平昌五輪 組織委の記者会見に業者が乱入し「工事代金払え!」 韓国メディア「国際的な恥さらし」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160131-00000531-san-spo
産経新聞 1月31日(日)15時30分配信
韓国・平昌五輪は混乱の話題に事欠かないようだ。スキー会場の工事が遅延し、2月6、7日の国際スキー連盟(FIS)主催で同五輪初のテスト大会の開催が危ぶまれたが、FISが1月20日の会場視察で公式承認を与えたことで、どうにか開催にこぎ着けた。ところが、FIS関係者も同席した記者会見場に未納工事代金を請求した業者が怒鳴り込んで混乱。複数の韓国メディアは「国際的な恥さらし」と報じた。事業主体は地元・江原道だが、すでに財政逼迫状況が伝えられている。一部報道で滞納額は40億ウォン(約4億円)とされ、業者は昨年5月から「食事代も受けられなかった」と訴えた。韓国ではこれまでも緊縮予算によって国際大会の運営で不評を買う事態を招いており、韓国ネットユーザーからは改めて五輪を誘致する必要があったのか疑問のコメントが寄せられていた。
SBSによると、異常事態は1月20日に起きた。この日、FISのギュンター・フヤラ技術顧問が19、20日にW杯会場のアルペンスキー場を視察した結果、コースとして正式に承認。FIS関係者が同席した記者会見がスキー場の現場事務所で行われた。その際、未払いの工事代金の早急な支払いを求めた機器メーカーの従業員が乱入し、混乱状況に陥ったという。
従業員は怒りに満ちた声で「代金の問題も解決できないのにテストイベントを行っていいのか? 昨年5月から食事代も受けられなかった。それなのに何が世界の祭りだ。競技場を建てるのに危険もあり、命をかけて働いた。江原道は責任を負え」と窮状を訴えた。
五輪組織委員会の関係者らはこの不測の事態に困惑の表情を隠せず、近くのコンテナに場所を移して会見は進められたという。
アルペン競技場の建設ではすでに昨年12月、複数の企業が工事代金滞納で工事を中止する事態が発生していたという。江原道の地元紙によると、江原道は「施工業者に対策づくりを促す一方、機器メーカーの被害を最小限に抑えるための支払いの履行を保証するために仮差し押さえも検討している」としていたが、事態が改善されていなかったことが従業員の訴えで明らかになった格好だ。
平昌五輪の総予算は当初見込みの8兆8196億ウォンから13兆4851億ウォンに膨らんでいる。さらに物価変動や事業計画の変更などで増額される可能性を残す。初のテスト大会開催のために24時間体制で工事を施工しており、費用の増加は必至か。その状況下で工事代金未払い問題が明らかになった。
韓国ネットユーザーはこの事態に「今からお金の問題が片付いてないなんて」とか「一度だけの見せ物的な国際行事はもうやめよう」や「払うものを払って、もらうものをもらって信用社会が成り立つ」などと非難するコメントが書き込まれていた。
韓国メディアによると、昨年1月時点で、江原道の財政自立度は21.61%で、845億ウォンの債務を抱えていた。五輪関連支出を賄うため、15年に1200億ウォン、16年に1000億ウォンの地方債を発行する計画とされていた。そんな赤字自治体に40億ウォンの工事代金を払う余力はあるのか。政府、五輪組織委が支援せざるを得ない。
韓国の現代経済研究院が分析した平昌五輪の経済効果は約65兆ウォンだが、国民の日常生活を犠牲にしてまで開催するイベントはあるのか。