異例のトランプ氏なら打破できるか−共和党政権下でのリセッション
Rich Miller
2016年12月26日 06:58 JST
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第2次世界大戦後に就任した共和党出身の米大統領、1回は経験
民主党政権は実績で勝るが、運による部分も
来年1月20日の就任の準備を進めるトランプ次期米大統領にとって、ありがたくない「都市伝説」がある。第2次世界大戦後に就任した共和党出身の大統領は在任中に少なくとも1回はリセッション(景気後退)を経験するというものだ。
もちろん俗に言うように、過去のパフォーマンスは必ずしも将来の結果を指し示すものではなく、トランプ氏は在任中に景気の落ち込みを回避できるかもしれない。
だが、現行の景気拡大局面は間もなく過去3番目の長さを記録する方向で、トランプ氏がホワイトハウスにいる間にリセッションに見舞われるリスクをたやすく否定することはできない。
米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の世界経済アドバイザー、ヨアヒム・フェルズ氏は今月12日付のブログでリセッションについて、「共和党の大統領はどうやら避けることができないようだ」と記した。
民主党出身の大統領の場合、事情は違う。オバマ大統領は、ジョージ・W・ブッシュ前政権から引き継ぐ形で、政権発足当初6カ月はリセッションの辛酸をなめた。ケネディ大統領の就任直後に米経済はリセッションを脱した。カーター大統領とトルーマン大統領の在任中に米経済はリセッション入りしそれから脱却した。
それでも、1960年代のジョンソン政権と90年代のクリントン政権の下ではリセッションはなかった。
クリントン政権時に大統領経済諮問委員会(CEA)メンバー、連邦準備制度理事会(FRB)副議長などを務めた米プリンストン大学のアラン・ブラインダー教授は、学会誌アメリカン・エコノミック・レビューに今年掲載された同僚のマーク・ワトソン教授と共同執筆の論文で、「大統領が共和党出身であるよりも民主党出身である場合の方が、米経済のパフォーマンスは良好だった」と指摘した。
しかし、両教授によれば、こうした違いは民主党政権下での一段と拡張的な財政政策や緩和的な金融政策によるものではない。むしろ、石油ショックの影響がより穏やかだったことや、もっと良好な国際環境、生産性向上をもたらす技術進歩、より楽観的な消費者といった要因によるものだという。こうした相違点の一部はより良い政策によって説明できるかもしれないが、運による部分もある。
PIMCOのフェルズ氏は、歴代の大統領がリセッションを回避したり、逆にそれを招いたりする能力を過大評価すべきでないと警告する。結局、景気の浮沈は連邦準備制度が金利変更を通じてもたらすケースが多い
トランプ氏は選挙戦で、自身の計画によって年率3.5%の成長を実現すると公約した。これは現行の景気拡大局面の2.1%を大きく上回るものだ。ただ、共和党政権下のリセッションをめぐる記録を否定することはできない。異例づくめの次期大統領として、トランプ氏が成功を収めるには、これも打ち破らなければならない同党のもう一つの「伝統」なのかもしれない。
原題:Trump Needs to Thwart Recession-Prone History of GOP Presidents(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-25/OIKQFP6TTDS701
トランプ氏安保側近、ソ連KGB関係で罪歴ある人物の会社とビジネス
David Kocieniewski、Peter Robison
2016年12月26日 07:27 JST
国家安保問題担当補佐官に起用のフリン氏、ブレインウェーブと協業
ブレインウェーブの共同創業者、バイオ資料を偽装工作員に売却
トランプ次期米大統領が国家安全保障問題担当補佐官に起用したマイケル・フリン氏は、ボストンのブレインウェーブ・サイエンスというテクノロジー会社と今年ビジネスで提携した。この会社を共同経営するスブ・コタ氏はかつて、盗難されたバイオテクノロジー関連の資料をソ連国家保安委員会(KGB)に売ろうとしたとして、有罪判決を受けている。
スブ・コタ氏はソビエト崩壊前にソ連の工作員に偽装した米連邦捜査局(FBI)の捜査官に資料を売ったとして、1996年に有罪を認めた。ブレインウェーブ・サイエンスは同氏を含む2人で取締役会を構成する。数年に及んだ米連邦裁判所での審理で検察側が提示した証拠は、コタ氏が1985年から90年にかけ、KGBの工作員と繰り返し会い、米国のミサイル防衛技術をソ連に売る数十万ドル規模のスパイ活動に関わったとしている。同氏はスパイ活動への関与を否定。ただ、バイオテクノロジー関連の容疑で有罪答弁に応じ、軍用ヘリコプターのスケッチを共同被告人に売ったことを認めた。この共同被告人は後に、KGBの工作活動に関与していたとして有罪判決を受けた。
フリン氏は30年以上の軍歴を経て、米国防情報局(DIA)の局長になったが、政策に関する見解の不一致でオバマ大統領に2014年に解任された。同氏は民間コンサルタント会社、フリン・インテル・グループ(FIG)を創立し、サイバーセキュリティーや国防請負の分野で複数企業とのビジネスに携わっている。同氏はこの春、ブレインウェーブ・サイエンスとの協業を開始した。
フリン氏はロシアとの緊密な関係を広く批判されている。この1カ月、同氏にインタビューを申し込んでいるが、応じていない。トランプ氏の政権移行チームでスポークスマンを務めるジェイソン・ミラー氏は、フリン氏はコタ氏と会ったことも、話をしたこともなく、ブレインウェーブ・サイエンスとの関係はすでに終わっていると電子メールで述べた。
一方のコタ氏は22日の電話インタビューで、同氏に対する訴追およびKGBとの関わりを誤解だと表現。ロシアのスパイに偽装した米連邦捜査官にバイオテクノロジー関連の資料を売却したことは認めたが、これは特許紛争に関するものであり、スパイ活動ではないと述べた。
原題:Trump Aide Partnered With Firm Run by Man With Alleged KGB Ties(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-25/OINBS96VDKHW01
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/197.html