レバノンのハリリ首相がサウジで辞任を発表させられた原因はヒズボラとの連合政府実現発言か
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2017.11.12 櫻井ジャーナル
レバノンの首相だったサード・ハリリは11月4日、サウジアラビアに滞在している際にテレビを通じて辞任を発表した。その中でイランやヒズボラを非難し、それを利用してサウジアラビアはヒズボラに対する戦争を煽っている。4日にはイエメンからリアドへ向けて何者かがミサイルを発射、その責任をサウジアラビアはイランに押しつけている。
サウジアラビアで拘束されたとする情報も流れているハリリは10月中旬、ヒズボラとの連合政府へ参加する意向だということをイタリアのラ・レプブリカ紙に語っている。自分たちの勢力が弱まり、ヒズボラの影響力が強まっていることを認めてのことだが、これはハリリのボスにあたるサウジアラビア政府を刺激、イスラエルも反発したはずだ。それが今回の拉致、拘束、辞任につながったとする見方がある。
今から10年ほど前にもレバノンで軍事的な緊張が高まり、2006年7月にイスラエル軍はレバノンへ軍事侵攻しているが、その発端は2005年2月のラフィク・ハリリ首相暗殺。この人物はサードの父親である。
国連の「国際独立委員会」でラフィク・ハリリ暗殺に関する調査官を務めたデトレフ・メーリスは「シリアやレバノンの情報機関が殺害計画を知らなかったとは想像できない」と主張、シリア政府の関与をほのめかしたが、説得力はない。
アーマド・アブアダスなる人物が「自爆攻撃を実行する」と宣言する様子を撮影したビデオをアル・ジャジーラは放送したが、このビデオを都合が悪かったようで、メーリスは無視した。
また、メートスが「信頼できる証人」だとしたたズヒル・イブン・モハメド・サイド・サディクは有罪判決を受けた詐欺師だとドイツのシュピーゲル誌は指摘する。しかも、この「証人」を連れてきたのがシリアのバシャール・アル・アサド政権に反対しているリファート・アル・アサドだ。サディクの兄弟によると、メーリスの報告書が出る前年の夏、サイドは電話で自分が「大金持ちになる」と話していたという。
もうひとりの重要証人、フッサム・タヘル・フッサムはシリア関与に関する証言を取り消している。レバノン当局の人間に誘拐され、拷問(ごうもん)を受けたというのだ。その上で、シリア関与の証言をすれば130万ドルを提供すると持ちかけられたと話している。
また、暗殺に使われた三菱製の白いバンは2004年10月に日本の相模原で盗まれたというのだが、輸送経路は不明で、誰が所有していたのかも示されていない。
2006年8月にイスラエルのレバノン侵攻は失敗、つまりヒズボラに負けたのだが、その頃からハリリ一族を中心とするグループは未来運動なる活動を開始、戦闘部隊(テロ部隊)を編成した。その部隊を財政的に支援してきたのがウェルチ・クラブ。アメリカ国務省のデイビッド・ウェルチ次官補を黒幕とするプロジェクトだ。
この2006年当時よりヒズボラは強くなっている。本ブログでも何度か指摘したが、イスラエルが誇るメルカバ4戦車がヒズボラも使っている対戦車兵器、例えばRPG-29、AT-14コルネット、メティスMで破壊されていると言われている。
また、今年(2017年)3月17日未明にイスラエル軍のイスラエル軍戦闘機4機がシリア領空を侵犯して空爆を実施したのだが、シリア軍によると、防空システムS-200で反撃して4機のうち1機を撃墜、別の1機に損傷を与えたという。最近、イスラエルが保有するF-35もS-200で何らかの損傷を受けたのではないかと疑われる出来事があった。ちなみにS-200は旧型で、シリア側の説明が事実なら、新しいタイプのS-400はイスラエルにとって大変な脅威になる。