ムーディーズの中国信用評価「格下げ」、冷静に受け止めよ
人民網日本語版 2016年03月07日15:42
国際信用評価機関ムーディーズは先日、中国政府の信用格付け見通しをこれまでの「安定的」から「ネガティブ」に格下げした。政府債務の増加や外貨準備の減少、中国の改革実行能力をめぐる不確実性を理由に挙げた。
ムーディーズが中国経済に下した結論は客観的かつ公正なのだろうか。この点については多くの専門家が疑問を投げかけている。ある専門家は「中国経済に対する見方自体不完全であり、中国経済は長期的には良好という基本面に変化がないということをこの報告は見落としている。中国経済の構造調整には効果が見られており、サービス業の国内総生産に占める割合は半分に達し、消費は引き続き中国の小売業の成長を牽引している」と指摘する。
動的と発展という目で中国の財政の安定性を見るという点が、この評価報告に欠けていることは明らかである。
李克強総理は今年の政府活動報告において、財政政策と安定的な通貨政策を引き続き積極的に実施すると明確に打ち出している。さらに、今年の財政赤字比率を3%に引き上げることで、さらなる減税にさらに大きな余地を提供し、とりわけ製造業の付加価値税税率の引き下げは、中国製造業の国際競争力を一段と向上させていくことになるとした。
中国の政策決定層は財政の拡張により経済成長を支えることを明確に示している。高い貯蓄率に支えられ、段階的に基準を下げるといった方法で緩やかな通貨信用貸付条件を確保していくことができる。米国の評価機関は果たしてこうした含意を読み取れているのだろうか。
中国国家統計局の統計によると、2015年末の時点で、中国の外貨貯蓄額のGDPに占める割合は32%の高さに達する。政府活動報告によると、2015年の財政赤字がGDPに占める割合は2.4%。こうした様々な指標が、中国政府の債務償還能力が西側の多くの主要エコノミーよりも遥かに優れていることを証明している。
中国政府が改革を着実に実行に移していく能力を備えていることは疑いの余地がない。中国は世界第二のエコノミーとして、改革開放30年来の経済面での成果は世界が注目するに値する。「この難関さえ乗り切れば、中国は必ずや輝かしい成果を再び収めることができる」。政府活動報告は中国政府が経済の発展方式の転換を進め、中高速の発展を実現するという自信と確固たる決心を世界に伝えている。
目下、中国経済は確かに大きな困難と厳しい課題に直面している。しかし、中国経済を極端に悲観することは根拠に乏しく、取り越し苦労に終わってしまう可能性さえある。
ムーディーズとフィッチ・レーティング、スタンダード・アンド・プアーズの評価機関三社は世界の格付け市場を独占しており、その影響力は大きい。しかし、近年は業務の操作の透明性や評価基準の公平性をめぐり度々非難を受けている。欧州連合(EU)もこれら評価機関の主権信用評価におけるプロセスの欠陥性を公に批判している。
ムーディーズにしろ、他の評価機関にしろ、中国経済の信用格下げは出来事の一つにしかすぎず、大きな波風を立てることはない。しかも、西側メディアの中国経済低迷という度重なる誇張は、最終的にまたしても事実の前に屈することになるだろう。そのため人々はこの手の報道には早くから驚くこともなくなっている。(編集IM)
「人民網日本語版」2016年3月7日