「戦争と格差拡大」政治の流れを変える
ために、新しい経済政策の提案が必要だ !
財政政策運営が、「超緊縮に転換」、消費税10%に増税すれば、
日本経済は大崩落する !
自公政治家・NHK等がインペイする安倍政権・成長戦略の本質は、
巨大資本の利益極大化を目指す事だ !
(「植草一秀の『知られざる真実』」:2016/01/16より抜粋・転載)
1)第二次安倍政権が、3年も持ちこたえてきた最大の拠りどころ・
株価が下落し、暗雲が垂れ込めている !
2016年が明けて半月が経過したが、経済環境は厳しさを増している。
第二次安倍政権が、3年も持ちこたえてきた最大の拠りどころが株価上昇だった。
たまたま円安が進行し、これに連動して株価が上昇したために、第二次安倍政権が3年も持続したのである。しかし、その最大の拠りどころに暗雲が垂れ込めている。
2016年が明けて半月の時間が流れたが、この間に日経平均株価が上昇したのは、わずか1日だけである。
日本経済の先行きに対する不安が急速に広がり始めている。
株価下落は、日本だけの現象ではなく、グローバルな広がりを持つ現象ではある。
2)世界的な株価下落の最大の背景は中国株価の下落だが、日本経済の
将来不安が急速に広がっている !
NYダウも1月15日には16000ドルを割り込んだ。
すでに記述してきたように、世界的な株価下落の最大の背景は中国株価の下落である。
昨年6月までの1年間に上海総合指数は2.6倍の水準に暴騰した。
この株価が昨年6月以降に急落し、9月には2850ポイントにまで下落した。
その後、12月にかけて3600ポイントを回復したが、年明け後に3000ポイントを再び割り込んだのである。
3)中国が震源地になって世界の株式市場が動揺している !
この中国が震源地になって世界の株式市場が動揺している。
また、サウジアラビアとイランの対立激化など、地政学リスクの高まりも株価下落のひとつの要因になっている。しかし、それだけではない。
日本の経済政策が緊縮政策の度合いを一気に強め始めているのである。
詳細は、『金利・為替・株価特報』2016年1月18日号に記述した。
1990年以降、26年間の日本経済の浮き沈みを形成してきた、最大の要因は経済政策である。
経済政策の積極・緊縮の繰り返し、経済政策の右往左往が、日本経済の長期低迷の主因である。
第2次安倍政権は、2013年には積極政策を実行した。
4)2014年には、消費税増税を軸に超緊縮政策
を強行、日本経済は撃墜された !
しかし、2014年には、消費税増税を軸に超緊縮政策を強行した。
このために、浮上しかけた日本経済は撃墜されてしまった。
2015年は消費税再増税を先送りしたが、そこに原油価格下落が重なったから、日本経済は何とか持ちこたえたのである。
ところが、2016年度の財政政策運営が、「超緊縮に転換」する。
このため、日本経済が再び転落する恐れが生まれ始めている。
年初来の株価急落の背景に、この問題が存在することを忘れてはならない。
さらに言えば、2017年4月には、消費税率を10%に引き上げる方針が示されている。
5)財政政策運営が、「超緊縮に転換」、消費税10%に増税すれば、
日本経済は大崩落する !
このまま政策変更せずに突き進めば、日本経済は大崩落を起こしかねない。
株価が上昇した過去3年の間も、一般庶民に景気回復の実感はなかったし、また、実際に一般庶民は景気回復の恩恵に浴していない。
株価は上昇したが、経済全体が浮上したわけではなかったのである。
経済全体が浮上しなかったのに株価が上昇したのは、経済活動の果実の分配において、資本の取り分を増やして、労働の取り分を減らしたからだ。
6)安倍政権は、参院選にも勝って、憲法改定
・独裁完成に突き進む構えだ !
一般庶民が株価上昇に見られるような景気浮上の実感が広がらなかったのは、当たり前のことなのだ。
2016年は選挙の年になる。
安倍政権はこの選挙にも勝って、憲法改定に突き進む構えを示しているが、そうは問屋が卸さないかも知れない。
頼みの綱の株価まで下落すれば、アベノミクスの化けの皮がはがれてしまうからだ。
日本政治の流れを変えるために、いま、新しい経済政策の提案が求められている。
7)「戦争と格差拡大」政治の流れを変える
ために、新しい経済政策の提案が必要だ !
経済が浮上していないことも問題だが、それ以上に重要な問題は、生産の結果生み出される果実の分配に、著しい不公正、歪みがあることだ。
格差拡大が、経済政策によって推進されていることが重大な問題なのである。
すべての労働者の正規化実現を目指すべきである。
最低賃金の引き上げを実現するべきである。
―この続きは次回投稿します―
(参考資料)
自公政治家・NHK等がインペイする安倍政権・成長戦略の本質は、
巨大資本の利益極大化を目指す事だ !
