インディアナ州の予備選で勝利した後、ニューヨークで演説するトランプ氏(5月3日) PHOTO: JEWEL SAMAD/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
トランプ氏、本選での勝算は? トランプ氏にとって大統領選の本選挙は厳しい戦いとなりそうだ
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2016 年 5 月 5 日 11:25 JST WSJ
米大統領選に向けてインディアナ州で行われた共和党予備選で実業家のドナルド・トランプ氏が圧勝し、テッド・クルーズ、ジョン・ケーシック両氏が指名争いから撤退した。その結果、11月の本選はトランプ氏と民主党のヒラリー・クリントン氏の対決になることがほぼ確実となった。
果たしてトランプ氏はクリントン氏を破り、大統領の座を手に入れることができるのだろうか?
トランプ氏と戦ってきたクルーズ氏とケーシック氏は、トランプ氏は不支持率が高く、評価が真っ二つに分かれているため、本選では勝てないと主張してきた。共和党上層部の多くもそうした見方をしている。
まず、州ごとの優劣をみてみよう。そうすれば、共和党にとっては誰が候補になっても厳しい戦いになりそうなことが分かる。
1992年以降、民主党候補は18州とワシントンDCで常に勝利し、大統領選で勝利するために必要な選挙人270人のうち、242人を確保してきた。これに対し、共和党候補は13州で勝ち続けているが、選挙人の数では102人にとどまっている。
クック・ポリティカル・リポートの集計では、現段階で固めている選挙人の数は民主党が217人、共和党は191人とみられる 。
そのため、トランプ氏が勝利するにはこの勢力図を大幅に塗り替える必要がある。08年と12年の大統領選でオバマ氏が勝利し、今も民主党が優勢なコロラド、バージニア、ネバダ、ニューメキシコなどを奪うだけでなく、1980年代以降共和党が勝ったことのないミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンなどでも勝利しなければならない。
ではトランプ氏にこうした勝利をものにするだけの勢いがあるだろうか。
現段階で本選の票読みをしてもあまり大きな意味はないが、トランプ氏にとって幸先がいいとは言えない。リアル・クリア・ポリティックスが算出した全米世論調査の平均では、08年5月初旬にはオバマ氏と共和党のジョン・マケイン候補は接戦、12年にはオバマ氏がミット・ロムニー候補をわずか3ポイント上回っていただけだった。これに対し、今回はクリントン氏がトランプ氏を6ポイント超リードしている。
一方、WSJとNBCニュースが共同で実施した直近の世論調査では、クリントン氏に否定的な人の割合は56%。肯定的な人の割合は3分の1弱だったが、トランプ氏では否定的な人が65%、肯定的な人は4分の1未満だった。有権者の間で否定的な見方がここまで高い候補者同士が本選を戦ったことはない。
トランプ氏は白人の労働者階級、その中でも主に男性から圧倒的な支持を受けて躍進してきたが、高学歴の女性やマイノリティからの支持確保に苦労している。そのため、トランプ氏が中西部で勝てば本選で勝利できるとの見方もある。
だが、世論調査の結果を見ると、それも容易ではなさそうだ。ペンシルベニア州で先週行われた予備選前の世論調査によると、トランプ氏の支持率はクリントン氏を15ポイント下回っていた。ミシガン、ウィスコンシン両州で最近行われた世論調査でも、トランプ氏はクリントン氏を大幅に下回っている。確実に勝利が必要なフロリダ州でも大きく引き離されている。
激戦州のうち中西部を除いて08年と12年の大統領選でオバマ氏が勝利した州全てがクリントン氏支持に回った場合、トランプ氏が中西部で勝利すれば大統領選に勝てるだろうか。その可能性はある。トランプ氏がペンシルベニア、オハイオ、ミシガン、ウィスコンシンで勝利すれば、ちょうど270人の選挙人を確保できる。しかし、共和党候補がそこまで圧勝したのは1984年に1州を除いて全てで勝利したロナルド・レーガン氏が最後だ。
予想機関は何と言っているのだろう。プレディクトワイズが賭けのオッズや世論調査などに基づいて集計したところ、民主党候補が本選で勝利する確率は現段階で70%となっている。