第27回党大会に対する中央委員会報告(第3回)
安倍政権を打倒し、新しい日本を !
幹部会委員長 志位和夫
(www.jcp.or.jp:2017年1月17日より抜粋・転載)
日本共産党第27回大会で、1月15日、志位和夫委員長がおこなった大会に対する
中央委員会報告は次の通りです。
第1章(新しい政治対決の構図と野党連合政権)について
◆「『日本共産党を除く』の『壁』が崩壊した」という指摘をめぐって
◆「野党共闘はうまくいくか」――今後の闘いにかかっている
◆「野党連合政権」と「国民連合政府」
――真剣な協議で政権問題での前向きの合意を
第2章(世界の新しい動きと日本共産党の立場)について
◆核兵器禁止条約の画期的な意義――米国の「書簡」が示すもの
◆二つの平和の地域共同体の意義――キューバとの交流から
◆米国大統領選挙の結果と、トランプ次期政権について
◆トランプ次期政権がどうなるか――いくつかの注目点について
◆中国について――「“社会主義をめざす国”といえるのか」
という疑問について
◆欧米での社会変革をめざす新しい潮流――欧州左翼党大会での交流から
以上は前2回投稿済みです。以下はその続きです。
第3章(安倍・自民党政権を打倒し、新しい日本を)について
次に、決議案第3章について報告します。この章は、安倍・自民党政権を打倒し、新しい日本をめざすたたかいの課題についてのべています。
◆安倍政権の危険と、それを打ち破る可能性について
決議案第13項は、第3章全体の「総論」にあたる部分ですが、安倍政権の危険と、それを打ち破る可能性についてのべています。
◆臨時国会が示したもの
――究極の「モラルハザード」(倫理喪失)政権
決議案は、安保法制=戦争法の強行という立憲主義破壊の暴挙を一大契機として、安倍政権のもとで、国家権力が憲法を無視して暴走を始めていることを告発しています。
その危険は、昨年の臨時国会でむき出しの形であらわれました。自民党、公明党、維新の会によって、TPP協定・関連法、年金カット法、カジノ解禁推進法――三つの大悪法の強行採決が連続しておこなわれました。
どれも国民の多数が反対、慎重審議を求めていた法案であります。ところが国民の声に耳を傾けることがまったくない。説明して理解を得ようという姿勢もまったくない。ただただ数の暴力で押し通す。安倍政権の強権政治、暴走政治は、歯止めをなくしてしまっています。
そればかりではありません。安倍首相は、年金カット法案の審議で、「私がのべたことを理解できないなら、こんな議論を何時間やっても同じ」と言い放ちました。萩生田官房副長官も「強行採決なんて世の中にありえない。採決を強行的に邪魔する人たちがいる」との暴言を展開しました。
山本農水大臣も2度にわたり「強行採決」暴言をおこないました。政府が国会に強行採決をけしかけ、その直後に強行採決を実行する――「予告つき強行採決」というべき「新方式」(笑い)が繰り返されました。
数の暴力で、三権分立も、議会制民主主義も破壊する――この姿は、究極の「モラルハザード」(倫理喪失)政権というほかないではありませんか。(拍手)
維新の会の「補完勢力」としての正体が、浮き彫りになりました。維新の会は、三つの大悪法のすべてで強行採決の先頭に立ちました。維新の会が、国会でやっていることは、安倍政権に媚(こ)びへつらうこと、野党共闘を攻撃すること――この二つだけであります。このどこが「改革勢力」か。まさに「別動隊」そのものではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
来たるべき総選挙では、自民党、公明党、維新の会の「悪政3兄弟」に、野党共闘の勝利、日本共産党の躍進で、退場の審判を下そうではありませんか。(拍手)
◆「なぜ安倍政権の支持率が高いのか」という疑問にこたえて
全党討論で、「なぜ安倍政権の支持率が高いのか」という疑問が出されています。内閣支持率には、さまざまな要因がありますし、時々刻々、変化します。“今後も支持率が高い”と、私がここで「保証」することは(笑い)、もちろんできません。そのことを前提におきつつ、この疑問に対しては、次の二つの点を強調したいと思います。
