「「熊本地震」に関して「南海トラフの前兆だ」と警告を発している高橋氏インタビュー:岩上安身氏」
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2016/4/20 晴耕雨読
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4月17日15時より「岩上安身による立命館大学環太平洋文明研究センター教授・高橋学氏インタビュー」の模様を実況します。
今回の「熊本地震」に関して「南海トラフの前兆だ」と警告を発している高橋氏に、岩上安身が詳しくお話を聞きます。
岩上「今回、熊本で大きな地震が起き、多くの方が被災されました。本日は立命館大学環太平洋文明研究センター教授の高橋学先生にお話をうかがいます。よろしくお願いいたします。
高橋氏「私は今年の3月の段階で、マスコミの方宛にメールを出していました。それは、西日本全体がおかしくなっている、という内容。九州の火山が軒並み爆発し始めている、と。また、福岡の博多を通る警固断層が3月頃から震度1程度の地震を起こし始めていました」
高橋氏「地震が突然ドンと起きることはまずありません。地震というのは、一番最初のものが一番大きいとは限りません。3.11に関しても、3月9日に『前震』が起きていました。2004年の中越地震も3回大きな地震が起きています」
高橋氏「地震のメカニズムから考えると、今回の震源となった熊本県の益城町は、中央構造線の一部に過ぎません。フィリピン帯プレートとユーラシアプレートの間にある断層が中央構造線です」
岩上「この中央構造線の上は、どういうわけか神社が多いんですよね」
高橋氏「マグニチュード7という地震の規模について。1995年の阪神淡路大震災に関しては『未曾有の大地震』と言われます。しかし、データを見ると、『5年に3回』というペースで起きています。日本列島では『未曾有』とは言えません」
高橋氏「地震と火山の関係についてご説明します。プレートが沈み込んで力が加わると、マグマが溜まって火山が噴火します。地震と火山の噴火は一体のものとして捉える必要があります」
高橋氏「さらにぐーっと力が加わると、地面が割れることになります。現在の熊本の地震は、『ステージ3』の一番最初だと考えることができます。野球でいったら『一回裏』ぐらいの感じです。これがさらに進むと、マグニチュード8から9になります」
高橋氏「ステージ3の一つ、三重県沖で起きた東南海地震に関しては、家屋の倒壊率というのはあまり高くありません。直下型とプレート型では、家屋への影響が全然違います。直下型である1891年の濃尾地震では、家屋の倒壊率が100%でした」
高橋氏「『首都圏直下型地震』というのは、内陸の立川断層が動くことを指すのか、フィリピン海プレートが跳ね上がって起きるものなのか、決まっていないのです。やっかいなことに、両方ありえます。家屋が倒壊することも、津波が来ることも、両方ありえます」
高橋氏「大正12年の関東大震災は『東京の下町がひどかった』と言われますが、地震が一番ひどかったのは房総と横浜です。東京の被害が甚大だったのは、火事が広がったためです」
高橋氏「何年か前に全国紙に『山の手神話の崩壊』というコラムを書きました。『関東大震災では山の手の被害が小さかった』と言われていますが、当時、山の手には多くの武家屋敷があって、人口密度が低かった。だから、下町より被害が小さかったのです」
高橋氏「プレートが跳ね上がって『南海トラフ地震』が来ると、それがもとになって火山の噴火が起きる可能性があります。東日本大震災が原因となった火山の噴火は、まだこれから起きるかもしれません。まだ、5年しか経っていないのですから」
岩上「東日本大震災は、地震、津波、原発事故の複合災害でした。これに、火山の噴火が加わると」
高橋氏「東日本の火山は、大変危ない状況です。どんどんマグマが生成されているので、噴火が1万メートルに達する爆発が起きるでしょう」
高橋氏「ですから、東京にあるメガバンクのかなりの部分は、サブデータを博多に移動させています。私は、愛知県小牧市が安全だと言っているんですけどね。大都市で比較的安全なのは、名古屋です」
