「死ぬまで働く明るい老後」の無残。なぜ日本の年金は破綻したのか
矢口新
2017年7月30日ニュース
日本人の老後の経済状態が、世界ランキングで見て最下位に近い状態に置かれているのをご存じだろうか?年金支給額を減らすことで、形としての制度を維持することはできても、日本の年金はすでに半ば破綻しているのだ。我が国はいったい何を誤ったのか?(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』矢口新)
プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。
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死ぬまで働く以外に道はないのか? 最底辺に墜ちた日本人の老後
年金の支給開始年齢が75歳に?
大半の日本人は、優雅な年金生活などという大それた夢はもとより、つましい隠居生活も望めなくなりそうだ。
内閣府の有識者検討会が、公的年金を受け取り始める年齢を70歳より後にもできる仕組み作りを「高齢社会対策大綱」に盛り込む検討に入ったと報道された。有識者検討会の改定案を受け、政府が年内に決定する模様だ。
報道によれば、18日の検討会では、座長の清家篤・前慶応義塾長が「もっと先まで繰り下げ支給の幅を広げる可能性もある」と明かした。働ける元気な高齢者を支援する狙いで、検討会では、繰り下げできる年齢について「75歳とか、もっと延ばしてもいい」との意見が出たという。
2017年5月に発表された、経済産業省の次官と若手有志がまとめたという提言書(不安な個人、立ちすくむ国家[PDF])でも、日本が抱える多くの問題を列挙したのちに、「高齢者も働け」と締めくくっていた。こうした一連の流れを鑑みると、政府は、「働ける元気な高齢者を支援」することで、「日本の個人と国家の諸問題」を一気に解決したいのだろうか?
日本の年金制度は受給開始標準年齢が65歳で、60歳〜70歳の間で受給開始年齢を選択できる。65歳で受け取る年金額を1とした場合、60歳に繰り上げて受け取れば約70%に減額されるが、70歳に繰り下げて受け取れば1.42倍の年金額を受け取ることになる。
ちなみに直近の資料では、繰り上げ需給が35.6%、繰り下げ需給が1.4%となっているが、新しく受給対象となった人々だけを見ると、繰り上げ需給が10.9%、繰り下げ需給が2.0%と、受給年齢を先延ばしする傾向が顕著に見られている。
出典:平成27年度厚生年金保険・国民年金事業の概況:繰り上げ・繰り下げ受給状況[PDF]
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仮に85歳まで生きるとすれば、国民年金平均受取額の年間67万円を65歳で受給開始した場合、受け取れる金額は20年間で総額1,340万円となる。これを70歳まで受給を繰り下げれば、67万円×1.42倍の年間951,400円×15年で総額1,427万円と、繰り下げた方が受取額は6.5%、約87万円増える。
では、75歳まで需給を繰り下げるとどうなるだろうか?65歳で受給開始に比べ年間の受給額は約2倍となるが、85歳まで生きられても受取期間が半減するので、受取総額は65歳で受給開始したのとほぼ同額となる。もっとも85歳を超えて生きれば、得することになるので、余生がより楽しめる。これが、「働ける元気な高齢者を支援」するという意味なのだろうか?
2017年 世界年金受給者生活水準ランキング
投資銀行「ナティクシス・グローバル・アセット・マネジメント」社による「2017年世界年金受給者生活水準ランキング」で、日本は調査対象43カ国中、総合順位で22位となった。
出典:Natixis 2017 Global Retirement Index [PDF]
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ところが、その内訳を見てみると、日本は「健康状態ランキング」では6位に浮上するが、「モノの豊かさランキング」では12位に下がる。そして、「生活の質ランキング」では圏外に落ちてしまう。
トップ10は様々な先進国指数でも上位の常連国なので、そんなものかと納得できなくもないが、全体として「この国よりも日本の生活の質はひどいのか」と衝撃を感じざるを得ない結果だ。もっとも、「生活の質」という概念は漠然としたものだ。日銀の金融政策のように「マインド」で乗り切れる範囲なのだろうか?
しかし日本は、「退職後の経済状態」という具体的なランキングでも圏外なのだ。
このランキングで特徴的なところは、トップ10のうち、欧州の国々はスイスとエストニア、ノルウェーだけということだ。ドイツやオランダでさえ、20位にも入っていない。その理由は、少子高齢化、高水準な公的債務、高税率が、欧州各国の年金制度の持続性や老後の生活に影を落としているからだ。
日本が、生活の質ランキングや退職後の経済状態ランキングで下位に低迷する原因も、欧州と同じだ。もっとも、日本人は老齢でも健康なので総合順位では中位にまで浮上するわけだが、国の方針に従えば、そのぶん死ぬまで働かされることになる。
Next: どこまでも減少していく年金支給額、あなたはいくら受け取れる?
