ロシアが国後島と択捉島に対艦ミサイルを配備したという報道で何より怪訝だったのは、“北方領土”にミサイルが配備されたことへの安倍政権の対応ぶりである。
タイトルに付加した「一日の間(ま)」というのは次のような経緯を表している。(関連記事記事は末尾に転載)
ミサイル配備報道の翌日、菅官房長官は、択捉島と国後島に新型ミサイルが配備されたことがロシアとの平和条約交渉に影響があるか問われ、「全くない」と答えている。
仮に、そのような対応を民主党(民進党)政権が行っていたら、“主権放棄の弱腰外交”と非難囂々だったろう。
国後島も択捉島も、日本政府が長年にわたって“日本固有の領土”と主張し、首相などロシアの高官が訪問すると抗議など厳しい対応を見せてきたところだからである。
おかしな対応を見せているなと思っていたら、その翌日、首相・外相・官房長官が、露のミサイル配備に対し、“遺憾に思う”・“抗議する”・“遺憾であり抗議したい”と厳しい態度に変わった。
どこかから助言があって態度を変えたのか、初めからそういう二段構えの対応を考えていたのかはわからないが、「一日の間(ま)」は、日露交渉の進展状況をいろいろと推測させる奇妙なものであったことは確かである。
※関連参照投稿
「安倍首相の発言は国民や政治家の“期待値”を下げるためのもの:北方領土外交ではなく日露平和条約外交」
http://www.asyura2.com/16/senkyo216/msg/372.html
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プーチン・安倍会談を前にした防衛計画の発表、これは偶然か?
オピニオン
2016年11月30日 12:15
タチヤナ フロニ
プーチン大統領の訪日まで残すところ1ヶ月弱。この段になって両国とも互いにとって非常に気に障る知らせを発表している。
ロシアは南クリル諸島の2島への沿岸用ミサイル複合の「バスチオン」と「バル」の配備を明らかにし、日本政府は「ジャパンニュース」紙の報道によれば、今年度予算中に米国の広域防空用ミサイル「パトリオット−3」の購入のために追加予算を組むと断言した。
共同通信も、防衛省は米MDの「戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)」の国内配備を検討する委員会を設置する計画だと報じている。
12月、稲田防衛相はグアムでTHAADを自身の目で視察しようとしていることはすでに知られており、この後詳細がつめられ、来夏までには最終的な決定がとられる。
ただしこの日本の計画の発表時期については、ロシア人軍人専門家のウラジーミル・エヴセーエフ氏は偶然に選択されたものではないとの見方を示し、次のように語っている。
「交渉の中心テーマは平和条約締結の条件と領土問題の解決となる。だが交渉はあらゆる方向性について行なわれるだろう。軍事政治対話の枠内ではロシアの沿岸ミサイル複合『バル』と『バスチオン』についても、日本のTHAAD国内配備の可能性についても話が及ぶ可能性は十分ある。
妥協に達するために双方はそれぞれの計画を修正するとおもう。日本は購入する兵器の数、その型、展開の場所をいじるだろう。ロシアも譲歩として『バスチオン』を取り除くかもしれないが、それには日本の側に何らかのそれと同等な行動がなければ成り立たないだろう。
このため双方とも日本での交渉の前に自分のポジション固めを行い、独自の交換のための可能性を作ろうとするだろう。我々が目にしているのは今のところ交渉プロセスの形成にすぎない。」
アナリストの間ではまさに2島にミサイル複合を配備したということに政治的な暗示がこめられているとする見解が挙げられている。つまりこの2島はロシアのものだが、シコタン(色丹)とハボマイ(歯舞)は日本との妥協の対象になりうるという示唆だ。
これについて歴史家で日本専門家のアナトーリー・コーシキン氏にマイクを向けてみた。
「抑止戦力として防衛システム『バスチオン』と『バル』をイトゥルプ、クナシル両島へ配備するという話はすでに今年3月の時点でショイグ国防相が明らかにしていた。このため、ロシア指導部がまさにこの配備によって安倍首相との交渉を前に自分のポジションを固めているというのは、私は根拠に欠けた話だと思う。
一方で日本領内へのMD配備は朝鮮民主主義人民共和国の核ミサイルの脅威に対抗するために必要だと説明されているが、この米国のMDはロシアのミサイルシステムに対しても同様の効果を発揮するために用いられうるではないか。
たしかに双方とも、ミサイルというテーマは12月のプーチン・安倍会談には影響しないと確証しているが、これで対立の要素がさらに増やされたことになる。このため実際はこの要素によって両国の国境線画定の合意はさらに複雑化する恐れがある。」
隣国韓国は今年7月、THAADの配備を決めた。日本はこの計画を支持し、逆にロシアと中国は異議を唱え、憂慮の念を現した。中国黒竜江省社会科学アカデミー北東アジア調査センターの笪志刚所長は次のような見解を表している。
「日本がすでに艦対空ミサイル『SM−3』や防空用ミサイル『パトリオット−3』を保有していることは知られている。もしこの国の領域にさらに『THAAD』のようなミサイル複合が配備されたら、日本は高度、中度、低空用迎撃ミサイルを有したMDを所有することになってしまう。
来月、日本の専門家らがこうした問題を討議するため訪米することになっている。
こうした行動が発しているシグナルは、日本は日米韓の間の軍事同盟を創設することに力を集結しているというものだ。こんにち、日韓政府はすでに諜報データーの交換条約を締結しており、これを米国も歓迎している。
