19日には日経平均株価が600円近い値上がりを演じたが…(撮影:尾形文繁)
日銀追加緩和で日経平均は5月に1万8000円乗せ
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会社四季報オンライン 4月19日(火)16時36分配信
19日の日本株相場は日経平均株価が急反発。18日の急落の「反動高」という側面もあり、先行きをめぐっては強弱観が対立する。しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹・運用部長は今後の相場の推移をどう見ているのか。
日経平均株価は5月に1万8000円を目指す展開になりそうだ。日銀が27、28両日に開催予定の金融政策決定会合で質的・量的な追加金融緩和措置に踏み切る公算が大きく、株価上昇を後押ししそう。熊本地震が日銀の追加緩和だけでなく、政府の景気対応や消費増税先送りなどを促す方向へ働く可能性も高い。
マイナス材料だった外国為替市場での円高進行にはひとまず歯止めがかかったとみられる。きっかけになったのは麻生財務・金融相による「口先介入」だ。市場参加者の間で、1ドル=105円という水準がかなり強く意識されるようになった。
米国経済はさほど強くはないが、国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費を取り巻く環境も悪くはない。足元のドル高是正の効果もタイムラグを伴う形で4〜6月には顕在化しそうだ。製造業が息を吹き返してkるだろう。連邦準備制度理事会(FRB)のすべての理事が「ハト派」というわけでもなく年内には6月と12月の2回、利上げが行われると予想している。目先のドル・円は1ドル=110〜115円で推移するだろう。
最悪なのは、逆に米国が利下げしなければならない状況に追い込まれるケース。そうなると、円は対ドルで90〜100円まで上昇することもありうる。最近の株安をもたらした中国景気の減速、原油価格下落、円高のうち、落ち着いていないのは円相場だけ。それを踏まえれば、株価の値下がりリスクを高めるのは一段の円高進行といえる。
企業業績の行方については、多くの市場関係者が想定しているほど悲観的にはみていない。円高抵抗力が強まっているからだ。しかも、手元のキャッシュは比較的潤沢である。2007〜08年に実施した積極的な投資に対する反省があり、能力増強などには慎重。効率化投資が中心で償却負担も軽く今後、さらに円が買われても赤字になるようなことは考え難い。
熊本地震による減産の長期化は想定していない。現時点では日本経済全体に大きなダメージを与えることはないと判断している。
投資先がかぎられている現状では、配当や自己株買いなどに資金を振り向けざるをえない面もある。こうした株主還元によって減益の株価に及ぼす悪影響がある程度、吸収されるとみられる。
■ 海外勢が上昇相場のリード役に
日経平均が2月に1万5000円を割り込んだ過程では、買い方の損失確定売りが下げを主導した。信用取引の追加証拠金(追い証)発生に伴う個人投資家のいわゆる投げや、期末を控えた機関投資家のロスカットなどが膨らんだ。
一方、外国人投資家の売りは一巡しそう。年初からの海外勢の売りをみると、先物・オプション決済の特別清算指数(SQ)の算出日に集中する傾向がある。一部外国証券の日本株業務撤退や先物との裁定取引解消などによる売り物などとされており、見かけほどには「実需」筋の処分がかさんでいないように思える。
2月安値時の株価収益率(PER)は14倍割れ。「オーバーシュート」の感も強い。そこが当面のボトムになりそうだ。日銀の追加金融緩和後は外国人が上昇相場をリードするだろう。
1万8000円台まで値上がりした後は、米国の利上げや7月のギリシャの国債償還などを材料にいったん調整。その後は年末に向けてゆっくり上昇する、というのがメインシナリオだ。上値は1万8000〜9000円とみている。先行きを悲観しているわけではないが、2万円回復は難しい。
サブシナリオは「日銀が4月の決定会合で追加緩和を見送り、それを受けて下値1万5000円ないし1万6000円と上値1万7000円のボックス圏での値動きが当面続く」というものだ。「メインシナリオ」の下では、円高を嫌気して売られた鉄鋼、海運、機械、自動車や、デフレ懸念の高まりから値を下げた銀行株などに物色の矛先が向かうだろう。サブシナリオならば、内需関連やディフェンシブ銘柄買いの勢いが再び強まりそうだ。
(聞き手:四季報オンライン編集部 松崎 泰弘)
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。