地磁気逆転(ポーラーシフト)とは地磁気の向きが逆転する現象で、SFの世界のように思えるが岩石の磁化方向を調べると、過去360万年で11回起こっていることがわかっている。最後の地磁気反転は78万年前だが地磁気逆転につながる磁場の弱まりが加速している。
NASAの欧州版ESAの地磁気観測衛星のデータで明らかとなった。地磁気の弱まりは10年間で5%(2000年後に地磁気逆転)となり、低緯度オーロラがみえやすい環境になっている。地球磁場が逆転する過程は下の図のように複雑な多重極を形成する。
いま地球上で起こっている異常気候のほとんどは「地球温暖化」で片付けられている。しかし「地球温暖化」そのものが特定地点で測られた地表気温の100年間のデータの「増大傾向の解釈の度合い」であり、背景にはより長周期(数100年スケール)での氷河期へ向かう変動傾向がある。
地磁気と寒冷化
地磁気はヴァンアレン帯を形成し地球に降り注ぐ宇宙線や太陽風から、地球上の生命を守っているが、気候にも影響を与えている事実はあまり認識されていない。1990年代に宇宙線が大気中の雲の量に影響する事実が示された。地磁気は宇宙線の量に関係するから、地磁気の弱まりが雲の量を変え気候に影響することは自然である。
最近のNASAの研究によれば温暖化の元凶とされる温室効果ガスの発生が多い工業地帯では同時に排出されるPM2.5などの微粒子が太陽を遮断し、また雲の核となるため雲を発生させて冷却効果があるという。地磁気の逆転に伴って地磁気は1桁弱まるが、このとき宇宙線の量は倍増し、より多くの雲を発生することで地球は冷却されると考えられている。
地球磁場が弱まると雲が太陽を遮蔽して寒冷化が起こるとしたが、地球全体が均一にそうなるわけではない。最後に起こった78万 年前の地磁気逆転を調べると磁場が弱まったときに、南極では寒冷化が起こっていないという矛盾がある。しかし宇宙線の線量が多い中緯度、低緯度地域では寒 冷化が起こっている。つまり磁場の影響、宇宙線の影響は地球上で均一ではなく中・低緯度地域と極地で逆の傾向を示すということ。
太陽磁場の異変も寒冷化
NASAの発表では11年周期の太陽磁場の逆転は最新のものが2013年12月に完了した。太陽黒点は太陽磁場の磁力線によってプラズマの対流が妨げられて生じる。その活動は太陽磁場と関係が深い。気象庁と理研の研究では最近の太陽黒点の活動が17世紀にテムズ川が凍結したときの”Maunder Minimum”と呼ばれる寒冷化に似ているという。”Maunder Minimum”では温暖化と解釈されている20世紀後半より2.5度低かった。
地球の気候の変動は「温室効果ガス」(温暖化)以外に温暖化・寒冷化どちらにも 変動する日射量すなわち太陽活動と地球磁場による寒冷化が複雑に入り混じった複雑系といえる。したがって「温暖化」を短周期で論じること、同時に「温室効 果ガス」に結びつけることは危険である。科学的根拠が薄いにも関わらず温室効果ガスの削減が取引による莫大な権益を生みだしたが、地球気候という複雑系の 理解こそ急務だと考える専門家は多い。