“ガラ軽”がスリランカで爆売れ! 「メード・イン・ジャパン」のブランド力は健在
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150902-00000502-biz_san-nb&ref=rank
SankeiBiz 2015/9/3 10:30
スリランカに日本の中古の軽自動車が輸入され“爆売れ”している。そんな事実が横浜銀行グループのシンクタンクが発表したリポートで明らかになった。日本独自の規格で「ガラ(パゴス)軽」といわれてきた軽自動車。だが、現地では中古にもかかわらず、高額で取引されているという。軽自動車増税や2強の首位争いの反動で国内販売が伸び悩む中、新たな市場として注目されている。
■京都府や岩手県より売れている
リポートは浜銀総合研究所の深尾三四郎主任研究員が財務省の貿易統計などをもとにまとめた。
それによると、中古の軽乗用車の日本からの輸出は2013年以降拡大傾向にあり、今年7月には過去最高の4255台を記録した。特に目立つのがスリランカ向けで、7月は2185台となり、京都府や岩手県など28府県での軽の新車販売を超える規模だった。
スリランカは日本と同じ左車線で、右ハンドル車を売りやすい。輸入する中古車については、車齢を新車登録から2年以内とする規制を導入している。
特に低燃費車やハイブリッド車(HV)は関税が引き下げられる措置があり、昨年10月に、政府が排気量1000cc以下の中古車の輸出関税を引き下げたことで、660cc以下の軽の中古車輸出に拍車がかかっているとみられる。
■「未使用車」を輸出!?
業界関係者は「日本で届け出(登録)から2年以内の軽が中古車市場にたくさん流通していることも影響しているのではないか」と指摘する。
昨年以降のスズキとダイハツ工業の激しい首位争いや販売減で、軽業界では販売会社がノルマを達成するため、自社名義でナンバー登録して転売する「未使用車(新古車)」が増加したためだ。
実際、現地の販売業者のサイトをみると、座席にビニールの包装をした新品同然のスズキの「ワゴンRスティングレー」などが多く掲載されている。
スリランカに輸出される中古車の特徴が単価の高さだ。登録から2年以内の新しいものが多いためだが、深尾氏によると、日本から海外に輸出される中古乗用車の平均価格は60万〜70万円だが、スリランカ向けは150万〜200万円で推移している。
輸入関税もかかるため、現地では250万〜300万円になる可能性がある。深尾氏は「それだけの金額を払ってでも乗りたいと考える消費者がスリランカのような新興国には多くいる」と指摘する。
■高くてもメード・イン・ジャパン
現地の消費者は日系メーカーがタイやインドで生産した新車より、日本で生産された新車登録から間もない中古車を好む傾向にあるという。円安が続いていることも追い風だ。
深尾氏は「これまで『ガラ軽の脱却』というのは軽で培った技術で開発した小型車を海外で生産・販売することが一般的な認識だった」と説明。ただ、「今後はスリランカのように日本製品を評価する市場を中古車流通を通じて開拓することも、もうひとつの解決策になる」と強調する。
未使用車も含めた中古車の輸出が増え、国内に流通する中古車の在庫が減れば需給が逼迫(ひっぱく)して中古車価格は上昇、新車に買い替える際の下取り価格も上がる。そうなれば、消費税増税や軽増税などで伸び悩む新車市場にもプラスの効果を与える。
スリランカの業者のサイトには、ワゴンRのほか、トヨタ自動車の小型HV「アクア」などの写真も多く掲載されている。日本の自動車メーカーにとっては今後、中古車の輸出戦略も無視できなくなりそうだ。(田村龍彦)