日本の年金制度の実態は「10割負担」
公的年金は世代間扶養とされている。現役世代が支払った国民年金保険料、あるいは厚生年金保険料、共済年金保険料が、政府からの同額補助を受けて基礎年金勘定としてプールされ、60歳〜70歳以上の年金受給者に給付されている。
この時、国民年金加入者は基礎年金だけを受け取るが、厚生年金や共済年金の加入者には基礎年金に上乗せ分が給付される。これはサラリーマンや公務員の方が、拠出段階でより多くの支払いをしているからだ。厚生年金保険料や共済年金保険料は給与から天引きされ、会社や役所からの補助を加えて支払われている。
保険料の拠出額は、平成16年(2004年)の年金制度改正までは、少なくとも5年に一度の財政再計算を行い、給付と負担を見直して財政が均衡するよう、将来の保険料引き上げ、計画を策定していた。
しかし、少子高齢化の急速な進展にともない、当時の方法のまま給付を行う場合、将来的に保険料水準が際限なく上昇してゆくことが懸念されたことから、将来の保険料負担を固定し、その範囲で給付を行うという、新たな年金財政の運営方法がとられるようになった。
このことは同時に、将来の保険料負担を固定したままで、少子高齢化の進展が進むと、将来的に給付水準が際限なく減少していくことを意味している。
つまり、65歳で受け取れる年金額を1とした場合、70歳から受け取ることを選択すれば、1.42倍増で受け取ることができ、75歳まで延ばせば約2倍で受け取ることができるようにはなるが、基準となる65歳で受け取れる年金額が際限なく小さくなる可能性も示唆しているのだ。
また、平成16年(2004年)の年金制度改正では、基礎年金の政府(国庫)負担割合を、それまでの3分の1から、5年間で段階的に2分の1にまで引き上げた。もっとも、国庫は国民が支払った税金で成り立っているので、税収が増えなければ、財政赤字が膨らむか、増税するかのどちらかとなる。実質的には、国民が10割負担しているのだ。
国民年金保険には、第1号から第3号までの被保険者がいる。第1号がいわゆる国民年金、第2号がいわゆる厚生年金(1〜4号)、第3号は以下の通りだ。
第1号被保険者:自営業者や学生等
第2号被保険者:厚生年金保険の加入者(会社員等)及び共済組合の加入者(公務員等)
第3号被保険者:会社員や公務員など国民年金の第2号被保険者(夫など)に扶養される配偶者(20歳以上60歳未満)
第3号被保険者である期間は、第1号被保険者期間と異なり、保険料を自身で納付する必要はなく、保険料納付済期間として将来の年金額に反映される。また、第2号の厚生年金は、さらに1〜4号に分類され、
第1号厚生年金被保険者は、民間企業のサラリーマン
第2号厚生年金被保険者は、国家公務員共済組合の組合員
第3号厚生年金被保険者は、地方公務員共済組合の組合員
第4号厚生年金被保険者は、私立学校教職員共済制度の加入者
となっている。
65歳夫婦に月額133,972円、今後はさらに激減も
厚生労働省が2017年3月に発表した報告書によれば、国民年金(老齢基礎年金)の平均支給額は、月額で55,244円となっている。また、新しく受給者となった人々の平均は3,000円以上少ない。
国民年金の制度上の支給額は、月額64,941円だが、これは40年間保険料を支払った場合の満額で、実際に、この金額をもらっている人は少ない。
一方、厚生年金第1号の平均支給月額は147,872円となっている。これは、60歳以上、100歳を超えている受給者も合わせた平均だ。
とはいえ、65歳を基準とする、新規に受け取り始めた受給者の平均年金月額は82,081円に下がる。
厚生年金の場合、加入期間や報酬によって、支給される金額に差が出てくる。従って、男女差も大きい。厚労省による40年間サラリーマンとして働いた夫(厚生年金第1号)と、専業主婦(国民年金第3号)の組み合わせモデルでは、合わせた支給額が221,277円となっているが、これも、60歳以上、100歳を超えている夫婦受給者をも合わせた平均となる。
新規に受け取り始めた厚生年金受給者の平均年金月額は82,081円、国民年金が51,891円なので、共に65歳のサラリーマン夫と、専業主婦の組み合わせでは、夫婦で月額133,972円受け取ることが期待できることになる。
これでは、優雅な年金生活などという大それた夢はもとより、つましい隠居生活も望めない。そして、仮に少子高齢化が今後も進むとすれば、この金額が激減することがあっても、決して増加することはないのだ。また保有資産があっても、政府の政策通りにインフレが到来すれば、その購買力は減少していく。
ちなみに、本記事でデータを参照した「平成27年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」には、公務員などの年金額の資料が省略されている。私が、あえて触れなかった訳ではないので、悪しからず。
Next: 日本人の老後を犠牲に、形としての年金制度だけが維持される
年金制度は維持できるか?
