世界の金融市場、荒波静まる−トランプ氏の経済政策見極める動き
Rita Nazareth、Stephen Kirkland
2016年11月9日 16:55 JST 更新日時 2016年11月10日 02:43 JST
世界の金融市場では株式投げ売りや質への逃避が一段落し、ドナルド・トランプ氏が予想に反して米大統領選挙で勝利したことの影響を見極めようとする動きが広がった。
米国株式市場では指数先物が一時急落していたが、ヘルスケアや銀行株が買われ、S&P500種株価指数は9日午前の取引で上昇した。米国債市場では長期債が大きく下げ、共和党支配の下で歳出を拡大するとの観測を反映。利上げ見通しの後退で2年債は上昇した。外国為替市場ではメキシコ・ペソが急落。米国との関係が瓦解(がかい)する可能性が警戒され、過去最安値をつけた。一方、米ロ関係の改善への期待からロシア株は急伸。金と円は上げ幅を縮小した。
バンク・オブ・モントリオールの金利取引部門のマネジングディレクター、クレイグ・コリンズ氏(ロンドン在勤)は「リスク資産が安値から戻した動きは見事だ」と指摘。「リスクオフによる膨大な質への逃避で取引が始まるとの感触だったので、非常に驚いている」と述べた。
S&P500種は過去2番目に長い強気相場に入っており、政策継続を当てにする市場はトランプ氏勝利で動揺する可能性があるとアナリストらは予想していた。投票が締め切られる前、大半の世論調査は民主党候補のヒラリー・クリントン氏優勢を伝えていた。トランプ氏は移民受け入れの大幅制限や自由貿易協定の再交渉などを公約に掲げている。同氏は勝利宣言で、国内インフラの再建に力を入れると約束した。
原題:Market Turmoil Eases as Investors Weigh Trump’s Plan for Economy(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-09/OGD4N06KLVR401
米国株:銀行や重機が上昇−トランプ次期大統領の企業政策に期待
Anna-Louise Jackson
2016年11月9日 12:04 JST 更新日時 2016年11月10日 07:52 JST
9日の米国株は上昇。ダウ工業株30種平均は一時、最高値での取引終了に迫ったが失速した。この日は銀行や重機メーカーなどが買いを集めた。ドナルド・トランプ次期米大統領が企業に有利な政策を進めるとの観測が背景だ。
ヘルスケア関連や銀行が上昇。投資家はヒラリー・クリントン民主党候補が勝利していた場合は規制当局による厳しい調査が行われるだろうとみていた。製薬のファイザーやメルクは急伸。JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス・グループはいずれも上昇した。
S&P500種株価指数は1.1%上昇の2163.26。ダウ工業株30種平均は256.95ドル(1.4%)高い18589.69ドル。ナスダック総合指数は1.1%上昇した。
NY証取のトレーディングフロア
NY証取のトレーディングフロア Photographer: Michael Nagle/Bloomberg
BMOグローバル・アセット・マネジメントのマルチ資産ソリューション責任者、ローウェル・ユラ氏は「基本シナリオは候補者としてのトランプ氏ではなく、より落ち着いたトランプ大統領となる可能性が高い。市場も同じ見方だ」と述べ、「短期的な企業利益や経済成長にはそれほど大きく影響しないだろう」と続けた。
トランプ氏の勝利後は一時、世界的な株安や安全資産の上昇を招いたが、同氏が経済成長を押し上げるために財政支出を拡大するとの見方が広がると売りは反転した。また大統領選勝利後の演説がより懐柔的なトーンだったことも手掛かりとなった。CBOEボラティリティ指数は9日、23%低下した。これは過去5年間で最大の低下率だ。
議会では共和党が過半数議席を獲得し、これにより企業寄りとみられる法律の制定が可能になるとみられているものの、トランプ氏が掲げる米国への移民取り締まりやメキシコなど自由貿易協定を結ぶ国との再交渉による影響に対して根強い懸念がある。
S&P500種業種別11指数で金融は4.1%高、公益事業は3.7%下げた。トランプ氏の公約であるインフラ支出の拡大を見込んでユナイテッド・レンタルズやキャタピラーは買い進まれた。
米金融当局による12月の利上げを織り込む確率はトランプ氏の勝利直後に50%を下回ったがその後は再び上昇し、8日午後の水準だった86%に戻した。
