凍土遮水壁に効果ありと安倍出戻り内閣、止水はできていません
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2018/03/30(金) 19:43:17 めげ猫「タマ」の日記
安倍出戻り内閣は福島第一原発の地中に氷の壁の「凍土遮水壁」について「効果あり」と発表しました(1)(2)。凍土壁内への水の流入量を東電発表(4)から見積もると
2017年3月 1日当たり平均で778トン
2018年3月 1日当たり平均で659トン
で、凍土壁をすり抜け内側に流入する水の量は15%しか減っていません。凍土壁による止水はできていません。
福島第一では地下水が山から流れて来て、原子炉やタービン建屋に流入しています。あるいは海までに達しています。汚染されれば海に流せないので、これを汲みあげ浄化装置を通した後で海に流しています。ただし全ての放射性物質が浄化できる訳ではありません。東京電力はトリチウムは浄化できないとしています(5)。浄化しても排水基準(6)を満たさない汚染地下水は、タービン建屋に送っています(8)。
地下水がタービン建屋に流れ込んだり、海岸の井戸からタービン建屋に送り込んだ地下水で汚染水は増えていきます。
※(9)を集計
図―1 どんどん増える福島第一汚染水
最新の発表(10)を集計すると総量で約111万トンに達します。以下にタービン建屋から汲み上げた直後のセシウム137の濃度をします。
※(11)を集計
図―2 タービン建屋から汲み上げた直後の汚染水のセシウム137濃度
概ね1リットル当たりで1億ベクレルを下回る程度でしょうか?法定限度は1リットル当たり90ベクレルですので、100万倍の高濃度です。このままでは海には流せないので、汚染水タンクを作り続け保管しています(13)。
だたし汚染水タンク作りは上手く行っていません。以下に昨日(3月29日)に発表された汚染水タンクのうち最終段の「ALPS処理水」の水量とタンク容量の計画と実績を示します。
※1(4)(9)を集計
※2 ピンクが計画で上側がタンク容量・下側が汚染水量
図―3 「ALPS処理水」の水量とタンク容量の計画と実績
図に示す様に汚染水量は想定通りに増えていますが、タンクの増設は計画から遅れています。福島第一の廃炉で「計画」は実行可能なものでなく単なる願望のようです。福島第一では汚染水タンク作りに苦労しています。そのうちに汚染水タンクの増設が困難になる日が来そうです。汚染水の増加を抑えることは近々の課題です。
汚染水の増加を抑える対策の柱として原子炉やタービン建屋を氷の壁で囲む「凍土壁」が作られました。以下に構造を示します。
※(5)(14)にて作成
図―4 凍土壁、海側遮水壁、サブドレン、地下水ドレン
断面の模式図は以下の通りです。
※(5)(14)にて作成
図―5 凍土壁、海側遮水壁、サブドレン、地下水ドレン(断面)
氷の壁で地下水の流れを阻止し、タービン建屋に流れ込む地下水や海岸にまで達する地下水を減らす計画です(14)。当初の予定では2015年3月位から運用を始める予定でしたが(15)、完全凍結が始まったのは2017年8月22日からです(16)。ほぼ2年半の遅れです。
3月7日安倍出戻り内閣の官僚組織の経済産業省で「汚染水処理対策委員会(第21回)」が開かれました。ここで東京電力は凍土壁が効果があったとのプレゼンを行ったようです(1)(2)。
※(17)を引用
図―6 凍土壁が効果があったとする東京電力プレゼン資料
資料におれば(17)、凍土壁が遮水効果を発揮し山側から流れて来た地下水は凍土壁で遮られ凍土壁の脇を通って海に流れていくようになったそうです。東京電力の主張は認められ(18)、安倍出戻り内閣の凍土壁の効果を認定しました(1)(2)。
図―4に示す様に福島第一は西側が山で東側が海です。陸側(西側)から順に凍土壁・サブドレン・建屋・サブドレン・凍土壁・ウエルポイント・地下水ドレン・海側遮水壁です。このうち凍土壁と海側遮水壁は水の流れを遮ることを意図し設けられました(5)(14)。サブドレンは地下水を汲み上げる井戸です。図−4,5に示しように凍土壁の内側になり、ここで汲み上げらる水は全量が凍土壁をすり抜けて流れ込んだ水です。
サブドレンでの汲みあげに失敗した地下水は建屋に流れ込むか、海に向かって流れて行きます。ウエルポイント、地下水ドレンは海側に流れた地下水を汲み上げる井戸です。
すなわち、サブドレン汲み上げ量、原子炉建屋への流入量、ウエルポイント、地下水ドレンの汲み上げ量の合計が「凍土壁」では阻止できずに流れ込んだ「水」の総量です。以下に推移を示します。
※1(4)を集計
※2 サブドレンはサブドレン汲み上げ量、流入は建屋流入量、海岸部はウエルポイント、地下水ドレンの合計汲み上げ量
図−7 「凍土壁」で阻止できなかった「水」の量
図に示すように凍土壁で阻止できなかった「水」の量はあまり減っていません。凍土壁は2017年8月に「完全凍結」がはじっまたので、近々2ヵ月と完全凍結開始間前の同月との流量を比較してみました。