結論を言えば、平成16年(2004年)の年金制度改正で「維持できるように改正した」。つまり支給額を減らせば、形としての年金制度は維持できるということになる。逆に言えば、現状の「共に65歳のサラリーマン夫と、専業主婦の組み合わせで、夫婦で月額133,972円」は、すでに半ば破綻しているということだ。
しかも、ここで少子高齢化が進めば、これが将来にわたっての上限となる。将来に向けては、今がピークなのだ。
また、その少子高齢化の大きな要因が「結婚できない経済」にあることから、消費税でも撤廃しないことには、歯止めがかかる見通しは立たない。
【関連】日本はなぜ超格差社会になったのか?その「制裁」は1989年に始まった=矢口新
日本経済は消費税を導入した1989年の翌年から成長鈍化し、デフレが始まった。また、消費税率を3%から5%に引き上げた1997年からは縮小が始まった。
GDPとインフレ率の推移
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この間に世界経済の規模が3倍以上に拡大したことを鑑みれば、資本力、教育レベルや技術力などに問題のない国が、どうすればここまで経済を悪化させることができるのかと、ケーススタディの材料にもなるくらいの異常事態だ。
こうして見ると、前述の政府や官庁の提言書などに協力している日本の経済学者たちは、ノーベル賞にも値するかもしれない格好の研究テーマにそっぽを向いているとしか思われない。
世界経済との比較だけではない。20年にもわたるほぼゼロ、あるいはマイナス金利政策や、未曽有の資金供給を続けながら経済成長が縮小したという事実に、政府、政策担当者、政治家、官僚、経済学者たちは、本気で目を向けていただきたい。あなた方の政策や提言で、こうなったのだから。
この流れを逆転させることなしには、「結婚できない経済」が続き、少子高齢化は進展、年金の受取額は減少し続けることになる。
世界の名目GDP推移
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日本人の老後が、世界的な退職後の経済状態ランキングで最下位に近いことはすでに述べた。主な要因は、世界一の水準にある公的債務だ。
平成16年(2004年)の年金制度改正で、基礎年金の政府(国庫)負担割合を、それまでの3分の1から、5年間で段階的に2分の1にまで引き上げた。とはいえ、国庫は国民が支払った税金で成り立っているので、税収が増えなければ、財政赤字が膨らむか、増税するかのどちらかとなる。
ところが、税収は消費税を導入した1989年の翌年にピークをつけており、その後の景気対策などの歳出増を補えず、財政赤字は膨らむ一方だ。赤字の穴埋めには公債(国債)を発行して借金するので、公的債務も増加の一途だ。近年は、日銀の購入により残高は減少しているが、父親の借金を母親が肩代わりしているだけで、家計の苦しさは変わらない。
財政の状況
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こうした事実を鑑みれば、年金保険も、見返りのほとんどない事実上の税金に等しいという見方も、必ずしも行き過ぎとは思えない。そしてこうした負担自体が、経済をさらに縮小させているのだ。
Next: 「GPIFによる投機」に、日本人の老後を託してよいのか?