原題:U.S. Stocks Surge as Banks, Drugmakers Rally Amid Trump Victory(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-09/OGCTME6JIJV301
NY外為:ドルが大幅高、トランプ氏の勝利演説で懸念が和らぐ
Lananh Nguyen、Anchalee Worrachate
2016年11月10日 06:11 JST 更新日時 2016年11月10日 07:50 JST
9日のニューヨーク外国為替市場ではドルが上昇。ドル指数は英国が欧州連合(EU)離脱を選択した翌日の6月24日以来の大幅高となった。ドナルド・トランプ氏の勝利演説を受け、大統領選の予想外な結果に対する市場の懸念が和らぎ、アジア市場でのドル売りの流れが反転した。
共和党が上下両院を制した議会とトランプ政権が歳出拡大で経済成長を促すとの見方から、ドルは主要通貨の大半や新興市場通貨に対して上昇した。米金利先物市場が示唆する12月利上げの確率は80%超に上昇した。トランプ氏の勝利が確実となった時点では50%を下回っていた。
トランプ氏が勝利演説した午前3時前の時点で既に、ドルの回復は始まっていた。一時は逃避通貨とみられる円に対して3.8%下げていた。
クレディ・アグリコルの法人・投資銀行部門でG10通貨戦略責任者を務めるバレンティン・マリノフ氏は「1月の大統領就任式まで政治リスクが高まりそうにないため、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合への注目が高まるだろう」と述べた。
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比1.4%上昇し、3月以来の高水準に達した。ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対円で0.5%高い1ドル=105円67銭。対ユーロでは1.1%高の1ユーロ=1.0910ドル。一時は2%余り下げる場面もあった。
共和党が上下両院を制したこともあり、トランプ氏の勝利は米国政治の大転換になりドルに直接影響すると予想されている。不動産王のトランプ氏は貿易協定の破棄を公約し、中国を為替操作国と呼び、強いドルが米国の競争力を損ねていると主張している。
勝利演説するトランプ氏
勝利演説するトランプ氏 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
スイスクオートの外為ディーリング責任者、ステファニー・マリー氏は「演説で市場は落ち着きを取り戻した。これまで奇抜で誇大妄想的なトランプ氏しか知られておらず、わたしも非常に攻撃的な演説を予想していた。しかし演説はプロフェッショナルで大統領らしく、意外だった」と語った。
大部分のアナリストがトランプ氏勝利の場合は直後にドルが大幅安になると予想していたが、ジュリアス・ベアとランド・マーチャント・バンクは長期的にはドルは上昇するとみていた。減税や最大5000億ドルのインフラ投資などトランプ氏の公約がインフレ圧力となり、米国で金利が上昇し、ドルの魅力が高まるとの見方だ。
ランド・マーチャントのジョン・ケアンズ氏は大統領選前に、トランプ氏の計画でアップルやマイクロソフトなど米国の多国籍企業が数十億ドルのオフショア資金を米国に戻し、最終的にドルの需要を高めると話していた。
シティグループのG10通貨戦略のグローバル責任者、スティーブン・イングランダー氏は「しばらく未知の領域を進むことになりそうだ。資産市場の値動きや経済の動向がこの出来事が理由でどれだけさらに荒くなるか分からないからだ」と述べた。
原題:Dollar Surges Most Since Brexit After Trump Election Surprise(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-09/OGE7C56VDKHS01
米国債:急落、30年債利回りは40年ぶり大幅上昇−トランプ氏勝利で
Susanne Barton、Eliza Ronalds-Hannon
2016年11月9日 21:56 JST 更新日時 2016年11月10日 07:51 JST
米国債相場は急落。30年債利回りは少なくとも1977年以降で最大の上げとなった。トランプ政権と共和党主導の議会が、景気てこ入れに向けて歳出を拡大し、インフレをあおるとの見方が広がっている。
現在の利回り水準に調整されたベースでは、1日の上昇幅はブルームバーグのデータでさかのぼれる1977年2月以降で最大。10年債利回りは1月以降で初めて2%を超えた。またインフレ期待を示す債券市場の指標は2015年7月以来の高水準に上昇。期間が長めの債券のパフォーマンスが短め債券を下回り、イールドカーブはスティープ化した。