2017年3月 1日当たり平均で778トン
2018年3月 1日当たり平均で659トン
で、凍土壁をすり抜け内側に流入する水の量は15%しか減っていません。凍土壁による止水はできていません。
安倍出戻り内閣は2016年度中に福島第一での「建屋流入量」を1日当たり100トン未満にすると主張していました(19)。2017年度もそろそろ終わりなので、2017年度分を集計すると建屋流入量は平均で
1日当たり135トン
です。こちらも達成できていません。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
凍土壁には「国費」が使われています(20)。効果がなければ安倍出戻り内閣の失政になります。安倍出戻り内閣の官僚は文書を改ざんするなど、「嘘」を生業としています(21)。
・計画通りには作れない汚染水タンク
・止水効果が無い凍土壁
・計画通りに減らせなかった「建屋流入量」
については本文に書いた通りです。それでも凍土壁の効果を主張しています。福島でも「事実」よりも安倍出戻り総理の意向がが優先するようです。安倍出戻り総理は福島は「安全」だと主張しています(22)。官僚達は安全でなくとも「安全」を喧伝すると思います。これでは福島の皆様は不安だと思います。
福島県が力を入れている野菜にトマトがあります(23)。福島県矢吹町では今年もトマトの収穫が始まりました。同町のトマトは味が濃くフルーツのような甘さが人気だそうです(24)。福島県は福島産トマトは「安全」だと主張しています(25)。でも、福島県矢吹町のスーパーのチラシには福島産トマトはありません。
※(26)を引用
図―8 福島産トマトが無い福島県矢吹町のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県矢吹町の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-2481.html
(1)汚染水処理対策委員会(第21回)(METI/経済産業省)
(2)福島第1の凍土壁「汚染水半減」、経産省の有識者会合 :日本経済新聞
(3)中長期ロードマップ|東京電力
(4)(3)中の「中長期ロードマップの進捗状況⇒2018年3月29日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第52回事務局会議)⇒【資料3-1】汚染水対策(26.6MB)
(5)サブドレン・地下水ドレンによる地下水のくみ上げ|東京電力
(6)サンプリングによる監視|東京電力
(7)報道配布資料|東京電力
(8)(7)中の「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移 」
(9)プレスリリース|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社ちゅの「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」
(10)福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第346報)|プレスリリース|東京電力ホールディングス株式会社
(11)(7)中の「水処理設備の放射能濃度測定結果」
(12)第56回特定原子力施設監視・評価検討会 | 原子力規制委員会
(13)(11)中の「資料6:フランジ型タンクに関するリスク低減策の進捗[東京電力]【PDF:2MB】」
(14)陸側遮水壁|東京電力
(15)2014年3月12日 凍土式遮水壁の計画及び進捗状況について(資源エネルギー庁)
(16)2017年8月22日福島第一原子力発電所 陸側遮水壁第三段階開始について(PDF 786KB)
(17)(1)中の資料2 重層的な汚染水対策の効果について(PDF形式:3,344KB)
(18)(1)中の議事概要(PDF形式:299KB)
(19)(3)中の「中長期ロードマップ⇒2015年6月12日(第2回廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議)⇒(資料1)中長期ロードマップ改訂案について(133KB)
(20)凍土壁、頼りなさ露呈 福島第一、遠い廃炉:朝日新聞デジタル
(21)社説|佐川氏証人喚問/これで幕引きは許されない | 河北新報オンラインニュース
(22)平成30年3月10日 福島県訪問 | 平成30年 | 総理の一日 | 総理大臣 | 首相官邸ホームページ
(23)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(24)トピックス | JA夢みなみ
(25)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(26)矢吹店|店舗・チラシ情報|リオン・ドール