GPIFによる「投機」の行き着く先
もっとも、GPIFによる年金基金の運用が、こうしたすべての逆風を補ってくれれば、年金の受取額も減少せずに済むかもしれない。そこで、現状のGPIFの資産配分を見てみる。
GPIFの資産配分
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ここで指摘しておきたいのは、国内株式のパフォーマンスは、ドル円レートに強く影響を受けているということだ。これを為替リスクとみれば、外貨資産に加えて、大きな為替リスクを取っていることになる。
本来の資産運用は、それなりの利回りが得られる最もリスクの少ないものをコア資産とする。米国では、為替リスクのない米2年国債が1.35%、10年国債が2.25%ほどの利回りを提供しているので、決して十分な利回りだとは言えないまでも、コア資産とすることができる。
一方で、日本国債は、2年国債が-0.13%、10年国債が0.06%と、運用対象とは見なせない。マイナス利回りとは、100%で返済される債務に101%などの高値を支払うもので、リターンを得るには、102%など更なる高値で売るしかない。つまり、日本国債は保有できないほどの超高値で買い、更なる高値で売り抜けるしかない限界的な投機の対象なのだ。
こうしたことを促す、政府・日銀の政策は、保有できる投資ではなく、キャピタルゲイン狙いの投機を勧めているのだ。これでは保有が前提の安定した年金運用はできない。
円安だけが日本人の老後の望み?
外貨資産には為替リスクがあるが、他に選択肢はほとんどない。日本の対外純資産が世界一なのは、世界一国内に運用先がない国なので、為替リスクを取るしかないことを強く示唆している。
運用難が続く日本
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こうして見ると、円安だけが日本人の老後の望みとなる。もっとも、円安になれば円資産は目減りする。インフレになっても資産は目減りする。それよりは、消費税を撤廃し、経済成長に望みをかけることだ。これこそ本来、日本が採るべき正しい経済政策のはずである。
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【関連】消費税は廃止しかない。財務省データで暴く財務官僚「亡国の過ち」=矢口新
【関連】未曾有の危機から丸8年。リーマン・ショックの真相(前編)=矢口新
【関連】NHKが仕掛ける「ネット受信料の罠」とは? この出来レースをぶっ潰せ=立花孝志
http://www.mag2.com/p/money/271995/4?l=tnz04c614d
首相、消費増税「予定通り」 19年10月に10%
2017/8/5 10:02 (2017/8/5 13:29更新)
安倍晋三首相は5日午前の読売テレビ番組で、2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げについて「予定通り行っていく考えだ」と述べた。財政健全化についても20年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化と、国内総生産(GDP)に対する債務残高の比率の引き下げの「2つの目標に向かってしっかりと経済運営を行う」と語った。
消費税率の8%から10%への引き上げは当初15年10月に行う予定だったが、政府は経済情勢を理由に2度にわたって先送りしている。19年10月の引き上げについても経済情勢を踏まえ、来年中に最終判断する見通しだ。
首相は景気について「消費は緩やかに上がっているが力強さに欠ける」と指摘。賃上げについて「私も直接、経済界に強く働きかけていきたい」と語った。企業には「大変、内部留保が積み上がっているのは事実だ。来年の春闘に向けてしっかりと経済界にもその役割を果たしてもらいたい」と訴えた。
憲法改正を巡っては「今後は(自民)党にお任せする。日程ありきではない」と重ねて強調。衆院解散・総選挙で与党の議席が3分の2を割ると憲法改正の発議が難しくなるとの指摘には「まず与党で案を考えなければいけない。同時に野党も含めてできるだけ多くの多数派を形成する努力を重ねなければならない」との考えを示した。衆院解散に関しては「頭の中は真っ白だ。まず経済の再生で結果を出し、国民の信頼を回復しなければいけない」と述べた。
学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題などを巡る自身の国会答弁に関して「政権発足以来、少しずつ成果が出てくるなかで、自分の気持ちの中におごりが生じたのかもしれない。それが答弁の姿勢に表れた」と語った。学校法人「森友学園」が開設を予定していた小学校の名誉校長に昭恵夫人がいったん就任したことには「もう少し二人とも慎重でなければならなかった」と述べた。
