【モスクワ真野森作】ロシアのプーチン大統領は16日、毎年恒例のテレビを通じた国民との対話に臨んだ。ウクライナ危機で欧米諸国との関係が悪化したことに関連し、「ロシアは核大国であり、核の能力もある。我々は誰をも敵国だと思わないが、我々を敵国だと思うようなことは誰にも勧めない」と語った。
プーチン氏は、3月に放送された国営テレビの番組で、1年前のウクライナ南部クリミア半島を編入した際、欧米諸国との対決に備えて核兵器の使用を準備していたことを明らかにしていた。今回も「核」をちらつかせ、対露経済制裁を続ける欧米諸国をけん制する狙いがあるとみられる。
大統領は「昨年の(ロシアの)成長率は0.6%だった。大きくはないが、成長はあった。惨事にはなっていない」と強調した。
昨年の消費者物価上昇率が11.4%になったことについて、「(経済制裁が)人々の生活水準に影響を与えている」と認めた。その上で、「大事なのは我慢ではなく、(経済発展に)利用することだ」と訴えた。制裁解除の見通しについては「(欧米諸国による)対ロシアの政治的、戦略的な政策であり、解除を待つ意味はない」と語った。
プーチン氏は「ウクライナには我々の軍はいない」と述べ、ウクライナ東部への軍事介入を否定した。今年2月にモスクワで暗殺された野党指導者のネムツォフ氏が、ロシア軍の介入に関する証拠を持っていたとの情報があり、これについての質問に答えた。
国民対話は2001年に始まり、例年約4時間にわたり、プーチン氏がロシア全土の視聴者からの質問に答え、タフぶりをアピールする場になってきた。
今回は、会場で質問をぶつけたクドリン元財務相が「(石油価格が高かったころの)古い時代の成長モデルしか持っていないのではないか」と発言するなど、経済悪化に批判的な声が寄せられ、大統領が守勢に回る姿が目立った。
12年に3期目の大統領に就任したプーチン氏は任期6年の折り返し地点。ウクライナ危機以降、8割以上の高い支持率を維持していたが、3月の全ロシア世論調査センターの調査では65%に下がるなど、人気にかげりも見えている。
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