民進党代表戦と日本政治刷新の戦術を考えよう !
反安倍政権の議員が、過半数にならない理由は、3つある !
(「植草一秀の『知られざる真実』」:2016/09/15より抜粋・転載)
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1)民進党は、代表選を実施して、 蓮舫氏を新代表に選出した !
2)蓮舫氏は、合計ポイントで503ポイントを獲得して
新代表に選出された !
3)菅直人氏が、民主党代表に就任し、日本政治刷新の
方針を根底から覆した !
4)菅直人政権・野田政権は、「日本政治刷新の基本路線」
を全面的に覆した !
5)民進党は、「日本政治刷新の基本路線」を打ち出していない !
6)反安倍政権の勢力が、選挙戦で、大同団結して、選挙区
で1名の候補者を支援する事が重要だ !
以上は前回投稿済みです。以下はその続きです。
7)蓮舫氏は、野党共闘に対して肯定的な姿勢
を示していた人物だ !
蓮舫氏は、代表選立候補者のなかでは、野党共闘に対して肯定的な姿勢を示していた人物である。
この意味で、日本政治刷新に向けての戦略、戦術を構築する上で、この選挙結果は、最悪のものではないと認定するべきだろう。だが、大きな問題は残存する。
現在の民進党の基本政策は、あいまいであり、今後は、衆院選立候補予定者の政策公約を個別精査する必要がある。
そのうえで、民進党候補者をも排除しないかたちで、政策を基軸に、各選挙区での候補者一本化を進めてゆかなくてはならない。
8)野党共闘で、各選挙区での候補者一本化が 実現するかどうかが、
次の総選挙で日本政治刷新 ができるか否かのカギだ !
共産党候補者をも含めた、各選挙区での候補者一本化が実現するかどうかが、次の総選挙で日本政治刷新の新たな方向を得られるかどうかのカギを握る。
この意味での主権者が主導する政治活動が極めて重要な意味を有することになる。
民進党は基本政策課題について、内部での議論を深める必要がある。
原発、憲法、TPP、基地、格差についての基本路線が明確でなければ、主権者の負託を受けることは不可能だ。代表選では、原発について、2030年代の原発ゼロの方針が、3人の候補者から示されたが、これは、「現時点での原発稼働容認」を意味する。
主権者の多数が、原発の再稼働に反対している。
9)民進党代表候補3人は、「現時点での 原発稼働容認」だが、
主権者の多数が、 原発の再稼働に反対だ !
原発稼働ゼロでも、日本の電力需要は、十分に賄われることが、現実によって証明された。
危険な原発が、鹿児島県や愛媛県だ稼働され、さらに、全国に広がる様相を示している。
福島の事故が収束もせず、いまだに多数の市民が、避難生活を余儀なく強いられているなかで、避難経路も確保しないまま、原発再稼働が、強硬に推進されているのだ。
原発再稼働容認の民進党を容認するのか。
主権者はこの点を吟味しなければならない。
10)違憲・安保法制=戦争法制について、 民進党は、対峙するのか ?
安倍政権は、憲法解釈を勝手に変更し、その解釈に基づく、安保法制=戦争法制を強行制定した。
米国が創作する戦争に、日本が全面加担する態勢が整えられた。
この現実に対してどう対峙するのか。
政権交代を実現して、現在の安保法制を廃止することを明示することが求められている。
そして、秋の臨時国会での最重要議案である、TPP批准問題。
民進党は「現在のTPP合意案に反対」の姿勢を示しているが、内容が修正されれば、TPPに賛成するということなのか。あいまいな点が多すぎる。
辺野古米軍基地建設を推進したのは、菅直人政権と野田佳彦政権である。
11)民進党は、TPPに反対するのか、
辺野古米軍基地建設を容認するのか ?
民進党は、辺野古米軍基地建設を容認するのか。
沖縄県民が総意として、米軍基地建設反対を示しているなかで、民進党は、沖縄県民の意思を踏みにじる姿勢を明示するのか。
消費税増税にしても、岡田克也氏は、消費税増税の反対ではなく、消費税増税の2017年度実施に反対しただけである。
官僚天下り根絶が、完全に封印されているなかで、民進党は、消費税増税の路線を容認するのか。
安倍政権は「働き方の改革」と銘打って、外国人労働力の活用促進の方針を示しているが、企業が外国人労働力活用を求める最大の理由は、労働コストの削減にある。
12)安倍政権は「働き方の改革」と銘打って、
労働コストの削減=格差拡大を支援してきた !
外国人労働力が活用されると、日本人労働者の賃金に強い下方圧力がかかる。
これが、格差拡大を推進することは、明白だ。
格差拡大を推進する新自由主義経済政策を民進党は容認するのか。
つまり、「安倍政治を許さない!」と考える主権者が新しい政権を委ねる受け皿に、現在の民進党はなり得ないのである。
したがって、主権者は、民進党とは一定の距離を保ちつつ、次の衆議院総選挙に向けて、各選挙区での候補者一本化に向けての取り組みを進めてゆかねばならないのである。
13)統一候補になり得るのかどうかは、その候補者
の政策公約の是非によるのだ !
