11月13日(現地時間)に起きたパリ同時テロの実行犯らの連絡手段はスマートフォンのSMSだったと、英Telegraphや仏Le Mondeが仏警察当局の発表に基いて18日に報じた。
Telegraphによると、89人が犠牲になったバタクラン劇場の近くのゴミ箱に、実行犯の物とみられる携帯端末が捨てられていたという。この端末を調べたところ、テロ開始直前の13日午後9時42分にSMSで「さあ、始めよう」というメッセージが送信されていた。
この端末からはこの他、テロの主犯がISISのアブデルハミッド・アバウド容疑者であることも明らかになった(当局はそれまで、アバウド容疑者がシリアに潜伏していると考えていた)。こうした情報は、特に暗号化されることもなく、端末内に保存されていたという。
パリ同時テロ発生後、通信手段の暗号化がテロの未然阻止を困難にしていると主張する向きがあるが、テロリストは暗号化されていないツールも使っていることが、これで明らかになった。
パリ同時テロ実行犯の連絡ツールは暗号化されていない素のSMS──英Telegraph報道
「パリ同時テロ実行犯の連絡ツールは暗号化されていない素の「SMS」(上記引用)という記事を見つけた。
英国のメディアの記事を紹介したものであるが、事件現場で実行犯の物とみられる携帯端末が見つかり、彼等が、通信手段に「SMS」を利用していたとし、それが暗号化されていなかったというのだ。
おそらくこの記事の主旨は、犯行グループの通信手段が、「SMS」ではなく「SNS」であったことをいいたかったのだろう。
日本人で、「SMS」と「SNS」の違いを理解している人は少ない。「SMS」はインターネットを介した情報通信手段であり、「SNS」は通信事業者の通信網=電話番号を介しての情報通信手段だ。
日本人はこの違いを理解することは非常に困難であるので、説明は省くが、インターネットの情報の監視システムは確立されていて、ネット上での会話である「SNS」、具体的にはLINEやFasebookの通信は24時間監視されているが、電話番号を利用した「SMS」の監視システムは古典的であり、監視されていないという問題定義であったと思われる。
「SMS」とはショートメッセージサービスもしくはテキストメッセージといわれるものであり、「SNS」のようにスパイウイルスを混入できない。つまり、監視できないのだ。
*「SNS」とはソーシャル・ネットワーキング・サービス(social networking service)
従って、テキストメッセージである「SMS」を暗号化するなどということはできない。日本の報道は、「SMS」と「SNS」の違いを理解できないばかりか、「SNS」の情報監視システムへの問題意識もまったくないから、英国の報道記事を訳して伝えることができないのだ。
ここまで書ていても、大半の日本人は、「SMS」と「SNS」の違いを理解できないだろうし、この問題定義すらも理解できない人は多いだろう。
どうでもいいのだが、個人的には、インターネットでの発言は監視されていることを前提に公開しているが、プライベートでは、ガラケーの携帯電話でネットの接続は契約していない。
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