ある方から、ヤブロコフ博士らはチェルノブイリ事故による死者を約100万人と推測しているのに、
あなたは1500万人以上だと主張している、どうしてそんなに大きな差があるのかと尋ねられた[1][2]。
もっともな質問である。
まずヤブロコフ博士らの推測を検討しよう。
「調査報告 チェルノブイリ被害の全貌」 [3]
「
15.4 犠牲者の総数
ベラルーシ、ウクライナ、ヨーロッパ側ロシアの汚染地域における公式の人口動態統計の
詳細な分析結果にもとづいて評価すると、チェルノブイリ事故に由来する死者数は
大事故後の15年間で23万7,000人近くに達した。
1987年から2004年にかけてのチェルノブイリ事故による死者数は、前出の3国以外の
ヨーロッパ諸国とアジア、アフリカで計46万2,000人近く、北米では33万1,000人近くに
のぼったと仮定してまず間違いなく、全世界ではほぼ100万人に達していたことになる。
」
ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの三国以外の国々で79万人も死者がいるのに、
汚染のひどいこれら三国でたった24万人しか死者がいないというのは、どう考えてもおかしい。
約70万人のリクビダートルのうち、20万人は事故直後の収束作業をして大量の被ばくをし、
おそらくその大半はすでに亡くなっている。
このほかに避超汚染地帯に何百万人もの住人が避難できず何年も住んでいたのである。
死者24万人という数字は少なすぎる。
前稿で指摘したとおり、チェルノブイリ周辺国では、事故7年後から減少が始まり、
この20年の間に減少した人口は、ベラルーシ76万人、ウクライナ681万人、ロシア486万人、
三国で合計1243万人、ブルガリアとルーマニアで504万人、その他周辺8ヶ国で417万人、
合計で何と2164万人にものぼる[1]。
シリア難民が40万人押し寄せてきても大騒ぎになることからしても、東欧圏からEUその他への移民は、
どんなに多くても500万人ぐらいだろう。
つまり1500万人は何かが原因で消滅した。その原因は放射能汚染しかあり得ない。
これに関して、原子力ムラの連中は、酒の飲みすぎだ、経済困窮だといい加減な理由を挙げるが、
そのような問題は世界中どこの国でも抱えており、人口急減の理由にならない。
残念ながら、チェルノブイリ事故の影響で1000万人以上が亡くなったのは確実である。
ヤブロコフ博士も岩上安身氏のインタビューの中で、犠牲者は数百万人かもしれないと述べている[5]。
学者は慎重で、反論に耐えられるよう、ごく控えめな推測しかしないのである。
さて、福島原発事故ではどのくらいの人が亡くなるのだろうか。
チェルノブイリ事故では突貫で石棺を建造して放射性物質を封じ込めたが、福島第一では凍土壁も失敗し、
何一つ収束作業が進んでいない。
事故後5年以上もたつのに、いまだに爆発した3基から放射性物質が大気にも海にも大量に漏れている。
地下に沈下した溶融燃料を回収する技術は世界のどこにもない。
福島周辺はもちろん、首都圏にもチェルノブイリ強制避難エリア並みのホットスポットが
数え切れないほどある。しかも人口密度はチェルノブイリ周辺の100倍以上だ。
汚染物質、食品汚染の検査・管理は甘く、ザル状態で、やっていないも同然である。
放射性廃棄物並みの汚染食品を国民は毎日食べさせられている。
さらに、汚染ガレキや汚染土の焼却・再利用で汚染を拡大しようとしている。
以上の状況を考えれば、今後、日本でも1000万人以上の犠牲者が出るのは確実だろう。
東電の極秘内部文書でも死者は1000万人以上と推測しているようだ[6]。
原発事故は別にしても、今後、少子高齢化が進み、50年間に4000万人減少し、
総人口は8000万人台になると予測されている。
これだけでも大変な減少であるが、これに拍車がかかり、恐ろしい勢いで人口が減少していくだろう。
政府は、人口急減を隠すために統計を改ざんするだろう。いや、もう改ざんしている可能性がある。
昨年の人口減が27万人というのはどう考えても少なすぎるのだ[7]。
本当はその2倍以上減少しているのではないか。
あの悲惨な第2次世界大戦で亡くなった日本人は300万人超と言われる。
これからその何倍もの人が死んでいくのだ。
それを想像できるだろうか?
そして、あなたはその中にはいらない、健康で生き延びるという自信はあるだろうか?
(関連情報)
[1] 「チェルノブイリでは1500万人以上死亡 福島原発事故ではいったい何人亡くなるのか? 」
(拙稿 2015/9/26)
http://www.asyura2.com/15/genpatu43/msg/856.html
[2] 「100万人どころではないチェルノブイリ犠牲者 -- 人口激減に直面する日本」 (拙稿 2012/7/5)
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/383.html
[3] 「調査報告 チェルノブイリ被害の全貌」 (アレクセイ V. ヤブロコフ他・著 岩波書店)
[4] 「ウクライナとベラルーシの人口変動、激増する死亡と激減する出生」
(哲野イサクの地方見聞録 2012/1/2)
http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/genpatsu/ukraine2.html
[5] 「2013/05/21 100万人が死んだチェルノブイリ原発事故について、ヤブロコフ博士に聞く
〜岩上安身による『調査報告」 (阿修羅・赤かぶ 2013/10/21)
http://www.asyura2.com/13/genpatu34/msg/331.html
[6] 「東京電力内部文書の存在『福島の復旧は不可能』『死者は1000万人規模』」
(阿修羅・yamori 2011/9/11)
http://www.asyura2.com/11/genpatu16/msg/426.html
[7] 「<日本の人口>27万人減…過去最大 1億2616万人に(毎日新聞)」
(阿修羅・赤かぶ 2015/7/2)
http://www.asyura2.com/15/hasan98/msg/400.html
http://www.asyura2.com/16/genpatu46/msg/245.html