものを、しっかりと築き上げていく、守っていく」と述べている。
実体が無いからこそ「しっかり」を連呼する様な、イメージ誘導の修飾語法を現首相も常用する。
口頭発言に限定された基地建設反対の雰囲気造りのみに巧みで、法的手法はあくまで建設に有利に図り、任期全体を通して積み上げられた既成事実を前に敗北したとする事前シナリオは完結に近づきつつある。
斯くして4年前の知事公選時から「即時撤回」を求め続けた民意は徹底して踏みにじられてきた。
それを知ってか知らずか、これまで翁長氏の行政手法の不正を指摘すれば、「オール沖縄」を分断するな!と反発する者が必ず現れる。これが建設派か否かは別にして、自民党沖縄県連や金秀グループがそうであるように、翁長氏の支持母体は長年、基地建設推進派や受注予定企業群で構成されてきたことを忘れてはならない。
国民全体に常に当て嵌まることだが、明晰な思考を伴わない安易な凭れ合いの結果は、必ず権力側に有利に傾く。
辺野古基地建設を巡るコンマン翁長氏と沖縄二紙の役割も漸く終わりを迎えようとしている。政府自民党と自民党県連らは共に、これらに対して労をねぎらうことだろう。
その時、「オール沖縄」を標榜してきた建設反対派の思いは何処に向けられるのだろうか。
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