北朝鮮を訪問して金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と直接会う考えはないか聞かれ「北朝鮮は核・ミサイルについて廃棄すると約束しているが、その約束を裏切っている。そこにコミットしないと対話は成り立たない。今は圧力をかけるときだろう」と否定的な考えを示した。
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政府、安倍晋三、金正恩、予定通り、消費税率
触れられぬ消費増税 財政 消えかけた約束 (2017/7/27付) [有料会員限定]
地方税収7年ぶり減、16年度40.3兆円 円高で消費税目減り (2017/7/11 20:47)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE05H01_V00C17A8000000/
「政治生命をかけた冒険」安倍総理が消費税減税を決断するこれだけの理由=近藤駿介
2017年8月3日 ニュース
フリージャーナリストの田原総一朗氏が7月28日、内閣支持率をV字回復させる秘策として安倍総理に進言したという「政治生命をかけた冒険」の中身とはいったい何か?結論を言えば、それは財務省を敵に回しての「消費税減税」である可能性が高い。安倍総理には、この「大冒険」に打って出るだけの合理的な理由が存在しているからだ。(近藤駿介)
プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料メルマガ『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』好評配信中。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
安倍内閣は外交ではなく「経済」で乾坤一擲の大勝負に打って出る
「政治生命をかけた冒険をしないか」田原総一朗氏
支持率の急落に見舞われた安倍総理に、思いもよらないところから援軍が現れた。それは、7月28日昼、突如首相官邸を訪れ、総理と会食をともにしたフリージャーナリストの田原総一朗氏だ。田原氏と言えば、これまで安倍政権に対して厳しい発言を繰り返してきた著名ジャーナリストである。
8月3日に実施される内閣改造の陰に隠れる格好となっているが、田原氏が食事に手を付けることなく総理に持ち掛け、総理も応じたとされるこの「政治生命をかけた冒険」の中身が俄かに注目を浴びている。
安倍総理との会談後に記者団からの質問を受けた田原氏は、具体的な中身には言及しなかったが、「政治生命をかけた冒険をしないか」と提言したことを明らかにするとともに、幾つかのヒントを残していった。
「解散のような細かな問題ではない」
「連立のような話ではない」
「民進党、共産党、小沢さんも反対ではない」
「自民党内には反対する人がいる」
「今やるべきこと」
「安倍総理しかできない」
「言ったらぶち壊れてしまう」
「総理の進退ではない」
「(首相は)やるつもりじゃないか」
こうした田原氏の発言を手掛かりに、多くのコメンテーターが、急落した内閣支持率をV字回復させるために提案された「政治生命をかけた冒険」の内容がどのようなものなのか、様々な見解を披露している。そして、そのコンセンサスは北朝鮮や北方領土などを中心とした「外交」だということになっている。
北朝鮮やロシア相手に「冒険」はできない
しかし、筆者は「外交」分野での「冒険」である可能性は低いと考えている。
「外交」は相手があるものであり、安倍総理が「冒険」を仕掛けても、相手が総理の思惑通りに動いてくれる保証はない。
仮に北朝鮮やロシア相手に「政治生命をかけた冒険」を仕掛け、それが上手くいかなかった場合、本当に安倍総理の政治生命は断たれることになる。それを考えると、「外交」は「政治生命をかけた冒険」をする舞台としては相応しいものではない。
また、危険水域と言われる水準まで支持率が下がった安倍内閣が、支持率回復を目指して「外交」分野で「政治生命をかけた冒険」をするのは国益にとって危険すぎる。
いくら窮地に追い込まれた安倍総理でも、支持率回復のために国益面でのリスクを背負いかねない「冒険」に打って出るほど冷静さを失っているとは思えないし、安倍政権を支持しているわけでもない田原氏が、国益を損ないかねない「冒険」を提言することも考え難い。
外交では「人柄への低評価」は覆せない
忘れてはならないのは、安倍内閣の支持率が危険水域まで下がった理由は、「(総理の)人柄が信用できない」点にあるということである。
もし支持率低下の要因が「政策が悪い」「実行力がない」というものであれば、「外交」分野で失地挽回するための「冒険」に出ることは選択肢としてあり得ることである。
