連続する地鳴りと揺れ… 地元民が察知する箱根山の未曾有の危機状態
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週刊実話 2015年6月4日 特大号
箱根山(神奈川県)の火山活動が、日を追うごとに不気味さを増している。5月15日には、地震が増え始めた4月末以降最高となる、471回の火山性地震が発生。国土地理院の発表によれば、同日までに大涌谷の直径200メートルの範囲内で最大12センチの隆起も判明したという。
その大涌谷では「噴気の勢いや音が強まっていると感じた。温度も上がっている可能性がある」(気象庁火山監視・情報センター)といい、噴火に向け最終局面に入っているかに見える。地元にある温泉地学研究所のデータを見ると、この1カ月に発生した地震総回数は3287回で、近年最も火山活動が活発化した2001年と比べても2倍だ。果たして今、実際はどのような状況にあるのか。
武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が説明する。
「学問的に見ると警戒すべき数値が出ていますが、どれぐらいまでいけば噴火するかは、わかっていない。結局は経験と勘が頼りなのです。気象庁は箱根湯本には地震計を設置しているのですが、大涌谷に設置しているのは温泉地学研究所だけ。地元の強羅では地鳴りがしていると聞きます。大涌谷の地震からも、研究所の職員たちはその深刻さがわかっているはずです」
16日、黒岩祐治・神奈川県知事は箱根山の現状を視察。これに同行した記者もこう語る。
「あの地鳴りを聞いていると本当に空恐ろしくなる。あんな中を業者に温泉施設のメンテナンスをやらせるなんて、やはりどうかしている」
しかし、温泉地学研究所は神奈川県が運営し、箱根が県の重要な観光資源であることから、黒岩知事も「規制されているのはごく一部にとどまる。観光客には冷静に判断して箱根を楽しんでもらいたい」と話している。
前出の島村氏が言う。
「確かに、'01年のように何も起こらないまま終息してしまう可能性もある。しかし、それを強調し過ぎることで、専門家や地元の人が感じていることと観光客の感覚に温度差ができ、万が一の際に対応が遅くなることが心配です」
正確な情報が求められる。