7月6日、海外リスクが日本株を揺さぶっている。ギリシャの国民投票は緊縮策を拒否、先行き不透明感が一段と濃くなった。写真は東証の近辺を歩く男性、1日撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)
日本株も粘り切れず大幅安、前日までと異なるレベルのリスク
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PG0MB20150706
2015年 07月 6日 17:07 JST
[東京 6日 ロイター] - 海外リスクが日本株を揺さぶっている。ギリシャの国民投票は緊縮策を拒否、先行き不透明感が一段と濃くなった。中国株は相次ぐ対策にもかかわらずマイナス圏に軟化。
業績拡大や株主還元に期待の大きい日本株は一時「粘り」を見せて下げ渋ったものの、前日までとは異なるレベルに高まったリスクに大幅安を余儀なくされた。
<予想外の大差>
予想外の「ノー」だった。欧州連合(EU)が求める緊縮策の是非を問うギリシャ国民投票が5日行われ、約6対4と予想以上の大差で受け入れを拒否。ギリシャの世論調査では、賛成・拒否がきっ抗していたが、市場では「銀行の資金が枯渇し、預金者負担につながりかねない拒否をギリシャ国民が選択することはないだろう」(邦銀)との楽観的な見方が多かった。
驚きの結果に、東京市場が開く前のアジア太平洋市場では、ユーロが急落して円が上昇。ユーロ/ドルEUR=は1.1ドルを割り込み、ユーロ/円EURJPY=は134円前半、ドル/円JPY=は122円を割り込んだ。
日本時間に入っても、日経平均.N225が序盤で300円超の下落。「不透明感を嫌うリスクオフの動きがまず出た」(外資系証券)という。
JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト 重見吉徳氏は「銀行預金のヘアカットとなれば、ギリシャ経済は大きく悪化する。EU側が今後どのように交渉していくかも読めず、不透明感の強まりを投資家は嫌う」と指摘。株式などのポジションを落とすリスクオフの動きが、強まりそうな展開になった背景を解説した。
<業績や還元に根強い期待>
ただ、日本株やドル/円は一時「粘り」もみせた。前場の市場では、日経平均は軟調だったものの、寄り付きで付けた2万0195円の日中安値を前場は一度も下回ることはなかった。
市場では、日本企業の業績拡大や株主還元への期待が大きく、押し目買いも根強い。日経平均の予想一株利益は1261円とITバブル時の4.3倍。PER(株価収益率)は16倍前半にとどまっている。ガバナンス重視の企業も増え、自社株買いや配当も増加している。
海外勢の日本株評価は高く、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ・グローバル・リサーチの報告書によると、6月30日までの過去19週のうち日本株ファンドには18週で資金流入超となった。メリルリンチ日本証券のチーフ日本株ストラテジスト、阿部健児氏は「デフレ脱却や賃金上昇で日本株の上昇トレンドは、消費再増税までは継続する」との見方を示す。
ドル/円でもリスクオフの円買いは一服している。6月米雇用統計はやや弱めだったが、米利上げ期待は依然として根強い。このまま1ドル120円を超える円安が続けば、東証1部上場企業の2016年3月期業績は15─20%増益が期待できると試算されている。
<相次ぐ対策でも中国株は一時マイナス>
しかし、国民投票の結果、ギリシャ問題の混迷度はさらに深まった。チプラス政権は、国民投票の結果をもって国民の支持を得たと再び交渉に入るとみられるが、トロイカ側も譲歩するのは難しい。「譲歩してしまえば、財政問題を抱える国に前例を与えてしまうことになる」(大手証券ストラテジスト)ためだ。
かといって、緊縮策の受け入れなしにECBが追加的な資金供給を継続するのは、容易ではないだろう。資金供給が止まれば、ギリシャの銀行休業や資本規制は長引かざるを得ず、同国経済は大きなダメージを受ける。
ユーロを離脱し、ドラクマ導入となれば、共通通貨圏の「理想」は大きく後退しかねない。いずれの道も、市場の嫌うリスクを増大させる。
一方、中国株のリスクも前週までとは違うレベルに上昇した。上海総合指数.SSECが前週まで約3週間で3割近く下落するなど止まらない株安に、中国では投資信託や証券会社、政府系機関投資家が、優良銘柄および優良銘柄を対象とするETF(上場投資信託)を買い入れると異例の表明をした。
だが、効果があったのは序盤だけ。上海総合指数は寄り付きで7%超上昇したあとは、ズルズルを上げ幅を削り、後場には一時マイナス圏に沈んでしまった。中国株安が続けば日本経済を支える「インバウンド消費」に影響が出かねない。
レベルアップしたギリシャと中国の「両面サイド攻撃」では、日本株もさすがに逆らえない。日経平均は一時500円を超える下落となり、2万円割れ寸前まで軟化した。
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市場では「前週までとは違うレベルの不透明感が広がった。個人投資家も日本株にようやく買い始めたが、あくまで押し目買い。上値を買いに行くのはやはり海外勢。ギリシャ問題や中国株が落ち着くまでは、重い展開となりそうだ」(大手証券トレーダー)との声が出ている。
(伊賀大記 編集:田巻一彦)
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東京株終値は427円安 一時2万円割れに迫る、ギリシャ危機とアジア株安で
http://www.sankei.com/economy/news/150706/ecn1507060023-n1.html
2015.7.6 15:08 産経新聞
6日の東京株式市場はほぼ全面安となり、5営業日ぶりに大幅反落した。日経平均株価の終値は、前週末比427円67銭安の2万0112円12銭。ギリシャ危機への懸念とそれによる円高ユーロ安、さらにアジア株の全面安もあって、下げ幅は一時500円を超え、半月ぶりの2万円割れに迫る場面もあったが、終盤に大きく巻き返した。
日経平均株価は午前は300円前後の値下がりが続いたが、午後になってげ幅が拡大。一気に400円を超えて500円を超えた。安値は527円安の2万0012円。高値は午前につけた229円安の2万0310円で、この日の値幅は298円に及んだ。
東京と並行して取引されているアジア市場もほぼ全面安となっている。前週に大幅下落が続いた上海総合指数は午前は反発したが、午後には一時続落に転じるなど、回復基調にはない。
東証株価指数(TOPIX)の終値は、前週末比31.73ポイント安の1620.36。東証1部銘柄のうち91%超の1730が値下がり。