左から井上あさひ、小郷知子、杉浦友紀(C)日刊ゲンダイ
まるで参勤交代…NHK「クロ現+」女子アナたらい回し術か
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/180689
2016年5月1日 日刊ゲンダイ
「クロ現+」(NHK)の女子アナ7人がちょっと話題だ。
「クローズアップ現代」は7時のニュースのあとの時間帯に、注目のニュースを特集する形で、1993年から続いた硬派の報道ものだったが、今春、23年もキャスターを務めた国谷裕子が降板し、4月から時間帯も10時台に変わって一新。
2014年に集団的自衛権の話で出演した菅官房長官の周辺が番組終了後に、「なぜあんな聞き方をするんだ」とNHKに詰め寄ったことも降板の理由といわれたが、事実がどうあれ、「ニュース23」(TBS系)や「報ステ」(テレビ朝日系)と同時期に降板劇が重なると、政権に疑問を投げかけるキャスターやコメンテーターが降ろされているのか? と疑う視聴者も多いだろう。
タイトルまでいじった「クロ現+」は(国谷よりは)若い女子アナを7人揃え、日替わりで担当させる改革を実施。AKB48の総選挙で上位7人を“神7(セブン)”と呼ぶらしいが、こちらもネット上で“NHK神セブン”と呼ばれるほどの容姿だ。番宣ポスターは7人が深紅のドレス姿で黒髪をなびかせていて、化粧品メーカーのポスター並みの力の入れよう。「美人揃い!」「硬派な報道とは思えない」と賛否あって注目された。
メンツはポスターのセンターを務めた井上あさひ(34)、ニュースでおなじみ小郷知子(37)、スポーツキャスターもこなすしっかり者・杉浦友紀(32)、おしとやかタイプの久保田祐佳(33)ら、年はAKBより一回り上だが、ポスターの影響もあって、ネットでは「NHK女子アナ カワイさランキング」とか出ているほどだ。これでいいのかNHK!
7人もの人数にしたのは視聴者を飽きさせないアイドルグループ戦法だけではなさそうだ。1人のキャスターが続けるとその女子アナが徐々に政権に意見を持ち始める……それを防げるからではないか? 第2の国谷を出さないということだろう。まさに参勤交代女子アナたらい回し術!
肝心の改革された番組はタックスヘイブンの解説など詳しくておもしろい日もあれば、タレントの真鍋かをりがゲストというユルい日もあり、視聴率はやや落ち気味。政治や震災で過渡期の日本で、ニュースには骨太を期待する人が多いのだから、7人の中からズバッとコメントする女子アナの台頭を期待したい。
しかし、民放もそうだけど、日本はそのうち“ニュースを棒読みする美人キャスター”ばかりになっちゃうのか。
(作家・松野大介)