毎日新聞 11月16日(月)23時58分配信
◇バルス首相「われわれは行動し、攻撃し、そして勝つ」
【パリ賀有勇】フランスのオランド大統領は15日、パリ同時多発テロで犯行声明を出した過激派組織「イスラム国」(IS)のシリア領内拠点に対する仏軍の大規模空爆を通じ、IS掃討作戦を強化する方針を内外に示した。16日にパリ近郊のベルサイユ宮殿で開いた上下両院合同議会での演説でも、テロに屈せず、国民の安全確保に全力を挙げる姿勢を打ち出すとともに、「対IS戦争」の遂行で国際社会に一致団結を呼びかけた。
15日の空爆は米軍と合同で実施され、ISが「首都」と位置づけるシリア北部ラッカにあるIS司令部などを破壊した。仏軍が今年9月末、シリア領内にあるIS拠点に対する空爆を開始して以来、最大規模の攻撃。
また、仏政府は戦闘機を搭載した原子力空母シャルル・ドゴールを18日にペルシャ湾に派遣し、4カ月間駐留させることを決めた。
大統領は演説で、シリア空爆を強化することを明言した。
大統領は同時テロをISによる「戦争行為」と断じ、「(ISに対して)容赦なく対応する」と対決姿勢を鮮明にしていた。バルス首相は同時テロがシリアで計画されたものだと指摘し、「われわれは応酬する。なぜなら戦争を行っているからだ。われわれは行動し、攻撃し、そして勝つ」と述べた。
フランスメディアによると、トルコで開かれていた主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席したファビウス外相も「攻撃を受けた以上、(防衛のために)応酬するのはまったく正常なことだ」と述べ、「空爆を終え、ISと戦う決意は強くなっている」と話した。
オランド大統領は15日、空爆に先立ち各政党の代表らを大統領府に招き、対応策について説明した。サルコジ前大統領は抜本的な安全保障改革の必要性を訴えたという。ルモンド紙は「フランスはISに勝つための手段を講じず、事態の深刻さを十分に理解していなかった」とのサルコジ前大統領の見解を報じた。