民進党候補者が、統一候補になり得るのかどうかは、その候補者の政策公約にかかる。
原発、憲法、TPP、基地、格差の各問題について、主権者の意思を正面から受け止める人物を衆院選の統一候補者にしなければならない。
民進党候補者は排除されないが、自動的に統一候補者には選任されない。
民進党候補者が、主権者の意思に沿う公約を明示せず、共産党候補者が主権者の意思に沿う公約を明示するなら、共産党候補者を、主権者が推す統一候補者に押し立てることになる。
信頼できる野党第一党が存在しないことが、この国の政治刷新を妨げる最大の原因になっているが、私たちは現実のなかからしか活路を見いだせない。
現実の問題点を認知したうえで、この問題点を克服する手法、戦術を駆使して進んでゆかねばならない。
(参考資料)
反安倍政権の議員が、過半数にならない理由は、3つある !
「植草一秀の『知られざる真実』」:2016/09/06より抜粋・転載
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1)安倍暴走政治を変えるには、衆議院の多数勢力を
入れ替え、政権を変えることが必要だ !
政治を変えるには、政権を変えることが必要だ。
政権を変えるには、衆議院の多数勢力を入れ替えることが必要だ。
したがって、日本政治刷新の最大の焦点は、次の衆院総選挙ということになる。
「政治を変える」とは、「政策を変える」ということだ。
とりわけ重要な基本政策を変更すること。それが「政治を変える」ということだ。
いま私たちの目の前にある、重要な基本政策とは何か。私は、五つのテーマを挙げている。
原発・憲法・TPP・基地・格差である。
2)原発・憲法・TPP等重要な基本政策で、
反安倍政権の国民は多数だが、議員数は、真逆だ !
安倍政権は、原発を推進し、憲法を改定して、日本を戦争のできる国にしようとしている。
TPPに参加し、米軍基地を新設し、格差拡大を容認、奨励している。
日本の主権者の多数が、この基本政策に賛成しているなら、安倍政権の存続に、矛盾はない。
しかし、日本の主権者の多数が、この基本政策に反対しているなら、安倍政権の存続は、矛盾である。
現実は、後者であると判断される。したがって、この矛盾を解消することが、必要である。
矛盾を解消するには、衆議院の総選挙で、後者の政策を公約に掲げる議員に議会過半数を占有させることが必要である。
しかし、現実には、後者の政策を求める主権者が多数であると考えられるにもかかわらず、後者の政策を公約に掲げる議員が議会過半数を占有するに至っていない。
3)反安倍政権の議員が、 過半数にならない理由は、3つある !
その理由が三つある。
☆第一は、野党第一党である民進党の政策公約が明確でないこと。
原発稼働に反対なのか、集団的自衛権行使に反対なのか、TPPに反対なのか、辺野古基地建設に反対なのか、消費税増税に反対なのか、はっきりしない。
この「鵺(ぬえ)」のような民進党の存在が、日本政治を悪くしている最大の原因である。
☆第二は、本来は「平和と福祉」の旗を掲げているはずの公明党が、安倍政権に取り込まれている、あるいは、すり寄っていることだ。
公明党は、政権与党に加わることを、最優先課題に位置付けているように見える。
「政策より政権」というのが、公明党の基本になってしまっているように見える。
公明党勢力の遊離が、第二の問題だ。
☆第三の問題は、総選挙に際して、後者の政策を掲げる候補者が、同一選挙区に複数立候補することが多いことだ。
4)民進党の政策公約が不明確、「平和と福祉」の公明党が自民党に従属、
野党候補乱立だから、国民多数の意見を実現する改革派議員が
少数になっている !
小選挙区制度では、当選者は、ただ一人である。
複数候補が出馬すれば、候補者を一人に絞り込む自公候補の当選を支援することになる。
逆に考えると、この三つの問題を克服すれば、結果が変わるということになる。
そのための方策を提示しているのが「オールジャパン平和と共生」である。
衆議院総選挙に際して、原発稼働阻止、憲法改悪阻止、TPP参加阻止、辺野古基地建設阻止、格差拡大阻止の公約を明示する候補者を、一選挙区一候補者というかたちで絞り込む。
民進党は「水と油の混合物」だから、党を全体として支援できない。「選別支援」になる。
民進党が、候補者を擁立しても、この候補者の政策公約が上記の5方針に反するなら、オールジャパン支援候補にはならない。
5)重要政策で反安倍政権の候補者を
オールジャパン候補として、支援しよう !
共産党候補が上記5方針に一致する公約を明示するなら、こちらの候補者をオールジャパン候補とすることになる。
これらの選別を、政策を基軸に、党派にはかかわりなく、主権者が主導して推進する。
これが、「オールジャパン平和と共生」メソッドである。
だから、単純な野党共闘とは一線を画すことになるが、民進党以外の社・共・生の連帯強化を推進し、ここに民進党内の「清冽な地下水」勢力の糾合を目指すことになる。
民進党が代表選を実施しているが、まったく主権者の関心を呼び起こさない。
その理由は、3名の候補者がすべて、主権者の側に立つ候補者ではないからだ。
既述した5大基本政策である、原発・憲法・TPP・基地・格差について、安倍政権の基本政策に対峙する公約を明示する候補者が立候補するべきだった。
6)民進党代表選で、重要政策で反安倍政権の候補者はいない !
しかし、そのような人物は立候補しなかった。
民進党の人材が枯渇しているということでもある。
民進党のなかの「清冽な地下水」勢力が枯渇し、大半が「汚れた油」で汚染されてしまっているということでもある。
主権者の立場からすれば、何よりも望ましいことは、一刻も早く現在の民進党が消滅することである。
参院選比例区で当選した議員は、ほとんどが労働組合の支援を受けた候補だった。
労働組合の支援なしに当選者が出ない政党になっている。
しかし、その労働組合が、上記5大政策について、主権者の側に立つ基本方針を明示していない。
−以下省略−