TIAAインベストメント・マネジメントのチーフ投資ストラテジスト、ブライアン・ニック氏は「思い出せる限りで最大の政治的サプライズに対する1日の反応だ」とし、「債券市場はインフレ期待の上昇の影響を受けている。インフレ期待は極めて低い水準から上がってきた。来年の財政政策はより拡大的なものになるとの観測が背景にある」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在の10年債利回りは前日比20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.06%。同年債(表面利率1.5%、2026年8月償還)価格は1 3/4下げて95 3/32。
30年債利回りは23bp上げて2.85%。
2年債と30年債の利回り差は19bp拡大して195bpと、終値ベースでは2月4日以降で最大。
期間が長めの国債は、新たな供給も重しとなった。この日実施された10年債入札(発行額230億ドル)では、投資家の需要が2009年以来の低水準。10日には30年債入札(同150億ドル)が実施される。
向こう10年間のインフレ期待を示す10年ブレークイーブンレートは1.85ポイントに上昇した。
市場では、民主党候補ヒラリー・クリントン氏が勝利すればこれまでの政策がある程度継承されるとみられていた一方、トランプ氏に関しては未知の部分が多い。不動産王の同氏は、貿易協定破棄の方針を示しているほか、ドル高で米国の競争力が削(そ)がれていると指摘している。
リアリティー番組の元スターでもあるトランプ氏は、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長や議会指導者の批判もしている。先物市場に織り込まれる12月の利上げ確率は、トランプ氏勝利の公算が大きくなる中でいったん低下したが、その後は回復した。
トランプ氏勝利を伝える英夕刊紙
トランプ氏勝利を伝える英夕刊紙 Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg
プルデンシャル・ファイナンシャル債券部門の最高投資ストラテジスト、ロバート・ティップ氏は「市場は混乱している。貿易戦争への懸念が米国債価格に表れつつある」と指摘。「市場は不確実要素を好まない。市場に不安が広がれば、12月の利上げは脇に押しやられる可能性がある」と続けた。
24時間取引される米翌日物指数スワップに基づけば、12月の利上げ確率は一時大きく低下して50%を割り込んだが、その後86%に回復した。
原題:Treasuries Plunge Most in Four Decades as Trump Spurs Selloff(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-09/OGDHVT6KLVRH01
米経済の成長促進に新たな政策が必要=ミネアポリス連銀総裁
[9日 ロイター] - 米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は9日、議会と大統領が生産性と人口を拡大する政策に着手しない限り、米経済の低成長が続くとの見方を示した。ウィスコンシン州での企業幹部との会合で語った。
大統領選で勝利した共和党候補のドナルド・トランプ氏の政策や人柄、共和党が多数派を維持した議会について直接言及することはなかった。
総裁は、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を分析する上で財政政策を「材料の一つ」として勘案するとし、次期大統領と新議会でどのような政策が実施されるか見極める必要があると表明。
「議会は先に、FRBに金融政策の設定を委ね、干渉しないと伝えてきた。その代わり、FRBも議会に干渉しない」と語った。
その一方で、人口増加は経済成長の主な原動力であり、国民は成長鈍化を受け入れるか、または高い政策コストをかけて出生率引き上げに着手するか、あるいは移民を増やすかを選択する必要があると指摘した。トランプ氏は、移民を制限するためメキシコとの国境に壁を築くと公約している。
カシュカリ氏はまた、政府が生産性を上げるために基礎研究資金の支援や大学授業料の負担軽減、規制改革を進めることが可能だと語った。
投資家は9日時点で、FRBが12月の利上げ方針を維持するとみている。カシュカリ氏は次の利上げ時期について見解を示すことはせず、コアインフレ率、インフレ期待、失業率に注目していると述べるにとどめた。