「植草一秀の『知られざる真実』」:2016/01/12より抜粋・転載
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1)年明け後の日経平均株価の下落、 背後にある三つの要因 !
年明け後の日経平均株価が下げ止まらない。
1月8日付ブログ記事、「年初来の株価下落の背後にある三つの要因」、http://goo.gl/CGZ8D1
に三つの要因を指摘した。第一は、中国株価調整。第二は、地政学リスクの高まり。
第三は、安倍政権の経済政策運営スタンスが緊縮財政の傾向を強めていることである。
第一と第二の要因については一般的に指摘されている。
しかし、第三の要因を指摘する声は少ない。
2)NHK等マスコミは、安倍政権の経済政策運営スタンスが
緊縮財政の傾向を強めていることを軽視 !
指摘する者が少ないことと、メディアが真実の情報を報道しないことが背景にある。
しかし、この第三の要因が最も重要である。バブルの崩壊が始動して26年が経過した。
「失われた10年」が「失われた20年」になり、そしていま、「失われた30年」が現実味を帯びる。
私は、『日本経済復活の条件 −金融大動乱時代を勝ち抜く極意−』を上梓した。
http://goo.gl/BT6iD7、http://books.rakuten.co.jp/rb/13591835/
日本経済を浮上させるための方策を考察している。
重要なことは、近視眼的発想を排して、中長期の経済発展を目指すことだ。
3)日本の経済政策・財政健全化策は、
近視眼的な病理に冒されている !
残念ながら、日本の経済政策、そして、財政健全化策は、いずれも、近視眼的な病理に冒されている。
日本経済の衰退が26年の長期に及んでしまった最大の原因は、日本の経済政策の失敗にある。
財務省には、「経済あっての財政」という発想がない。
ひたすら財政赤字の縮小だけを追求する。
経済をしっかりと育てることが、最大の財政健全化策であるという、根本を理解していないのである。
経済が少し浮上すると、財務省が逆噴射のレバーを引く。
4)経済が少し浮上すると、財務省が逆噴射のレバーを引く等、
長期停滞の蟻地獄に、はまってきた !
これで日本経済は、長期停滞の蟻地獄に嵌(はま)ってきたのである。
さらに、もう一つの問題がある。それが安倍政権の経済政策=成長戦略である。
成長戦略の具体的な中身は、農業自由化、医療自由化、解雇自由化、経済特区創設、法人税減税
だが、これらのすべてが、国民を豊かにすることを目的としていないことだ。
5)安倍政権・成長戦略の本質は、巨大資本の利益極大化を目指す事だ !
国民ではなく、グローバル巨大資本の利益極大化を目指す。これが成長戦略の本質なのだ。
巨大資本の利益が拡大すれば、巨大資本の株価時価総額は拡大する。株価は上がる。
しかし、この株価上昇と国民生活の向上はまったく結びつかない。
結びつかないと言うよりも、国民生活の犠牲の上に資本の利益拡大があり、株価上昇があるということなのだ。円安が進行している間は、ひずみが隠されていた。
しかし、円安から円高に流れが転換し始めて、ひずみがくっきりと表面に表れ始めている。
*悪徳ペンタゴン:
日本の既得権益とは、米国・官僚・大企業の三者をいう。
私はこれに、利権政治屋(自民党・公明党等の政治家)・マスコミを加えて、米・官・業・政・電の五者が、日本の既得権益であるとしている。
米・官・業・政・電は、ピラミッドの構造をしているというのが私の認識である。
ピラミッドの頂点に位置するのは、「米国」である。
日本の司令塔、日本の既得権益の頂点に位置するのは、「米国」なのだ。
(植草一秀氏の説)
6)巨大資本の利益極大化経済政策は、中長期
の経済を必然的に衰退させる !
そして、資本の利益拡大だけを追求する経済政策は、中長期の経済を必然的に衰退させる。
メディアはアベノミクスで経済全体が良くなったかのような宣伝を繰り広げるが、この広報は虚偽である。
国民生活の向上、国民生活の底上げ、という視点が安倍政権の経済政策には存在しない。
だからこそ、日本経済の中長期展望は暗いのである。
その暗さがいま、日本の株式市場に、くっきりと翳を落としている。
「頑張った人が報われる」などと言われるが、小泉政権、安倍政権が唱える「頑張った人が報われる」というのは、資本市場であぶく銭を得た人のことしか指していない。
毎日、懸命に働いているのに、非正規労働者の身分で、最低賃金すれすれの時給しかもらえない労働者が激増しているのだ。非正規労働者の比率は、約4割(2100万人超)。
―以下省略―