http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/bfba57039fa3c6dcd618b4817b5c15af
2015年11月24日
別に、2四半期連続でGDPがマイナス成長でも、安倍政権にしてみれば、景気の先々を織り込む東証株価が安定的であれば、景気はそこそこなのだろうと感じているのが、日本人のメジャーだ。雇用が安定しているとNHKが言えば、そうだろうね、としたり顔になるのが日本人社会の、大人のたしなみのようなものである。しかし、ブルームバーグが社説で、「日本がパニックに陥る理由はない」とわざわざ社説で言及している事が、日本経済、延いては世界経済の容態の重篤さをあらわしている。
≪ 日本がパニックに陥る理由ない、
2四半期連続マイナス成長でも−社説
(ブルームバーグ):日本の7−9月期の実質国内総生産(GDP)が2四半期連続のマイナスとなったとのニュースは、安倍晋三首相の経済政策に懐 疑的な向きにはアベノミクスの新たな攻撃材料となるだろう。そうした人々の疑念はもっともなものだが、日本がパニックに陥ったり、進路を変更したりする理由はまだない。
1つには日本の場合、リセッション(景気後退)といっても他のほとんどの地域とは意味するものが同じではない点が挙げられる。日本は過去20年間に7回、 2012年12月の第2次安倍政権発足以降に限れば2回、こうした状況に見舞われている。日本の人口減少を踏まえれば、すう勢的な成長率は0.5%程度で、7−9月期に記録した年率換算で0.8%程度の小幅な減少でもマイナス圏に落ち込む事態となり得る。いずれにせよ四半期ベースの統計は大きくぶれる可能性がある。
同時に、日本の大手輸出業者の利益は円安を背景に大きく膨らみ続けている。トヨタ自動車の7−9月の営業利益は過去最高の8274億円と、米ゼネラル・ モーターズ(GM)とフォード・モーターの合計の上回った。トヨタを含む数社は自社株買いや配当支払いを通じ、株主に利益の一部を還元している。投資家は引き続き楽観的で、日経平均株価は9月以降、ブルームバーグがカバーする世界93の主要株価指数で上位4番目の好パフォーマンスだ。
アベノミクスの他の成果がささやかだとしても、少なくとも正しい方向に向かっている。女性を中心に労働参加率は上昇しつつあるが、失業率は18年ぶりの低水準にある。労働者の多くが先行きが限られているパートタイム雇用に就いているが、正規雇用の数は増え始めている。賃金は緩やかに上昇中だ。東京の都心部 以外でも不動産価格は上向きつつある。さらに、日本銀行による多額の量的緩和策にもかかわらずコアインフレ率はかたくなに動こうとしないが、東大日次物価指数など他の指標は少なくとも一部の小売価格の上昇を示している。
最近のデータで最も懸念すべき統計は設備投資の減少だ。企業は在庫を取り崩すとともに、新工場や設備への投資を手控えている。だが、これは全く驚くべきことではない。日本の最大の貿易相手国である中国の景気減速が主因となって、世界経済の見通しは不透明な状態が続いている。それに加えて、最高の状況にあっ ても日本の人口動態の下では国内市場は着実に縮小していくことが必至だ。
中国の低迷が予期せぬ逆風にならなかったとしても、日本の復活に向けた取り組みは多の識者が認めるよりも常により長い期間を要してきた。エネルギーや医薬品、農業部門の開放のほか、環太平洋連携協定(TPP)の下での関税削減、日本株式会社の行動を制約してきた株式持ち合いの解消など、困難な構造改革が進められている。しかし、これらが直ちに利益をもたらすことは期待できない。
恐らく公共投資や税制上の優遇措置も含め、安倍首相は企業の賃上げや設備投資を促す新たな措置を検討中とされる。もっと歓迎すべきなのはこれまで聖域とされることが多かった改革を新たに推進しようとする動きだ。必要な技能を持つ労働者を中心とした移民の受け入れ拡大や、正規雇用促進のための労働規制の緩和などがそうした例だ。アベノミクスは息絶えていない。ただ、安倍首相のやるべき仕事が完了したというにはほど遠いのも事実だ。
