果てはスラム化……〔PHOTO〕gettyimages
憧れの物件!?「タワーマンション」が潜在的に抱えている「恐怖のリスク」をご存知ですか?その建て替えは事実上、不可能です!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46116
2015年11月03日(火) 週刊現代 :現代ビジネス
安心して住みたいーー。私たちの望みはそれだけなのだ。しかし、「傾いたマンション」の杭打ち偽装発覚以後、不安は増すばかり。安心できるマンションはないのか? 実はタワーマンションも本質的に重大なリスクを抱えていた…。
■複雑すぎる住民構成
かつては「高級」の代名詞だったタワーマンションだが、いまや新しくマンションを買う人の4人に1人がタワマンオーナーとなる。
若者夫婦から高齢者まで広く人気を集める定番商品となったわけだが、ひとたび欠陥が見つかれば目も当てられない「恐怖の商品」と化すことをご存じだろうか。
なぜなら、タワーマンションの建て替えは事実上ほぼ不可能だからだ。
前出の牧野氏が言う。
「タワーマンションは、住民構成が複雑すぎるのです。高層階に多いのは、相続税節税目的で買った富裕層や、投資目的の中国人。低層階に下がっていくほどに、ローンを組んで無理して買った普通の住民が増えていく。
年収から生活習慣、マンション購入動機、国籍までがまったく違う人たちが、建て替えに必要な合意をする。その合意形成はどんなマンションよりも難しい」
■修繕費も足りなくなる
実は、タワーマンションではいったん「欠陥」がみつかると、それが致命傷化しやすいという大きな問題も抱えている。
そもそも、タワーマンションは高速エレベーターなど、「ならでは」の設備を備えており、これらの管理・修繕には通常のマンションより高額のカネがかかる。
しかし、タワーマンションでは、修繕費の初期設定を低く抑えているところが多い。いざ大規模な修繕が必要になった時、費用が足りなくなる可能性が出てくるのだ。
「そのとき、追加の修繕費負担を全住民が納得するか。中国人住民は、『そんなもの、払えるか』とマンションから逃げ出さないか。高齢者の中には経済的な負担に耐えられない住民も出てくるはずです。
住民の合意形成ができずに修繕が行えないとなれば、マンションは『欠陥』を抱えたまま、放置せざるをえない。
それを嫌気した住民が一人、また一人と離れ、空き家が目立ち始め、管理費も修繕費もどんどん不足していけば……果ては、壊れたスラムマンション化という最悪のシナリオが現実化するのです」(前出・牧野氏)
■中小デベロッパーの物件も要注意
欠陥マンションになった時に「再起不能化」しやすいという意味では、中小デベロッパーが手掛けた物件もそうだ。
前述した通り、「10年以内」であれば、売り主は無償で修理をする瑕疵担保責任を負っている。
仮にこの修理費が莫大で、中小デベロッパーが倒産したとしても、売り主は瑕疵担保責任保険に加入しているのが一般的で、その保険金から修理費用が賄われるので問題はない。
が、10年を過ぎたら、話は別。もし売り主の中小デベロッパーが倒産していて、また、欠陥修繕や建て替えの費用を賄えないと主張されたら、そのデベロッパーからは何も取りようがない。
マンションビジネスは、極言すれば売りっぱなしの商売。売った後も業者がきちんとケアしてくれると勘違いしていると、痛い目を見る——。
「週刊現代」2015年11月7日号より