しかし、「(総理の)人柄が信用できない」と考えている国民の評価を、「外交」分野での「冒険」によって覆すのは容易なことではない。一般的に「人柄が信用できない」と思われた人の言動は、たとえ正当性を持ったものであっても好意的には受け入れられ難いからだ。
換言すれば、「人柄を信用できない」という評価を一発で覆すような政策は存在しないということである。官邸側が実績を積み上げていって信頼回復に努めたいという意向を示しているのも、それが分かっているからだ。
しかし、「人柄が信用できない」という理由で急低下した支持率を短期間に回復することが絶対に不可能なわけではない。それは、「支持率を回復する」という目標を達成するために、必ずしも「人柄」に対する信用回復が必要だとは限らないからだ。
Next: 「消費税減税」しかあり得ない!田原氏が総理に迫った冒険の中身
「政治生命をかけた冒険」=「消費税減税」
安倍総理にとって目下の目標は「支持率を回復する」ことであり、必ずしも「人柄が信用できない」という評価を払拭することではない。ここが田原総一朗氏が提言した「政治生命をかけた冒険」の要諦であるはずだ。
総理の「人柄」に対する不信感が強まる中で「支持率を回復する」ための必要条件は、「人柄が信用できない」という評価を埋め合わせてお釣りが来るくらいの魅力的な「実利」を、できるだけ多くの国民に提供することである。
こうしたことを考えると、田原氏が提言し、「(総理も)やるつもりじゃないか」とされる「政治生命をかけた冒険」とはズバリ「消費税減税」ではないかと筆者は考えている。
安倍内閣支持率の急落の原因は「人柄が信用できない」というものであるが、低支持率の底流にあるのは、多くの国民が「アベノミクスの恩恵」をいつまで経っても得られないという経済政策に対する不満である。もし、アベノミクスの恩恵が、期待通りに多くの国民に及んでいれば、「人柄が信用できない」という理由でここまで支持率が急落することはなかったはずである。
アベノミクスは、日本経済における戦後3番目に長い景気回復を達成し、株価も倍になり、有効求人倍率もバブル期を上回るなど、経済指標上では良好な成果をあげてきた。しかし同時にそれは、八割方の国民にとって景気回復の実感なき「国民の共感を得られていない成果」であることも事実である。
この「景気回復の実感」を醸成するために必要不可欠なのは、国民の多くが自分のところにお金が流れてくることを感じることである。多くの国民がアベノミクスによる景気回復の実感を得られていないのは、その恩恵が収入増という形で及んでくる気配すら感じられないからに違いない。
こうしたことは個人消費の低迷となって表れている。個人消費低迷の原因は単純なものではないが、そのきっかけとなったのが2014年4月から実施された消費税8%への引上げであることは確かである。
安倍総理にとっての「心外」
有識者のほとんどが太鼓判を押した消費増税によってアベノミクスが腰折れしたことは、必ずしも消費増税に積極的ではなかったとされる安倍総理にとって心外だったはずである。それを裏付けるように、安倍総理は2016年11月に消費税率10%への引上げ時期を2017年4月から19年10月に再延期する税制改正関連法を成立させ、同じ轍を踏まないようにしている。
安倍政権は個人消費を喚起するために財界に対して賃上げ要請を行っているが、思うような成果は挙げられていない。それによって、安倍政権が目論んでいた企業が潤うことで従業員にまで恩恵が及ぶという「トリクルダウン政策」はもはや死語と化している。
アベノミクスで日銀がばら撒いた資金のほとんどは日銀に還流し、量的緩和による円安などによる恩恵のほとんどは大手企業に独占された格好になっており、中小企業や国民には流れてきていないのが実情である。
Next: 迫るタイムリミット。安倍総理の「理想の死に際」はどちらか?
消費税減税はハイリスク・ハイリターンな冒険
「消費税減税」のメリットは、景気回復の実感を得られていない多くの国民に対して、政策効果を直接感じてもらうことのできる数少ない政策であることだ。消費税は逆進性の高い税でもあるので、「消費税減税」によって格差社会を生み出しているという批判を和らげることも期待できる。
「異次元の金融緩和」を行っている日銀は、個人消費低迷の要因について、長期に及ぶデフレ経済によって国民の「デフレマインド」が強まった結果だと分析している。しかし、「デフレマインド」以上に強いのは、高齢化社会の進行に伴って膨れ上がる社会保障費の財源を背景とした「増税マインド」である。
「消費税減税」は、こうした「増税マインド」に一旦歯止めを掛けることで、日本経済の大きな課題となっている個人消費を喚起できる可能性を秘めた「冒険」だと言える。
「消費税減税」は、その財源問題とともに財政規律を重視する人たちからは無責任な政策として大きな非難を浴びる可能性もある。そして、「増税=勝利」「減税=敗北」と考える財務省を敵に回しかねない危険な「冒険」である。
安倍総理にとって「理想の死に際」はどちらか?