こうして朝鮮民主主義人民共和国からの核の脅威という前提のもとに日本はTHAADを配備し、軍備の刷新を図るのであれば、北東アジアの地政学的安定を脅かし、将来この地域での軍拡競争を煽動することになりかねない。」
https://jp.sputniknews.com/opinion/201611303066081/
※関連参照記事
ロシア 択捉島と国後島に新型ミサイル配備[NHK]
11月22日 22時01分
ロシアのメディアは、ロシア国防省が北方領土の択捉島と国後島に新型の地対艦ミサイルシステムをそれぞれ配備したと伝え、プーチン大統領の日本訪問が来月予定される中、北方領土の防衛力を強化する姿勢を鮮明にしました。
これはロシアのメディアが22日、伝えたもので、それによりますと、ロシア国防省は、軍の部隊が駐留している北方領土の択捉島と国後島に、地上から艦船を狙う新型の地対艦ミサイルをそれぞれ配備したということです。
このうち択捉島に配備された「バスチオン」の射程は500キロで、国後島に配備された「バル」の射程は300キロだということです。
ロシア国防省は現在、択捉島と国後島で兵士の宿舎など、およそ400の関連施設の建設を進めるなど、軍の近代化を進めています。北方領土に地対艦ミサイルを配備する計画は、ことし3月にロシアの国防相が発表していましたが、ロシアのメディアは実際に配備が完了したことで、年内にも発射訓練が行われると伝えています。
ロシアとしては、プーチン大統領の日本訪問が来月予定される中、北方領土を自分たちの領土として防衛力を強化する姿勢を鮮明にしたといえます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161122/k10010780891000.html?utm_int=all_side_ranking-social_003
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官房長官、露ミサイル配備、 平和条約締結交渉への影響なし[スプートニク日本語]
2016年11月24日 13:58(アップデート 2016年11月24日 16:29)
菅義偉官房長官は24日午前の記者会見で、ロシア軍がクリル諸島新型ミサイルを配備したとの報道に関して、平和条約締結交渉への影響を与えないと声明した。
記者団の、択捉島と国後島に新型ミサイルを配備質問と平和交渉への影響の有無という質問に対して、「全くない」と回答。また、今後の平和交渉について「双方が受け入れ可能な解決策のため、交渉に粘り強く取り組む」と強調した。
https://jp.sputniknews.com/japan/201611243044298/
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安倍首相、クリルのミサイル配備は遺憾、領土に関する立場に変更はなし[スプートニク日本語]
2016年11月25日 15:01(アップデート 2016年11月25日 16:32)
安倍首相は25日午前の参院本会議で、北方領土に対する日本の従来の立場に一切変更はないことを明らかにした。
首相は、ロシア軍のクリル諸島(北方領土)のイトゥルプ(択捉)島とクナシル(国後)島への新型ミサイルの配備について「外交ルートを通じて(北方四島は日本固有の領土とする)わが国の立場と相いれず、遺憾である旨を伝えた」ことを明らかにした。
安倍首相は、北方領土については12月に山口県で行なわれる首脳会談で忌憚のない話し合いを行ない、「平和条約交渉についても前進を図っていくことが必要だと考えている」という表現にとどめている。 その上で安倍首相は、戦後70年以上も解決できなかった問題がたった1度の首脳会談で解決できるような簡単なものではないと重ねて指摘し、「首脳間の信頼関係がなければ解決しない問題だ。一歩一歩着実に進めていく」、「北方4島の将来の発展について、日本とロシアがウィンウィン(相互利益)の形で進めていくことが何よりも重要だ」と慎重な姿勢を示した。
https://jp.sputniknews.com/politics/201611253048623/
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日本はクリル諸島のミサイル配備に抗議、日本外務省[スプートニク日本語]
2016年11月25日 16:38(アップデート 2016年11月25日 18:35)
岸田外相は、南クリル諸島(日本の言う北方領土)へのロシアのミサイル配備について日本は抗議した事実を明らかにした。
岸田外相は衆院安全保障委員会の会議で議員らに対し、「抗議したと理解いただければと思う」と指摘した。共同通信が報じた。
これより前、安倍首相は「日本は 外交ルートを通じて(北方四島は日本固有の領土とする)わが国の立場と相いれず、遺憾である旨を伝えた」ことを明らかにしていた。
https://jp.sputniknews.com/japan/201611253048770/
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日本は南クリルの露ミサイル配備は容認できない、菅官房長官[スプートニク日本語]
2016年11月25日 18:33(アップデート 2016年11月25日 20:13)
菅官房長官氏は南クリル諸島(日本の言う北方領土)へのロシアのミサイル配備について記者会見で「遺憾であり、受け入れられない旨をしっかり抗議した」と強調した。
長官はブリーフィングで記者らに対し、日本としては配備は受け入れられないとして、11月24日、外交チャンネルを通し、断固とした抗議を申し入れた事実を明らかにした。