第一は、「高支持率」なるものの内実がきわめて脆(もろ)いということであります。今年の「党旗びらき」で紹介したことですが、イギリスのオックスフォード大学出版局は、2016年に注目を集めた言葉として、「ポスト真実」という言葉を選んだと発表しました。「ポスト真実」の政治とは、事実に基づかない主張、つまり嘘(うそ)・偽りを繰り返すことで、人々を扇動し、うねりをつくり出す政治を示す言葉であります。
アメリカの大統領選挙でのトランプ氏の言動などが、「ポスト真実」の政治の見本とされます。
ただ、「ポスト真実」の政治=嘘・偽りの政治は、トランプ氏の専売特許ではありません。日本にいるではありませんか(笑い)。安倍首相こそ、その「先駆的」な実践者ではありませんか(拍手)。いわく「(福島原発事故の汚染水の)状況は完全にコントロールされている」。
いわく「(南スーダンの)首都ジュバは比較的落ち着いている」。いわく「わが党は、結党いらい、強行採決をしようと考えたことはない」。いわく「不戦の誓いをこれからも貫いてまいります」。安倍首相のこの種の発言は、あげればきりがありません。いくらでもあげられます。
ずっとやっていますと、党大会が終わってしまいます(笑い)。どれもこれもが嘘・偽りですが、それを巨大メディアが無批判に垂れ流し、国民のなかにある幻想をつくり出しています。
しかし、私は言いたい。しょせんは、嘘・偽りにすぎません。安倍政権は、嘘と偽りでつくられた「虚構の政権」にほかなりません。真実の光をあてれば、必ず崩壊します。国会論戦で、国民との対話で、たたかいのなかで、安倍首相の嘘・偽りを暴き、事実にもとづく議論こそ大切であることを、粘り強く明らかにしていこうではありませんか(拍手)。必ず崩せるという確信をもってすすもうではありませんか。(拍手)
第二は、情勢を変えるカギは、野党と市民の共闘にあるということであります。安倍政権の主要政策の一つ一つを見れば、ほとんどすべてで国民多数が反対しているものばかりではありませんか。この内閣を支持するという人も、その多くは決して積極的支持ではありません。この点でも「高支持率」なるものの内実は、きわめて脆いものなのです。
ただ、それでも内閣支持率が高いということは、多くの国民に安倍政権に代わる強力な選択肢――「受け皿」がまだ見えていないということだと思います。
野党と市民が、「大義の旗」を掲げ、「本気の共闘」に取り組めば、安倍・自公勢力を打ち破ることは可能です。ここに「勝利の方程式」があることは、この間の沖縄での一連の選挙での勝利、昨年7月の参院選1人区の11選挙区での勝利、10月の新潟知事選の圧勝などでも、すでに実証されているではありませんか。
この流れを発展させれば、安倍政権を必ず倒すことができます。野党と市民の共闘を発展させ、多くの国民に「ここに安倍政権に代わる希望があり、展望がある」――魅力ある強力な別の選択肢――「受け皿」があることを示すことができれば、必ず情勢の大激変を起こすことができます。ここに確信をもって全力をあげようではありませんか。(拍手)
◆安保法制=戦争法廃止のたたかい、
「安倍外交」と日本共産党の立場
◆南スーダンPKOの自衛隊への新任務付与
――あまりに無責任な態度
決議案第14項は、安倍政権が、本格的な運用にのりだしている安保法制=戦争法の現実的危険として、南スーダンPKO、対IS軍事作戦、アフガニスタンでの米軍などの軍事作戦――三つの軍事活動への自衛隊の派兵の問題を告発しています。
安倍政権は、昨年11月、南スーダンPKOに派兵されている自衛隊に「駆け付け警護」などの新任務を付与し、任務遂行のための武器使用の権限を与えました。重大なことは、自衛隊に、戦後初めて「殺し殺される」ことになりかねない危険な任務を与えながら、南スーダンの深刻な現実を見ようとせず、自衛隊員が直面する危険をまともに検討しようともしない、きわめて無責任な態度をとっていることであります。
――南スーダンが内戦状態にあり、戦闘が繰り返されていることは、国連の公式文書が何度も指摘している世界周知の事実であるにもかかわらず、「内戦」ではない、「戦闘」ではないなどと、事実を偽る態度を続けています。
「戦闘」でないなら何なのかと聞くと、「衝突」だという。言葉のごまかしでとりつくろう。危険を危険と認めない態度こそ最も危険ではないでしょうか。(拍手)
