この数日間、地デジ等大マスゴミは「熊本被災者を元気づけよう」のみに限定された情報を流し、放射線源の破壊可能性や対策について「自粛」しているかのように報道は抑えている。勿論福島原発のニュースも無い。
岡目8目の海外誌は、至って健全だが。
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2016年04月22日15時13分掲載
「日本 川内原発が3・11のトラウマを呼び覚ます」 社会学者 セシル・浅沼=ブリス Cécile Asanuma-Brice (翻訳・紹介Ryoka)
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201604221513295
以下はフランスのルモンド紙4月19日付けに掲載された熊本の地震に関する寄稿「日本〜川内原発が3・11のトラウマを呼び覚ます〜」を著者の了解を得て日本語に翻訳したものです。セシル・浅沼=ブリスという日本在住のフランス人の研究員が書いた記事で、日本政府が川内原発を止めないと決めたことを批判しています。
「日本 川内原発が3・11のトラウマを呼び覚ます」
熊本で大地震が起きて以来、日本政府は自然の驚異そして対抗者たちとチカラ比べをしている。熊本から140キロに位置する川内原発を停止しないという彼らの判断は、国民の怒りを買っている。
二基の原子炉からなる川内原発は、熊本の南西に隣接する鹿児島県にあり、2015年8月から日本国内で唯一稼働する原発だ。1984に建てられ、福島第一原発の原子炉3基で炉心溶融が起きてから、最新の安全基準を満たしたとされている。
新しい安全基準が強い地震にも耐えることを見せつけたい日本政府の今回の賭けは、反対派の多い再稼働に弾みをつける。
■地質学的、及び人的被害状況
熊本県は14日からの3日間で本震3回を含む410回の揺れを観測した。揺れは日増しに強さを増し、マグニチュード6,5〜7,3(最大は12)にまで及んだ。そして、これらの揺れによって地表が一メートル南西に動いた。
熊本県やその周辺には、おびただしい数の活断層があり、今回の地震はそのうちの別府-島原地溝帯で発生した。これらの活断層は日本列島を縦断する中央構造線に繋がっている。活断層の傍に建てられた川内原発は、5年経った今も内外の専門家が誰一人として人体・そして環境に対する影響を換算できておらず、2011年3月のトラウマを呼び覚ます。
熊本県では410回以上の揺れを受けたが、そのうち3回の大きな地震は14日、15日、16日に起きた。
2011年の地震以来、地殻変動によって日本各地で火山の噴火が起きている。川内原発は火山に囲まれた、とてつもなく危険な地帯に建っており、2015年8月25日、原発から50キロに位置する桜島が噴火したときに全島避難が勧告されるなど、既に不安を煽っている。九州地方の別の火山・阿蘇山では、16日に噴火が起きた。付近の南阿蘇村では大規模な土砂崩れによって8人が行方不明になった。
山のほとんどが削られて発生した土砂は、道路、橋、建物、そして人を一瞬にして呑み込んだ。4月17日時点で地震による死者は41人に上り、19万人以上の住民が学校の体育館や避難所に避難している。
■独りよがりな挑戦
稼働し続ければ危険を伴うのはほぼ明確であり、各方面から“止めるべきだ”という意見が出ているというのに、政府は川内原発を止めないことにした。福島の事故以前から、日本の原発依存度は低い(54基の原子炉で全電力量の28%しか供給していない)。つまりは、電力不足は止めないと決めた動機ではないことになる。
4月16日に大きな揺れがあった数時間後、環境大臣の丸川珠代は、原子力規制委員会の判断を受けて“原発を止める必要はない”と発表した。その間も一日100回の余震が続いた。
環境大臣の発表の根拠は、今回の地震による揺れが川内原発では最大12,6ガルにしか及ばなかったことにある。川内原発はマグニチュード8,1に相当する80〜260ガルの揺れがあったときに自動停止することになっていて、それ以下の数字では危険な状態にはないという判断らしい。
地震の要因にばかりに気をとられるということは、いかなる専門家も予測不可能な津波の怖さを軽視することにもなる。過去の経験から言えば、地帯構造の強さやその影響についての我々の知識は乏しい。世界中のどこを見ても、我々はいまだかつて地震を待ち受けたことはない。つまりは、地震が正確な日時に予測され、それに備えたことなどないのだ。日本列島には、活断層が2000以上ある。大地震がいつどこで起きてもおかしくない。
それでも政府が執拗なまでに再稼働にこだわる理由は、軍事補強に対する意欲に帰属する。今回の“経験”をバネに有限実行の成果の一つにしたいと考えているのだ。核の力を保有したいという傲慢さは大きな犠牲を払うことになるし、これまでに幾度となく核による被害を蒙ってきた日本はどこよりも先に警戒するべきだろう。毎日少しずつ、核戦争が現実味を帯びてくる。実際には枯れ果てた、名ばかりの自由の元で。
執筆 セシル・浅沼=ブリス(Cecile Asanuma-Brice)
来日中のフランス人の社会学者
本稿はルモンドに以下のタイトルで初出。
'La centrale nucleaire de Sendai reveille le
traumatisme de mars 2011 '(19 avril)
著者の許諾を得て翻訳
翻訳 Ryoka (フランス在住)
■フランスのインターネット新聞Mediapartでも活躍中のセシル・浅沼=ブリス(Cecile Asanuma-Brice)さんです。
https://blogs.mediapart.fr/cecile-asanuma-brice/blog/191015/fukushima-bilan-d-une-situation-sanitaire-inquietante
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