高橋氏「地質学が専門の方は、1万年より新しい地層は研究対象にしません。私は、半年単位で調査をしながら、自然科学と歴史学を架橋するような研究をやっています」
高橋氏「1896年の明治三陸地震が、37年後に起きた昭和三陸地震につながっています。これをアウターライズ型地震といいます。東日本大震災に関しても、これと同じことが起きるでしょう」
岩上「福島第一原発は、まだまだ事故収束がままならない状況です。元東電社員の蓮池透さんは100年は収束できない、と言っています。この状態でアウターライズ型地震が起きたら・・・」
高橋氏「間違いなくきますね」
岩上「南海トラフとはそもそもどういう地震なのか、分かりやすく教えていただけますでしょうか」
高橋氏「2009年の高校生の地学の教科書によれば、近年地震が起きていないところで、これから起きる所が分かります」
高橋氏「プレートの境目に添って、台湾から沖縄を通って、東京湾あたりまでが一緒に動くのではないか、という予測があります。47万人が津波で亡くなる、という計算になります」
高橋氏「国は3.11以前に、推定死亡者を2万人としていました。ところが、3.11後、40万人にこっそり変えています。これでも、官僚に押さえられた数字です」
高橋氏「原発に関して、ご覧いただきたいスライドがあります。福島から仙台にかけて断層が走っています。東電はこれを『動かない』と言ってきましたが、実際、今、毎日のように動いています」
高橋氏「福島第一原発の一番大きなミスは、埋立地のところに予備電源を置いたことです。インドネシアのバンダアチェの例を見れば、津波で埋立地が削られることが分かります。しかし、東電は対策を施しませんでした」
岩上「54基ある原発のうち、地盤から見たらどこが一番危ないのですか」
高橋氏「原発のリスク評価には活断層の専門家が入っていますが、彼らの意見は上にあがっていかないシステムになっています」
高橋氏「渡辺満久さんは、地質学の専門機関ではなく、東洋大学の一般教養に所属しているので、好きなことを言えているのです」
高橋氏「テレビは、災害に関する放送をほとんど流していません。記者やディレクターの質も落ちています。視点が定まらないような人たちが番組を作り、それによって大衆の意見が決まってしまっています」
岩上「今回の地震に乗じて、菅義偉官房長官は『緊急事態条項』を持ちだしてきました。動画を見ると、会見で原稿を読み上げていますから、これは出来芝居なんですよ」
高橋氏「南海トラフ地震は、だいたい2、3年以内に起きるでしょう。大阪は8割が水没です。2020年に東京オリンピックが開催できるとしたら、それはとても幸運なことです。阪神大震災は、先ほど紹介したステージ1の地震に過ぎません」
岩上「南海トラフ地震が、2、3年以内に起きると。そのとき原発はどうなるのでしょうか?」
高橋氏「古い原発ですとコンクリートの劣化が進んでいます。また、南海トラフが来た時、自動車が作れなくなります。輸出が出来なくなるので、食糧の輸入ができなくなる」
岩上「中央構造線上の3つの原発はどうなりますか?」
高橋氏「老朽化していなくて、設計どおりであれば、大丈夫だと思います。しかし、設計通りにはなっていないので、危険だと思います」
岩上「川内原発は止めたほうがよいと思いますか?」
高橋氏「熊本と鹿児島の境、つまり川内のあたりは非常に地震が多いのです。敦賀原発も、湾のあたりが活断層になっています」
岩上「まとめですが、現在の地震が中央構造線に沿って起きていて、熊本から東西に移動していく、ということですね」
「むしろ、それが当然なのです。現在のマスコミは、非常に局所的な報じ方しかしていないのです」
高橋氏「今回の地震を、『熊本の悲劇』だけで終わらせてはいけません。マクロな視点で眺めなければいけない。中央構造線、そして環太平洋のレベルで見なければならないのです」
以上で「岩上安身による立命館大学環太平洋文明センター教授・高橋学氏インタビュー」の実況を終了します。動画アーカイブは、準備が整い次第、IWJのホームページ(http://iwj.co.jp/ )に掲載します。