国民投票での英EU離脱賛成を受け、24日の日経平均株価は大幅に下落した(撮影:今井康一)
英EU離脱で混乱、「パニック売り」一巡後の投資戦略
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160627-00124647-shikiho-biz
会社四季報オンライン 6月27日(月)17時11分配信
ここまで何とかしのいでいた相場だったが、英国のEU(欧州連合)離脱決定で大混乱となった。事前の予想では残留へと傾いており、国民投票直後も残留優勢と伝えられていただけに、ショックが大きかったということだろう。為替市場も株式市場も大混乱となり、一部では「リーマンショック再来」と大騒ぎとなっている。
ただ、パニック的な売りが一巡すれば、為替も株式市場も落ち着いて来るだろう。英国がEUを離脱するといっても、ここから離脱協議が始まるということで、すぐに影響が出るわけではない。英国離脱の影響も計れないうちに、「大変だ、大変だ」と大騒ぎしてもしょうがない。
世界的に株価が大きく下落し、為替も円高となったのは、英国の残留を織り込んでいた反動で、為替も株価も目先筋の投機的な売りや円買いで大きく振れたという面が大きいと思う。米国でもドル高を嫌気する動きで株価は大きな下落となった。しかし、ドル高の要因については、英国のEU離脱だけでなく、「利上げが遠のいた」という面もありそうだ。
■ 大きな流れは変わらない?
先週も述べたように、大きな流れは変わっていないと思う。パニック的に売られたという点では、今年の2月の安値や昨年9月の安値を付けたパターンと同じ。今年の2月も昨年9月も、いったん大きく売られた後、戻りかけたところで大きな下落に見舞われた。今回も同様に、EU残留が濃厚、とされた後にどんでん返しで売られたということである。
ただ、冷静に考えてみれば、「英国がEUを離脱するということは決まったが、何がどう変わるか」ということは何も決まっていない。実際に一部では離脱回避の動きも出ており、国民投票の結果は決まったが、その先どうなるかわからない。ここで心配してうろたえていてもしょうがないのである。さらに懸念されていたのは他国への波及だが、EU離脱決定が伝えられたあと投票が行われたスペインでは思ったほど急進左派の票が伸びなかった。他国は「他山の石」ということで、逆にEU離脱に慎重にならざるをえないのではないか。
したがって、英国のEU離脱決定の混乱は早期に落ち着いて来るものと思われる。結局はギリシャ問題などと同じで「あれは何だったんだろう」ということにもなりかねない。特に日本の株式市場や為替に対して大きな影響があるとも考えにくい。英国で大きく商売をしている企業にとっては懸念材料となるだろうが、そのような企業以外への影響が少ないことも取りざたされてくるだろう。
また、為替にしても対英ポンドやユーロで円が買われるのはわかるが、対米ドルで円が買われなければならない理由はない。結局は投機的な動きということで、英国問題が落ち着き、米利上げが取りざたされ、日本の追加緩和が取りざたされれば、円安方向に向かうのではないか。
■ いつも「大山鳴動して……」
今回の英国のEU離脱で、リーマンショック時と同様の金融不安が起こることはないだろう。「リーマンショック」は、その前の「新興国バブル」があったから大きく下げた。今回は、すでに日本での「アベノミクスバブル」、米国でも「QE(量的緩和)バブル」が終息したあとでのEU離脱だ。「EU残留バブル」があったのであれば別だが、特にそうしたものがなかったのであるから、影響は軽微ということなのだろう。
懸念材料とすれば新興国の景気動向であるが、これも英国のEU離脱の影響はそれほど大きくないと思う。前述したように「離脱の影響」は懸念されるものの、実際に「離脱の実害」がすぐに起こるということでもなく、世界的にお金の収縮、信用収縮が起きるということでもない。経済の拡大が続くのであれば、特に今、ここで心配するということでもない。
先週末の急落、円の急騰は「行き過ぎ」と考えられ、ここからは修正が行われると思う。そうなると、売られすぎたもの、特に英国の影響や為替の影響がないにも関わらず売られすぎた銘柄などがしっかりと戻すということになるだろう。
何でもかんでも売られたのであるから、何を買っても戻りは期待できそうだ。その中でも、特に円高を嫌気して売られた村田製作所 <6981> や日本電産 <6594> 、TDK <6762> などの電子部品株やソニー <6758> 、オムロン <6645> などのセンサー関連株に注目である。
小売株なども8月の配当や優待狙いで注目される。本日が6月権利付き最終日ということで、キヤノン <7751> やブリヂストン <5108> などの高配当株、カゴメ <2811> やすかいらーく <3197> などの好優待銘柄も買い場となった可能性もある。
日経平均の水準とすれば、くしくも先週末の安値、そして引け値が2月12日の安値を付けたときと同じとなった。ここで「ダブルボトム」となった可能性が高い。目先的な戻りは 英国のEU離脱優勢ということで売られた6月16日の水準である1万5400〜5500円、各国の混乱収束対策が出て、評価されるようであれば、一気に1万6500円水準まで戻すことになると思う。
清水洋介/大和証券、マネックス証券、リテラ・クレア証券など経て、現在アルゴナビスでフィナンシャルコンシェルジュ
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。