最近の不動産価格は株価に連動する傾向がある
不動産を売却するなら今のうち 株式市場の「3カ月後」に連動する価格
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20160130/ecn1601300830001-n1.htm
2016.01.31 本当は教えたくないマンション業界の秘密 榊淳司 夕刊フジ
年が明けてから、世界的に株式市場が波乱の様相を呈している。日本の株価も例外ではない。
実のところ、日本の不動産市場はますます株式市場と連動する関係が見受けられる。株価が上がれば不動産市場も活況を呈す。株価が下がれば不動産市場も低調に。
なぜそうなるかというと、株式市場と不動産マーケットに投資するプレーヤーが重なっているからである。
私の知る限り、不動産投資をしている方は、ほとんど株式投資も行っている。片方で儲かった場合は、その資金でもう片方の投資も厚くする、ということなのだろう。したがって、片方がバブル化すると、もう片方も同様の動きになる。
リーマン・ショック以前は、双方の市場がシンクロしている部分とそうでないところがはっきりと分かれていた。不動産市場の主役は、投資ではなく実需であったからだ。マンションなら「実際に住む」人たちが購入する物件が、マンション市場の過半を占めていた。
今は違う。市場に供給される新築マンションの半数以上が投資で買われている状況。こうなれば、株式市場と濃厚な連動関係が生まれる。
しかし、不動産市場は株式市場ほど可視的でない。どこでどんな取引が行われているかを、公開するシステムが整っていない。したがって、株価のように誰もが「上がった」「下がった」をリアルタイムで見ることができない。
さらに言えば、不動産の流通価格は株価ほどビビッドには動かない。そこには、かならずタイムラグが生じる。株価の変動に遅行して不動産の価格も動くのだ。
株価は半年先の景気動向を先取りしている、といわれる。不動産の場合、株価と半年もずれるということはない。せいぜい3カ月だろう。
現在の株価の動きがはっきりと下落基調にあると仮定すれば、不動産の流通価格もこの春先以降に下がっていくことが見えてくるはずだ。水面下ではすでにその兆候が始まっていたとしてもおかしくはない。
私は、日本の株価がバブル化していたとは思わない。日本経済と企業業績のファンダメンタルズで見る限り、上がり基調であってもいいと思っている。
しかし、不動産市場の一部ははっきりとバブル化していた。都心や一部の郊外、地方都市の限定エリアでは、投資として見合わない利回り4%未満のレベルにまで取引価格が上昇している。
今後、不動産市場においても下落基調が定着するとすれば、まずはこのバブル的に値上がりをしたエリアからだと予測できる。そして、その影響はやがて市場全体におよぶはずだ。
もし、売却予定の不動産があるのなら、早めに動くべきだろう。市場がガラガラと崩れ始めたら、多少売却希望額を落としても買い手が現れなくなる。
株価は常に不動産市場の先行指標である。不動産を売買する予定があるのなら、目を離すべきではない。
■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。