財務省を敵に回すことは、安倍総理にとってまさに「政治生命をかけた大冒険」である。しかし、「内閣支持率が30%を割り込むと1年以内に政権は倒れる」というジンクスが生きているとしたら、「人柄が信用できない」という理由で政権が倒れるのと、消費税減税で財務省を敵に回すことで政権が倒れるのと、どちらの死に際を選ぶかという安倍総理の決断の問題でもある。
相次いだ閣僚の不祥事や自身の体調不良によって「政権を投げ出した総理」というレッテルを貼られた経験を持っている安倍総理は、「憲法改正を成し遂げた総理大臣」として歴史に名を残そうとしている。しかし、今のままでは「傲慢な政権運営で急激に支持を失った総理」という新たな汚名を着せられるだけになりかねない。
たとえ政権を維持できなくなったとしても、「傲慢な政権運営で急激に支持を失った総理」としてではなく、「個人消費を喚起して経済を立て直すために消費税減税を唱え、敢然と財務省などの抵抗勢力と戦って散った総理」として歴史に名を残すほうがはるかに得なはずである。
ここに来て、自民党内からは2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の黒字化目標を取り下げることを検討するという「消費税減税」に追い風となる動きも出てきており、こうした風をうまく利用すれば「支持率を回復する」という目的を達成することも不可能ではない。
Next: 安倍総理には財務省を敵に回すだけの合理的な理由が存在している
安倍総理には財務省を敵に回すだけの合理的な理由がある
「消費税減税」は、有識者の常識からすれば奇策、邪道かもしれないが、
「民進党、共産党、小沢さんも反対ではない」
「自民党内には反対する人がいる」
「今やるべきこと」
など、田原総一朗氏が示唆した条件をすべて満たす数少ない政策であることは間違いない。
見誤ってはいけないのは、安倍内閣が目指しているのは「(できるだけ早く)支持率を回復させる」ことであり、必ずしも総理の「人柄に対する信用を回復させる」ことではない、という点だ。
「消費税減税」に対しては強い反対論が出ることは間違いなく、支持率が急回復するかは定かではない。しかしそれは、財務省や有識者たちを味方につけるか、アベノミクスの恩恵を感じていない多くの国民を味方につけるかという選択の問題でもある。
そして今の安倍内閣にとっては、アベノミクスの恩恵を感じていない多くの国民を味方につけたほうが「支持率の回復」には近道なのは間違いない。
「消費税減税」によって「増税マインド」が薄れ、個人消費を喚起することができれば、「政策に期待が持てる」という評価とともに支持率が上昇する可能性は十分に考えられる。
減税によって家計に余裕が生まれ、それが安倍内閣の支持率を上昇させ、さらにそうした提案をした田原氏のジャーナリストとしての評価が高まれば「三方よし」となる。安倍総理に批判的であった田原氏がわざわざ敵に塩を送るような行動に出たのも、その提案が「三方よし」だと感じたからに違いない。
「消費税減税」は、財務省を中心とした財政規律派を敵に回す大きなリスクを負う「冒険」だが、危険水域まで支持率が急落し政権基盤が揺らいでいる安倍総理にとっては、「政治生命をかけた冒険」として決して悪くない選択肢であるはずだ。
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「孤独力の欠如」が生む転落劇。なぜ犯罪者には無職が多いのか?=午堂登紀雄
2017年8月1日 ニュース
「孤独に弱い人」ほど、社会に対して敵意を持ちます。世間はなぜ自分に冷たいのか? なぜ自分の思い通りにならないのか? 不満ばかりが溜まっていくのです。今回は「孤独」との正しい向き合い方を考えてみます。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』午堂登紀雄)
※本記事は有料メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』2017年7月24日号を一部抜粋したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。
「孤独」の光と影。あえて人を避けるなら次に転落するのは自分だ
孤独力の低い人は社会に恨みを持つ
ひとりの時間を楽しめない人、つまり孤独力の低い人間は、ヒマがあるとろくでもないことを考えるようになります。
実際、犯罪を犯して逮捕される人の共通点はほぼ「無職」であるように、彼らは何もすることがなく孤独な状態になると、自分が何者なのか、何をすればよいのかわからなくなります。
彼らは、自分の思い通りにならない人生、今の不満な状態に対し、それを改善・解決するために何をすべきかに考えが及びません。なぜなら、そのような内面の作業の経験がないからです。
だから自分が何をするかではなく、世間はなぜ自分に冷たいのか、なぜ自分の思い通りにならないのかと、不満ばかりが溜まります。それはやがて社会に対する敵意や憎しみとなり、放火や無差別殺人によって主張しようとします。
