円急伸、海外で一時100円近辺 1カ月ぶり水準、日銀新枠組み「失速」
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SankeiBiz 9月23日(金)8時15分配信
22日の海外の外国為替市場で円相場は対ドルで一時1ドル=100円10銭近辺まで上昇し、約1カ月ぶりの円高ドル安水準をつける場面があった。日銀は21日に長短金利を目標とする新たな金融緩和の枠組みを決定し、当初は円安ドル高が進んだが、早くも失速した形だ。為替相場の行方を左右する米大統領選を1カ月半後に控える中、当面は神経質な展開が続きそうだ。
円相場は日銀の決定を受けた21日の東京市場で一時1ドル=102円79銭まで下落したが、欧米市場では一転して1ドル=100円台前半まで急伸。祝日で東京市場が休場となった22日の海外市場でも円買いドル売りは続き、日本時間朝方には一時、大台の1ドル=100円突破が目前に迫った。
円安ドル高が勢いを失った理由について、ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは「日銀の決定は金融緩和の持続性を高める内容だったが、緩和を拡大したわけではないとの見方から、円の買い戻しが入った」と指摘する。
また、21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では大方の予想通りに追加利上げは見送られたが、米国の利上げペースは緩やかになるとの見方から米長期金利が低下し、日米金利差縮小が意識されて円買いドル売りに拍車がかかった。
ニッセイ基礎研究所の上野氏は「米大統領選に向けて円はたびたび上値を試す可能性があるが、12月の追加利上げ観測は依然残っており、一方的な円高ドル安は考えにくい」とし、米大統領選までは1ドル=98〜103円で推移するとみる。
約1カ月ぶりに一時1ドル=100円近辺まで円高ドル安が進んだことで、輸出関連を筆頭に企業業績の悪化懸念も高まりそうだ。
日本商工会議所の三村明夫会頭は22日、訪問先の中国で「為替は極めて乱高下しやすい状況だが、1ドル=100円を割り込むような円高は避けてもらいたい」と語った。
また、旭化成の伊藤一郎会長は記者団に、現在は1ドル=110円としている自社の2017年3月期の想定為替レートを円高方向に見直すことを検討していると明らかにした。