ペルー人の男 財布置き忘れて逃げる[NHK]
9月17日 17時49分
埼玉県熊谷市の3軒の住宅で小学生を含む6人が相次いで殺害された事件で、ペルー人の30歳の男が一連の事件の前に、事情を聞かれた警察署に財布を置き忘れて逃げていたことが分かりました。このあと、特徴の似た男が現場近くの住人に現金を求めていたことも分かり、警察は男が金に困って事件を起こした疑いもあるとみて調べています。
16日熊谷市石原の住宅で1人暮らしの白石和代さん(84)が殺害されているのが見つかり、100メートルほど離れた別の住宅でも加藤美和子さん(41)と長女で小学5年生の美咲さん(10)、次女で小学2年生の春花さん(7)の3人が殺害されているのが見つかりました。
今月14日には、2つの現場から1キロ余り離れた熊谷市見晴町の住宅で、田崎稔さん(55)と妻の美佐枝さん(53)が殺害されているのが見つかっています。
警察は、加藤さん親子の住宅に刃物を持って侵入し、2階の窓から転落したペルー人のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン容疑者(30)の身柄を確保し、3件の事件に関わった疑いがあるとみて調べています。
ナカダ容疑者は頭の骨を折って、現在、意識がないということです。
警察によりますと、ナカダ容疑者は一連の事件が起きる前の今月13日の午後1時半ごろ、「片言の日本語で意味の分からないことを話している」という通報を受けて、熊谷警察署で事情を聴かれましたが、突然、逃げ出し、このとき、現金3000円余りが入った財布を置き忘れたということです。この日の夕方には、特徴の似た男が住宅の敷地に侵入し、車を物色していたほか住人に「カネ、カネ」と現金を求めていたことが分かりました。
身柄を確保されたとき、持っていたのは包丁と携帯電話だけだったということです。
警察は金に困って事件を起こした疑いもあるとみて調べていて、ナカダ容疑者の回復を待って取り調べることにしています。
群馬の食品会社で勤務
埼玉県所沢市に本社のある食品会社によりますと、ナカダ容疑者は、ことし7月30日から先月3日までの間と、先月15日から今月12日までの間、この会社の群馬県伊勢崎市の工場で働いていたということです。ただ、この食品会社に直接、雇用されていたのではなく業務の一部を請け負っている別の会社の従業員として弁当の製造ラインに配置されていました。
先月、手や足が痛いと言っていったん辞めたあと、再び働いていましたが、今月12日に仕事を辞めたいと請負会社に申し出ていたということです。
食品会社にはこれまでのところ、ナカダ容疑者に関わるトラブルの情報は入っていないということです。
「背広着た人に追われている」
ナカダ容疑者が登録していた神奈川県藤沢市の人材派遣会社によりますと、ナカダ容疑者は平成17年に来日し、在留資格は「日本人配偶者等」となっていたということです。名前はナカダ・ルデニャ・ヴァイアンジョナタンと名乗ったといいます。
3年前の平成24年12月から1年間、神奈川県相模原市にある食品会社の工場で働いたあと、この派遣会社を辞めました。
ことしに入って再び連絡があり、そのときの面接では「自動車部品の工場などで仕事をしていた。姉が神奈川県内にいる」などと話していたということです。
7月30日から埼玉県所沢市にある食品会社の工場で働き始めましたが、5日後には体調不良を理由に辞め、先月15日からは群馬県伊勢崎市にある食品工場に派遣されていました。
ところが今月12日、午前5時からの勤務のはずが出勤せず、午前10時ごろになってナカダ容疑者から派遣会社に電話があり、「背広を着た人に追われている。工場に戻れない事態が起きたので辞めます」と話したということです。
ナカダ容疑者は伊勢崎市にある派遣会社の寮で生活していて、部屋には荷物がそのままの状態で残っていたということです。
派遣会社の担当者は「日本語はほとんど話せなかったが、これまで無断欠勤やトラブルはなく勤務態度はまじめだった。寡黙な印象で事件を聞いて驚いている」と話しています。
ナカダ容疑者 登録証明書では
ナカダ容疑者のペルーでの登録証明書によりますと、住所は首都リマのサンタクララで、登録された2003年9月の時点では独身、身長は1メートル64センチで、中学2年生で学校を中退したと書かれています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150917/k10010238991000.html