消えた年金と更なる負担
http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/archives/4834126.html
2015年03月02日 NEVADAブログ
朝日新聞は【報われぬ国】という特集を組み、消えた年金と更なる負担が発生していると報じていますが、ここで解説されています事態は今は<勝ち組>で安泰と思っている大企業サラリーマンもいずれ降りかかってくることになるかも知れない事態なのです。
【昨年末時点で厚生年金基金483基金のうち290基金が解散を予定し、その9割にあたる261基金は13年度末時点で企業年金の積み立て不足に陥っており、企業年金がなくなったり減額されたりするおそれがある。261基金の年金受給者と現役加入者は計約300万人に及ぶ。】
今は上記の通り、影響を受けるサラリーマンは300万人ですが、ある事態が起これば一気にこの規模は上場企業のサラリーマンにも影響が及ぶのです。
株・国債の暴落です。
今は【異常な低金利】が世界的に導入されており、銀行預金も国債利回りもほぼゼロに等しい金利しかつきませんが、これは銀行と国を救うために導入された【異常事態】であり、それが10年以上も継続され、この【異常事態】が【正常】即ち、当たり前になってしまっているのです。
ところが、アメリカはこの【異常事態】を【正常】に戻そうとして動き始めており、この移行が起これば、国債は売られ、金利は上昇に転じます。
ただ、問題は国債が売られれば、今まで所有している所有者は損をする訳であり、それが分かっていて誰が所有するでしょうか?
そして国債利回りが上昇するとわかって誰が新しい国債を買うでしょうか?
結果、一旦市場が【正常】への移行を判断すれば、市場には怒涛の国債売りが入り、国債価格が一気に崩れる事態に陥りかねないのです。
その時、金融市場は株の暴落、不動産の暴落に直面します。
企業年金は国債・株・不動産投信等への投資を増やしていますから、これら金融商品が崩れれば一気に
赤字に陥り、下手しますと債務超過に陥ることになりかねないのです。
以下はあらゆるサラリーマンが直面する事態とも言えるのです。
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昨年12月に届いた書類には、300万円を超える負担額が記されていた。長年加入していた栃木県石油業厚生年金基金からだった。
「何十年も掛けてきた企業年金がなくなったうえ、追加負担まであるなんて。詐欺みたいなもんだ」。栃木県で給油所を営んでいた男性(64)は憤る。
この基金は栃木県内の給油所などが集まり、社員らの厚生年金の一部(代行部分)と企業年金(上乗せ部分)を出すためにつくった。だが、積み立て不足に陥り、今年1月、ついに解散に追いこまれた。
厚生年金の代行部分は積み立て不足を加入企業が穴埋めしなければならず、男性のもとにはその負担額が通知されていた。最長30年かけて、月に1万円ほどずつ払っていくという。
男性は、多いときで数人の社員を雇って給油所を経営してきたが、エコカーの普及などでガソリンの販売が低迷した。貯蔵タンクが古くなって改修が必要になったのを機に、数年前に給油所をたたんだ。
60歳からは厚生年金と企業年金を合わせて月に約8万円(基礎年金を除く)を受けとってきた。だが、基金が解散したため、厚生年金は支給されるものの企業年金分の約1万円がなくなる。男性は「病気などに備え、年金をあてにしてきたのに」と肩を落とす。
中小企業が集まってつくる厚生年金基金は、年金保険料を納める若い社員が減る一方、年金を受けとる退職者は増えてどこも厳しい。さらにこの男性が加入していた基金は、2012年2月に発覚したAIJ投資顧問の詐欺事件で、運用のために大手信託銀行を通じてAIJに預けていた約40億円を失い、積み立て不足が拡大してしまった。
企業年金は退職時にまとめて一時金として受けとることもできるため、退職金の一部と位置づける中小企業もある。昨年2月に解散した京都府建設業厚生年金基金に加入していた資材会社でも、退職者の多くが一時金で受けとっていた。
勤続年数などに応じて100万〜200万円ほどだったが、解散後はもらえなくなった。この会社の担当者は「退職金代わりだったので痛い」ともらす。
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年金が消えて更に負担が出るという事態を誰が想定していたでしょうか?
これが<金融市場>の恐ろしさです。
儲ける時も大きいのでしょうが、損をした時も大きいのです。