インタビューに応じるソフトバンクグループの孫正義社長=19日午後、東京都港区(三尾郁恵撮影)(写真:フジサンケイビジネスアイ)
孫正義社長「私は常に7手先まで読んでいる。ほとんどの人にはわからない」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160719-00000003-fsi-bus_all
SankeiBiz 7月20日(水)8時15分配信
英半導体設計大手アーム・ホールディングスの買収を発表した記者会見で、ソフトバンクグループの孫正義社長は興奮した様子で、買収の意義などを語った。主なやり取りは以下の通り。
−−欧州連合(EU)離脱派が勝利した英国民投票(ブレグジット)後、英通貨のポンド安が続いている。投資に影響はあったか
「今回の買収でブレグジットは0.1%も頭になかった。ブレグジットでポンド安になっているが、アームの株価はポンドで15%も値上がりしており、為替によるポンド安と株価の値上がりをみてみるとフラットだ」
−−買収金額が高すぎるのでは
「3兆3000億円というのは、ソフトバンクの歴史では高い金額だ。ただ、これからの(アーム・ホールディングスの)将来余力から言えば、5、10年後に振り返ってみて、非常に安く買えたと理解してもらえるのではないか。10年前にボーダフォン日本法人を買ったときも当時は高いといわれた」
−−社内でアーム・ホールディングス買収に反対はなかったか
「多額の投資をするときはいつもみんな反対だ。35年のソフトバンクの歴史でいつもそうだ。買収のプロセスが進み始めると、ほとんどの人が賛成に変わっていく。それは僕が熱心に説明するから。理屈を納得した場合もあれば、しぶしぶ理解してくれる場合、いろいろあると思う。今現在は、ソフトバンクの経営陣は全員、エキサイティング(な買収)と思ってくれていると思っている。ちなみに(社外取締役の)柳井(正)さんは、ほとんどの投資に反対するが、ボーダフォン日本法人のときは賛成してくれたし、今回も賛成してくれた。(取締役の)ジャック・マーも非常に強く賛成してくれた」
−−(6月22日付で退任した)ニケシュ・アローラ前副社長は今回の買収に関わったのか
「初めて、アームに買収の件でアプローチしたのは2週間前。トルコでアームの会長がヨットのセーリングしているときに僕が電話して会いたいと。近くの港に立ち寄るというので、レストランで会いました。そこで初めて要求した。その前はおぼろげながらの(買収の)議論はあったが、我々が腹を決めたのは、この2週間の間だった」
−−今回の買収による既存事業とのシナジー(相乗効果)は
「あらゆるモノがネットにつながるIoTが進むと、ソフトバンクのインフラとアームの製品がお互いにシナジーを持ってつながりあうことになる。アームはセキュリティーも提供しているので、そういうサービス部門とソフトバンクのサービス部門が、何らかのシナジーを持つこともあるかもしれない。将来そういう可能性があり得る」
「私はパラダイムシフト(枠組み転換)の入り口で投資をしてきた。最初に、インターネットのパラダイムシフトで投資したときも、『それまでの既存ビジネスとどれぐらいネットがシナジーがあるのか。ほとんどないじゃないか』といわれた。パソコンのネットからモバイルネットになる時代に携帯会社を買った時も、多くの人から『どういうシナジーがあるのか』と問われたが、ほとんど理解されなかった。今回も同じようにパラダイムシフトなので継続的な事業の延長ではなく、直接的なシナジーはわかりにくいかもしれないが、後で振り返ると非常に理にかなったといえる投資だ。シナジーは今すぐではなく、長期的には非常にある」
「たとえば囲碁で勝つ人というのは、碁の石をすぐ隣に打つ人ではなくて、遠く離れた所に石を打って、それが50手、100手目に非常に大きな力を発揮する。あそこにあのとき置いておけば良かったというのが、5、10年後にわかる。私は常に7手先まで読んで石を打っている。わかる人にはわかるし、わからない人にはわからない。ほとんどの人にはわからないと思う」