――南スーダン政府軍が、国連PKO、国連施設、国連職員などへの攻撃を繰り返しているもとで、自衛隊が「駆け付け警護」をおこなえば、自衛隊が南スーダン政府軍と交戦し、憲法が禁止した武力行使に至る深刻な危険があります。
にもかかわらず、政府は、「(南スーダン)キール大統領は自衛隊を歓迎している」、「受け入れ同意が安定的に維持されている」などと、ここでも事実を偽る態度を続けています。
――陸上自衛隊部隊が、昨年7月、首都ジュバで大規模な武力紛争が発生したさいの状況を記録した日報を廃棄していたことが明らかになりました。日報が廃棄されてしまえば、現地で自衛隊がどんな状況に置かれていたかについて、国民は把握するすべがなくなり、まったくのブラックボックスになってしまいます。「廃棄」は、「黒塗り」以上の最悪の情報の隠蔽(いんぺい)にほかなりません。
――昨年12月、国連安全保障理事会に提出された南スーダン政府に対する武器禁輸などを定めた制裁決議案に、日本政府は中ロなどとともに棄権し、決議案を廃案に追い込みました。「南スーダン政府を刺激したくない」ということが表向きの理由ですが、棄権した真の理由は、この決議案に賛成すれば「受け入れ同意が安定的に維持されている」という自らの説明が虚構であることを、自ら認めることになる――ここにあります。
自衛隊の派兵を続けるために、大量虐殺の悲劇を抑え込むための国際社会の努力を妨害するとは、本末転倒もきわまれりではありませんか。(拍手)
安倍政権が、安保法制=戦争法の運用第1号となった南スーダンPKOへの派兵について、自分がつくった法律に照らしても説明不可能な、あまりにも無責任な態度をとっていることは、きわめて重大であります。一事が万事、こういう無責任な態度で、安保法制=戦争法がどんどん運用されたら、取り返しのつかないことになります。
日本共産党は、自衛隊への新任務付与をただちに撤回し、自衛隊を南スーダンからすみやかに撤退させ、日本の貢献を非軍事の民生・人道支援に切り替えることを強く求めるものであります。(拍手)
安保法制=戦争法を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回するための世論と運動をさらに発展させることを心から呼びかけるものであります。(拍手)
◆「海外派兵のための軍事費を削って暮らしに
まわせ」の闘いを
決議案は、軍拡予算をはじめ「戦争する国」を支える体制づくりを許さないたたかいを呼びかけています。
安倍政権が決定した2017年度予算案のうち、軍事費は過去最大の5兆1251億円に達しました。5年前との比較で4千億円の増額であります。
「統合機動防衛力の構築」――陸海空自衛隊が海外に迅速かつ持続的に展開できる能力を構築することをめざし、オスプレイ、ステルス戦闘機、水陸両用車、無人偵察機、新型空中給油機などを導入するとともに、日本版“海兵隊”である「水陸機動団」などの新たな部隊編成をすすめようとしています。
4千億円といえば、安倍政権のもとでの生活保護費削減、診療報酬の削減、介護報酬の削減をあわせた額になります。社会保障費は無慈悲な「自然増」削減路線を続けながら、軍事費は「聖域」で突出させる。安保法制=戦争法が暮らしを押しつぶし始めたことは、きわめて重大であります。
「海外派兵のための軍事費を削って暮らしにまわせ」――このたたかいを大いに起こそうではありませんか。(拍手)
−この続きは次回投稿します−
*日本操り対策班:
安倍自公政権を支配する、ジャパンハンドラーズ(日本操り対策班)として有名なのは ?
リチャード・アーミテージ、カート・キャンベル、マイケル・グリーン、ジョセフ・ナイ、ジェラルド・カーティス、ロバート・フェルドマン、ケント・カルダー、エドワード・リンカーン、バーグステン、グレン・ハバード、ローレンス・リンゼー、カート・キャンベル、ウィリアム・マーティン等。
(副島隆彦氏の説)
*補足説明:隠れ自民党とは ?
安保法案に賛成、安倍内閣不信任案に反対、「日本収奪の最終兵器」・TPPに賛成の
日本維新の会(元・おおさか維新)・新党改革・日本のこころを大切にする党(元・次世代の党)・日本を元気にする会は、看板だけの野党で、正体は、隠れ自民党で〜す !国民騙し上手は、安倍首相並みです。
故に、党首討論・国会等で、自民党批判はせず、野党共闘批判等
をして、安倍首相を助けています。