トランプ氏は選挙戦でFRBについて、オバマ政権を支援するために低金利を維持している政治的機関だと主張した。総裁はこれには触れず、FRBはイメージ改善に努め、国民の信頼を取り戻す必要があると語った。
http://jp.reuters.com/article/usa-fed-kashkari-economy-idJPKBN1343OV
NZ中銀、過去最低の1.75%に利下げ 緩和終了を示唆
[ウェリントン 10日 ロイター] - ニュージーランド準備銀行(RBNZ、中央銀行)は10日、政策金利を2.0%から過去最低の1.75%に引き下げた。今回の利下げによってインフレは目標レンジ内に回帰するとの見通しを示した。
8:01AM JST
米経済の成長促進に新たな政策が必要=ミネアポリス連銀総裁
[9日 ロイター] - 米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は9日、議会と大統領が生産性と人口を拡大する政策に着手しない限り、米経済の低成長が続くとの見方を示した。ウィスコンシン州での企業幹部との会合で語った。
7:54AM JST
今日の株式見通し=急反発、米国株大幅高・円安で買い戻し優勢
[東京 10日 ロイター] - きょうの東京株式市場で日経平均株価は急反発となる見通し。米大統領選でのトランプ氏勝利後に米国株は大幅高。為替も1ドル105円台後半まで円安方向に振れている。前日に急落した日本株は序盤、買い戻しが優勢の展開が想定されるが、日中は戻り待ちの売りも見込まれ、高値圏で一進一退を続けるとみられている。
7:50AM JST
ドル幅広く買われる、トランプ氏勝利で米債利回り上昇=NY市場
[ニューヨーク 9日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが幅広い通貨に対し上昇した。対円では一時約4カ月ぶりの水準まで上げた。共和党のドナルド・トランプ氏が大統領選で勝利したことを受け、米国債の利回りが上昇したのが背景。
7:21AM JST
米国株式は急伸、トランプ氏勝利でヘルスケア・金融などに買い
[ニューヨーク 9日 ロイター] - 米国株式市場は急伸し、主要3指数の上昇率がそろって1%を超えた。米大統領選で勝利した共和党のドナルド・トランプ氏の政策で恩恵を受けそうなヘルスケアや金融などが活発に買われた。
7:20AM JST
オバマ氏「トランプ氏の成功応援」、円滑な政権移行に注力
[ワシントン 9日 ロイター] - オバマ米大統領は、共和党のドナルド・トランプ氏の大統領選勝利を受けて、円滑な政権移行に向け取り組む考えを示した。
4:11AM JST
クリントン氏、敗北認める トランプ氏への協力を表明
[ニューヨーク 9日 ロイター] - 米大統領選から一夜明けた9日、民主党候補ヒラリー・クリントン氏(69)は敗北を認め、次期米大統領に就任する共和党のドナルド・トランプ氏に協力していく意向を表明した。
4:07AM JST
ドル104円半ばに回復、トランプ氏政策中期でプラスとの見方も浮上
[ニューヨーク 9日 ロイター] - 午前の米ニューヨーク為替市場では、共和党のドナルド・トランプ氏による予想外の大統領選勝利を受けた急落からドルが回復した。市場ではトランプ氏が掲げる保護主義的な政策や減税、米企業の海外収益に対する課税強化などが、中期的にはドルの支援材料になるとの見方も一部で出ている。
1:50AM JST
欧州委、17年ユーロ圏成長率予想下方修正 政治的不透明感高まる
[ブリュッセル 9日 ロイター] - 欧州連合(EU)の欧州委員会は9日、ユーロ圏の2017年の経済成長率見通しを1.5%とし、5月に示した1.8%から下方修正した。英国のEU離脱問題を含む政治的な先行き不透明感が高まっていることに加え、世界的な貿易が軟調になっていることが理由としている。
12:44AM JST
米12月利上げ観測再燃、トランプ氏勝利でも予想確率67%に上昇
[ニューヨーク 9日 ロイター] - 米短期金利先物相場は、米大統領選で共和党ドナルド・トランプ氏の勝利を受けた当初の上げ幅を縮小、米連邦準備理事会(FRB)による12月利上げ観測が再び高まっている。
12:38AM JST
http://jp.reuters.com/news/archive/topNews?view=page&page=1&pageSize=30
http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/525.html