世界同時株安について
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/53037878.html
2018年02月06日 在野のアナリスト
世界同時株安の状況です。しかしこのタイミングでトランプ政権のサンダース報道官が「減税とインフラ投資をすすめる」と発言し、さらに嫌気されています。適温を加熱させるトランプ政権の減税と公共投資が、今回の下落の主因でもあるのに、それをさらに強化する、というのならトランプ政権は本当に経済に無知、となるためです。
しかもトランプ氏へのFBIのロシア疑惑捜査が不正、と政権側が公表し、これに米民主党が強烈に反発。議会が開店休業状態になることが予想されます。公共投資ばかりでなく、つなぎ予算も成立が難しくなった。そもそも、FBIがトランプ陣営幹部の盗聴をする際の令状を不正取得した、という共和党議員のメモを公開しただけ。FBIの資料でも、令状をだした裁判所の情報でもなく、それを基にしたメモ、という二次資料で「自らの無罪が証明された」というトランプ氏には、共和党議員でさえ呆れるばかり、と言えます。
今回の株安の震源地、とされる米国の下げ幅より、日本の下げ幅の方が突出して高くなっています。アルゴリズム取引に伴うフラッシュクラッシュだ、売り方の手口だ…という人もいますが、むしろ先物ぶん回しが得意な欧州系は、今日は大きく買い越している。1月第2週からの売りを、ここで回収しただけ、という状況であり、今日の下げの主因はここまで頑張ってきた日系、及び一部の外資系の買い方が放り投げたこと。それだけ買いに傾けた取引が多かったために、反動安も大きくなった、というに過ぎません。
昨日までは強気だった識者が、今日になったら急に弱気の発言に変わった、というのも社の方針が変わったことと整合的です。自社の自己売買や顧客への説明も、昨日と今日とで立場を変え、急にそんなことになったため、慌てて売る大口顧客も多かった。それが今日の急落につながった、とみます。そこに米夜間取引の急落やら、円高への動きなども重なり、一時1600円を越える下げとなった。それが今日1日の動きです。
問題は、株式市場以外にまだ動揺がみられない点。金価格や資源、為替相場も株式の急落ほどではない。国債市場も同じです。つまり今はまだ、株式の割高感を調整するだけのものに過ぎません。来期増益でない、というだけで達成できないような数字を維持するのが難しくなった。VIX指数の急騰が示すように、株は元々リスク資産、株価が上昇して持ち分が増えたら、本来は減らすのがスジでした。それを先送りし続けてきた分が、今慌てて売りをだしている主体であり、フラッシュクラッシュというよりアルゴリズム取引で売る条件がやたらと重なった、ツケの先送りをしていた分を払っている印象です。
昨日も指摘したように、米国で2日連続の下げとなり、恐怖指数ともされるVIX指数がしばらく高止まりすることが予想されます。恐らく今回の下げで世界から〇兆円消えた、といった報道もあると思いますが、それだけ資産が減ると、他の市場も売って利益を確保しようとする動きが広がります。まだ他の市場の動きが少ないですが、誘発するようだともう一段の下げも覚悟しなければなりません。時間軸、値幅、まだ想像もできませんが、今はまだフライングクラッシュ、来期は増益、未来は明るい、といった根拠なきものに踊ってフライングして買っていた投資家が慌てているだけに過ぎません。Bitcoinにも大型の価格操縦の疑いがでてきましたが、株価も操縦されていて、この下落でその主体があぶりだされるのなら、下落幅はまだまだ深くなることも予想されるのでしょうね。