「イスラム国 謎の組織構造に迫る」サミュエル・ローラン/集英社‘15年から
第3章 軍隊
≪戦争の指揮官たち≫
イラク領の戦争大臣はアリ・キファという人物である。シリア領の戦争大臣はアブー・ウマル・アル・シーシャニーで、戦略家として非凡さと戦士としての手腕で知られる伝説的存在である。
後者は本名をタルカン・バティラシュヴィリという。少年時代、チェチェンの男たちに感嘆し彼らと同行し作戦に参加した。彼の軍事への関心はその後もけっして弱まることはなかった。やがて兵士として、また戦略家として卓越した才能を示しはじめる。
アル・シーシャニーはサラフィー主義者だが、理論家ではない。むしろ、非凡な大胆さと知性で戦いを進めることのできる優秀な戦略家である。多くの者が彼をイスラム国の戦争大臣としてかけがいがないと考えている。シリアにとってもイラクにとってもそういう存在である。その人気はアル・バグダディに不安を与えるほどで、慎重で疑い深いアル・バグダディはこの伝説的英雄が自分のライバルにならないよう、権力の中枢から遠ざけている。
http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/268.html