ギリシャ債務問題、政府と日銀が警戒
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150701-00000524-biz_san-nb
SankeiBiz 2015/7/1 18:37
ギリシャが1日に事実上の債務不履行(デフォルト)状態に陥ったことを受け、政府・日銀は警戒態勢に入った。国内の金融機関が保有するギリシャ向け債権は少ないが、5日の国民投票の結果によってはユーロ離脱という「最悪のシナリオ」が現実味を帯びてくるからだ。(藤原章裕)
「この土壇場で合意できなかったなんて…」
前週末、欧州連合(EU)がギリシャへの金融支援の期限延長を拒んだことが伝わると、日銀幹部は絶句した。
週明け6月29日には、財務省や金融庁、日銀の幹部が早朝に集まって情報を共有。日銀内では市場が大荒れした場合、「声明」を出して“沈静化”に努めようという声まで上がったという。
ただ、日本の金融機関が持つギリシャ向けの債権は限られている。国際決済銀行(BIS)の調べでは、主要25カ国の大手銀行が保有するギリシャ国債の残高は昨年末時点で14億ドル(約1700億円)で、邦銀大手の保有残高は15億円程度にとどまる。このほか、極東証券が3月末で約9億円のサムライ債(円建て債券)を保有する程度だ。
むしろ政府・日銀が最も懸念するのは、ギリシャのユーロ離脱に伴う他国への波及だ。BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは「(ユーロ加盟国の離脱は)誰も体験したことがなく、大きなリスク要因と考えるべきだ」と警鐘を鳴らす。
仮に離脱すれば、統一通貨ユーロはさらに売られ、ユーロ建て債券を保有する国内投資家が評価損を迫られる恐れがある。米自治領プエルトリコの事実上のデフォルト宣言に続き、ギリシャのユーロ離脱が現実化すれば、「嫌なムード」(市場関係者)が広がり、市場マインドは冷えそうだ。
安倍晋三首相は1日、公明党の山口那津男代表と官邸で会談し、ギリシャの財政危機問題に関し「先進7カ国(G7)で、混乱を起こさないようしっかり対応しようと確認している」と強調した。