政権直撃する神道小学校への国有地破格値売却疑惑−(植草一秀氏)
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11th Feb 市村 悦延 · @hellotomhanks
安倍首相が訪米し、トランプ大統領の招きでフロリダの別荘を訪問している。
夕食を共にしたが、国家元首を招いての晩餐会とは程遠い、ファミレスで夕食に近いものだった。
トランプ大統領が当選したことに慌ててトランプ私邸に「はせ参じた」のは昨年11月のこと。
文字通りの「土下座外交」になった。
トランプ大統領が就任すると、世界で何番目に首脳会談を実現できるのかを競う低次元の発想で、
今回の首脳会談実現にこぎつけた。
しかし、夕食会の設営など、国賓級の扱いとはかけ離れた極めて貧相なものである。
トランプ氏は日本を属国であると正確に認識しているのだと思われる。
このような会談で、日米二国間協議の開始を提案するとは愚の骨頂である。
米国はTPPを日本が譲歩する「発射台」と捉えている。
しかし、そのTPPは、日本が米国の要求を丸呑みしたもの、全面譲歩した代物なのだ。
何度も指摘しているが、牛肉・豚肉の輸入、乳製品の輸入で、日本はほぼ全面的に譲歩した。
「聖域として守る」としてきたその他の農林水産品目についても「聖域」として守った品目は1品目もない。
「主権を損なうから合意しない」
と公約した
「ISD条項」
も盛り込まれた。
そして、日本の輸出主力品である自動車の対米輸出関税率については、
乗用車は14年間、SUVを含むトラックについては29年間、
関税率の引き下げがまったく行われないことを、日本政府は受け入れたのである。
この日本が二国間協議に引きずり込まれれば、
さらに、米国の要求を次から次に吞み込まされることは確実である。
トランプ大統領が安倍首相を呼んで、別荘に2泊もさせることなど、
米国が獲得する果実に比べれば、ごみのような負担でしかない。
米国は
「尖閣が安保条約適用地域」
と繰り返すが、この発言に新規の価値は皆無である。
米国側が用意する「土産」が皆無であるため、これをカムフラージュするために、
何の価値もない
「尖閣は安保条約適用地域」
という空虚な言葉を繰り返しているのである。
安保条約は第5条で、日本施政下の地域を適用地域と規定している。
沖縄返還の際に、米国は尖閣の「施政権」を日本に引き渡した。
だから、「尖閣が安保条約の適用範囲」というのは、大統領が発言してもしなくても、
国務長官が発言してもしなくても、国防長官が発言してもしなくても、あたりまえのことで、
付加価値はゼロの言葉なのだ。
日本が問題にしているのは、尖閣の領有権である。
日本は尖閣の領有権は日本にあるとして中国と対立している。
中国は中国で尖閣の領有権は中国にあると主張している。
これが日中の対立点である。
この「尖閣領有権」について、米国のスタンスは明確である。
沖縄を日本に返還し、尖閣の「施政権」を日本に引き渡した時点から、「尖閣の領有権」について米国は、
「日本と中国のいずれの側にも立たない」
ことを明言してきた。
そして、いまなお、このスタンスを変えていない。
米国は日本に対しては、
「尖閣の施政権は日本にあり、尖閣は安保条約適用地域」
と繰り返す一方、
中国に対しては、
「尖閣の領有権問題については、日本と中国のいずれの側にも立たない」
ことを繰り返し明言しているのである。
米国大統領が、
「尖閣の領有権は日本にある」
と発言したなら、これはビッグニュースだ。
しかし、そんなことは一言も言っていない。
しかも、安保条約5条の条文には、尖閣で日本が他国からの攻撃を受けた際に、
米軍が出動するとは一言も書かれていない。
安保条約第5条の条文は次のものである。
第5条 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、
いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、
自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
米国の義務は、
「自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動する」
であって、
「武力出動する」
ことではない。
米国には「バンデンハーグ決議」があり、「相互主義」が採用されており、
日本が米国のために軍事出動できない現状では、
米国は日本のために軍事出動をしない可能性が圧倒的に高いのだ。
日本のメディアは、事実関係を正確に伝え、ニュース価値のないものを大きく取り扱うことをやめるべきだ。
トランプ大統領の別荘に招かれ、極めて気安い応接を受けている安倍首相だが、
こんな応接で、巨大な支払いをするのは愚の骨頂である。
日米二国間協議を日本から提案することがいかに愚かなことか。
朝貢外交そのものである。
帰国後の国会では、日米首脳会談の詳細が、審議で明らかにされる必要がある。
帰国後の国会審議では日米協議の是非が大きな論争点として浮上することになると思われるが、