では、なぜそういう犯罪という形でしかアピールできないかというと、おそらく2つの理由が考えられます。
ひとつは、自分が注目を集めたい、自分という存在を見てほしいという欲求だけが強くなりすぎ、善悪の区別がつかなくなること。一方、「良い行い」というのは、周囲に対するインパクトがありません。ゴミ掃除をしても注目を集めることはありません。しかし、犯罪は一瞬にして皆を振り向かせることができ、自分の思いを巨大化させて知らしめることができます。
もうひとつは、仕返しの感情です。彼らは思考のレベルが浅いので、ざっくりと「世間」「社会」というあいまいなものに敵意を抱きます。具体的に誰に何を求めているのか、考えも及びません。だから対象は誰でもいいのです。
そして周囲に迷惑をかけ、慌てたり困っている人を見て安心します。不幸なのは自分だけじゃないし、もっと不幸になった人を見て、「ざまあみろ」と自分の溜飲を下げているわけです。
思考のレベルが浅いがゆえに「その見返りとして何が得られるか」「その行為の結果、自分がどういう事態になるか」という想像力すら失くしてしまうのです。
Next: 本当の意味で孤独を楽しめる人間は「絶対的な孤独」に陥らない
孤独に効く処方箋
こういう人に対する処方箋のひとつは、毎日疲れてバタンキューになるまで活動レベルを上げることです。
実はうまくいっていないという不満を持つ人ほど、日々の活動量が足りていないのです。不満を感じるほど体力が有り余っているわけですから、何も考えられなくなるほど何かに必死で取り組むことです。
「疲れた、とにかくもう寝たい」くらいにへとへとになれば、「こんないたずらをしてやろう」「こんなことをして社会に仕返しをしてやろう」というエネルギーすら出てきませんから。
人間の本能として、過酷な状況下では、今日を生き延びようという生存本能が強く刺激されます。どうすれば生き残れるかという思考は、どうすれば成果を出せるかという前向きなメンタルの獲得につながります。
いたずらや仕返しは自分の生存とは関係ありませんから、そういう行為はひどく幼くバカバカしく感じられます。
かつて悲惨な事故があった某ヨットスクールも、そうやって多くの若者を立ち直らせてきたわけですから、行き過ぎただけで、心理学的には非常に理にかなっている方法と言われているのもそのためです。
実際、僧侶の修行は荒行だったという話を聞いたことがあるのも、肉体を過酷な状態に追い詰めることが、悟りを開くための精神の修養につながるのだと、昔の人も知っていたのでしょう。
そしてこれはそんな特別なことではなく、スポーツや営業の世界でも、過酷な練習や仕事を経験してきた人のほうが心が成熟しているというのは、どの分野でも同じなのかもしれません。
本当に孤独な人間などいない
孤独になるのはイヤだからと、無理をしてでも誰かとつながろうとする行為。繰り返しになりますが、それは自分を隠して接することですから、相手も心を開いてくれず、結果としてむしろ心の孤立を招いてしまいます。つまり自分をさらけ出すことは、孤立しないようにすることです。
一方で、自立した人間は、孤独にはなりません。というより、孤独を楽しめるから孤独を感じることがないという方が正確でしょうか。
どんな人でも、自分から人間関係を避けようとしなければ、全員からハブられることはありません。学校でも、仮にネクラであっても、同じような人が近づいてくる。パーティーでも、ポツンと1人で立っている人に声をかけるような人もいます。
あるいは、そもそも他者に興味関心が薄く、誰かをハブるとか疎外するとかいう発想がない人もいるでしょう。だから孤独を恐れて自分を抑えつけないことです。
Next: 徹底的に人を避ける「絶対的な孤独」には転落の罠が潜んでいる
絶対的な孤独を求めてはいけない
しかし、孤独に悩む人の中には、自ら人間関係から距離を置く人が少なくありません。たとえば男性に多いですが、自分から人付き合いを避け、社会から孤立していきながら、「世間は冷たい」「国は何もしてくれない」と嘆くパターンです。
こういう「絶対的な孤独」に慣れてしまうと、ますます人間関係が苦手になります。なぜなら、他者との距離感がつかめなくなるからです。
他人との関係があるから、自分の位置を確認できるし、他人との関係があるから、自分の個性を認識できるわけです。
絶対的な孤独の中では、自分を映してくれるものがないため、逆に自分がわからなくなることがあります。たとえば無人島で1人で生きていれば、自分はこう考える、なんてことを考えることそのものに意味を見いだせないでしょう。
孤独を恐れる必要はない。しかし人を避ければ、人間関係の刺激に弱くなります。人との接点を減らせば、人間関係に対して虚弱体質になり、ちょっとした行き違いや摩擦で、心がどうしようもなく不安になり、それがますます自分の心にバリアを張って、人との距離を作ってしまう。
そんな悪循環を作っているのが、若者に多いとされる引きこもりや、定年退職した高齢者男性によく見られます。
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