*原題:Latest Recession Is No Reason for Japan to Panic: Editorial(抜粋) ≫(ブルームバーグ:社説)
社説では≪投資家は引き続き楽観的で、日経平均株価は9月以降、ブルームバーグがカバーする世界93の主要株価指数で上位4番目の好パフォーマンスだ。≫と書いているが、最近の東証日経の終値付近で、日銀及び投信の買いパフォーマンスが顕著で、僅かな額だけのプラスで終わらせる不文律が出来つつあると観察している。つまり、高パフォーマンスを奏でているのは、公的資金の介入である点を、ネグっている。世界の名だたる金融ファンドが軒並みマイナスを計上していると云うことは、グローバル金融資本主義の踊り場が到来したことを告げている。踊り場から、上るのか下るのか、誰も答えを出しかねている。
≪女性を中心に労働参加率は上昇しつつあるが、失業率は18年ぶりの低水準にある。労働者の多くが先行きが限られているパートタイム雇用に就いているが、正規雇用の数は増え始めている。賃金は緩やかに上昇中だ。東京の都心部 以外でも不動産価格は上向きつつある。≫と、事実の一部をNHKよりは分析的に書いているが、まだまだ手ぬるい評価だ。なぜ、専業主婦で、子供を産み育てられない経済状況かを表しているわけで、亭主の安い収入では、日々の暮らしでさえ事欠くか、不安をぬぐえないのだろう。賃金の緩やかな上昇は、公共事業による矢鱈な工事の人手不足に起因している。つまり、現業人材の不足であり、3K、4Kの賃金が上昇しているのだ。つまり、個別にはワーキングプワーが増加するが、家族単位で見れば、家庭全体収入が上昇していると云う、マジック(騙し絵)なのである。
≪新工場や設備への投資を手控えている。だが、これは全く驚くべきことではない。日本の最大の貿易相手国である中国の景気減速が主因となって、世界経済の見通しは不透明な状態が続いている。それに加えて、最高の状況にあっ ても日本の人口動態の下では国内市場は着実に縮小していくことが必至だ。 ≫と言うが、日本の最大の貿易相手国である中国との関係は容易ならざるもので、アメリカ政府のような裏表外交と云う芸当が出来なのが日本人である。反目している最大貿易国の景気に左右される日本企業では、設備投資が思うに任せないのは当然だ。
つまりは、安直なM&Aで市場を買うのが精一杯の状況だ。まあ、この点は、アメリカ企業も同じだろう。ただ、日本ほど、内需の市場規模が急激に購買力を失わないのが救いなのだ。だから、後述するように、人口増加を画策せざるを得ない。それが、産めよ増やせよ、が本命ではなく、「移民」が本命視されている。 *このあたりが、安倍政権の日本売りのコアな部分だろう。
≪エネルギーや医薬品、農業部門の開放のほか、環太平洋連携協定(TPP)の下での関税削減、日本株式会社の行動を制約してきた株式持ち合いの解消など、困難な構造改革が進められている。しかし、これらが直ちに利益をもたらすことは期待できない。 ≫この考えが、既に行き詰まりを見せている、市場原理に沿った金融資本主義の典型例だが、共生の精神を美的に称賛された国際的に容認されている、緩やかな共同体意識までもを、経済の枠組みを構造的に変えることで、ぶち壊すことになる。第三者を意識しない世界ほど怖いものはない。
最後に、「難民」受け入れでも、何でも良いから、日本経済の再生には、生活困窮者の数を、現状の日本人だけで賄うのは無理だから、最終的には「移民」の受け入れに向かうことだろう、と言って、社説は焦らなくて大丈夫だよ、と言っている(笑)。≪恐らく公共投資や税制上の優遇措置も含め、安倍首相は企業の賃上げや設備投資を促す新たな措置を検討中とされる。もっと歓迎すべきなのはこれまで聖域とされることが多かった改革を新たに推進しようとする動きだ。必要な技能を持つ労働者を中心とした移民の受け入れ拡大や、正規雇用促進のための労働規制の緩和などがそうした例だ。≫
http://www.asyura2.com/15/hasan102/msg/805.html