これよりもはるかに重量級の重大問題が浮上している。
一部メディアがすでに伝えているが、安倍首相夫人である安倍昭恵氏が名誉校長を務める
「瑞穂の國記念小學院」の運営法人である学校法人森友学園が、
大阪府豊中市内の国有地を不当な安価で買取した問題が明るみに出たのである。
豊中市の木村真市議が情報公開請求したことにより、この問題に光が当てられた。
この問題を調査し、スクープ報道したのが朝日新聞である。
豊中市野田町の空き地だった約8770平方メートルの土地を、
国が2016年6月、この土地に小学校の開設を計画した学校法人「森友学園」(大阪市)に随意契約で売却した。
木村市議は2016年9月に、情報公開法に基づき価格の開示を求めたが、
木村市議による情報公開請求は通らなかった。
近畿財務局が「学園側から非公表を強く申し入れられた。
公表によって学校運営に悪影響が出る恐れがある」として情報公開を拒絶したと朝日新聞は報じた。
朝日新聞が登記簿などを調べた結果、
森友学園側に契約違反があった場合、国が「1億3400万円」で買い戻す特約がついていたことが判明した。
買い戻し特約の代金は売却額と同じ額におおむねなり、
森友学園の籠池泰典理事長が、売却額が買い戻し特約と同額と認めたため、
売却価格は1億3400万円であることが判明した。
朝日新聞の報道によると、
財務局が森友学園に売った土地の東側にも国有地(9492平方メートル)があったが、
この土地は2010年に公共随契で豊中市に売却された。
価格は約14億2300万円。
森友学園への売却額の約10倍とみられると報じている。
この土地は公園として整備された。
つまり、安倍首相の夫人が名誉校長を務める小学校の運営法人に対して、
国が随意契約で近隣地の10分の1の価格で土地を払い下げていた事実が発覚したのである。
森友学園が買った土地には、2017年春に同学園が運営し、
安倍昭恵氏が名誉校長を務める「瑞穂の國記念小學院」が開校する予定である。
森友学園の籠池泰典理事長は憲法改定を求めている日本会議大阪の役員で、
「瑞穂の国小学校」のホームページによると、
同校は「日本初で唯一の神道の小学校」とし、
教育理念に「日本人としての礼節を尊び、愛国心と誇りを育てる」と掲げている。
また、森友学園が運営する大阪の塚本幼稚園は、園児に毎朝教育勅語を唱えさせることで知られている。
安倍首相に直結する巨大スキャンダルの表面化である。
同校の名誉校長は安倍晋三首相の妻・昭恵氏。
近畿財務局は法人側の事業に影響があるとして非開示を決めた。
朝日新聞によるスクープ報道後、財務局は売却価格を公表。
安価な売却価格と価格非公表の理由について、取ってつけたような弁解を明らかにした。
「弁解」
によると、
問題の土地には地下埋設物があり、その埋設物撤去費用を差し引く必要があったため、
売却価格が廉価になったという。
また、森友学園より、地下埋設物の存在が周知されることにより
小学校に入学する保護者等への風評リスクが懸念されるため、売却価格非公開の要請があったとしている。
これらの諸点には疑問点が多々存在しており、気鋭のジャーナリストである菅野完氏が、
現在、厳しい追及取材活動を展開されている。
安倍政権は2006年に「教育基本法」を改定。
(教育の目的)
第一条 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として
必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
(教育の目標)
第二条 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ
次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
5 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」
と規定するととともに、
国家が家庭教育に介入するための根拠となる条文を潜り込ませた。
(家庭教育)
第十条 父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、
生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を
図るよう努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び
情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
安倍政権は今次通常国会に、教育基本法第10条に潜り込ませた、
国家権力の家庭教育の介入規定を活用して、国家が家庭教育に介入するための法律である
「家庭教育支援法案」
を提出する見込みである。
安倍首相は日本の政体を大日本帝国憲法下の政体に移行させたいと考えていると見られる。
そして、偏向した教育を行う学校法人に、疑惑の塊とも言える国有地の安値売却を行った疑いが浮上している。
安倍政権はこの問題で失脚する可能性があると思われる。