中国のGDP
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52773063.html
2016年01月19日 在野のアナリスト
マイナンバーを扱う総務省の外郭団体、地方公共団体情報システム機構が、システムの故障を発表し、個人番号カードを発行できなくなりました。外部から入り込めないから個人情報洩れはない、としますが、USBメモリやSDカードで内部の人間がもちだせば、漏洩も考えられる。総務省の天下り団体でもあるこの組織のガバナンスが劣っていることは、火を見るより明らかでもあって、ガバナンスが機能していれば、そもそも無駄な役員など雇っていないはずです。それが逆にガバナンス、というのなら、総務省の統治、支配は行き渡っている、ということなのでしょう。いずれ大きなトラブルが起きる、それを予感させる事象と考えられます。
中国国家統計局が発表した10-12月期GDPは前年同期比6.8%増となり、通年では前年比6.9%増となりました。ただ、同じ日に発表された2015年の発電量は前年比0.2%減、これは明らかに中国経済の減速を示す数字です。前年に比べ、社会が効率的になって電気をしようしなくとも経済活動が活発であれば、確かに発電量は減っても6.9%の成長を達することはできるでしょう。
しかしそれは相当、困難な道ですし、またそうしたことが為された様子もない。逆に、一昨年が非常に非効率な形で電気をつかっていた、とでも言うのか? いずれにしろ、発電量から見える中国経済は、最早7%どころか1〜2%、下手をすればマイナスでも驚きはない、となります。中国人民銀行と商業銀行が、12月の外貨取引で大幅な売りこし、つまり資本フローの流出超だと発表しました。中国国内から逃げだすマネー、しぼむ株式市場、そしてオフショア市場への介入により、ますます国内で枯渇する人民元、と三重苦のような様相を、今の中国は呈しています。国内経済を縮小させる材料が盛り沢山、それでも上海市場は介入で株価ももち直しましたが、不動産市場がひえこめば、国内の資本消失が深刻となり、消費の蒸発がおきることが必定なのでしょう。
過剰生産性、過剰投資、逃げだすマネー、今の中国にはつける薬が見当たりません。対策期待、なども語られますが、誰も何をどうしていいのか、答えをもっていないのが現状です。しかし日本の甘利経済再生担当相が、株安について「日本の努力でどうにもならない」と述べていますが、年金などに株を買わせ、努力してここまで上げてきたのに水の泡になって、どうしようもない、というのがこの言葉の背景です。外生的要因、としますが、内生的要因には打つ手もない、むしろ消費増税という、さらに景気を冷やす材料がこの先に待っているのであって、上がりようがない、が実態です。どの国も、低成長では満足しない政治情勢であるのに、低成長どころかマイナス成長に陥り、それを強引にメディアコントロールで凌いでいる、そんな状況です。
IMFが世界経済の見通しを下方修正したこの日、内閣府も2018年度の基礎的財政収支の財政赤字の額を、下方修正しました。甘い見通しをだし、その時期が近づくと先送りしたり、見通しを下方修正したり、と世界の趨勢はほぼ、こうした政治の事情によって経済指標が恣意的に扱われている。その際たるものが、中国の経済統計、ということも言えます。日本の経済指標も、最近は中国化しているとも言えますが、中華の経済指標は『註解』の方が大切、という点ではより深刻なのでしょう。官僚の暴走する国は、遠からず滅んできたのが世界の歴史です。中国ばかりでなく、日本でも一向にすすまない天下り団体の問題も含め、官に国の財産が食い潰され、滅んでいくのをただ黙って眺めるしかない、両国の事情はとても似通ってきてしまったのでしょうね。