北京市内で建設中のマンション(共同)
【斬り捨て御免 日中韓経済】完全に冷めた外資系企業の中国熱 巨大都市でも住宅価格下落が止まらず
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141203/dms1412031140006-n1.htm
2014.12.03 夕刊フジ
★(2)
中国の主要70都市の住宅価格下落が止まらない。2014年10月の中国主要70都市の新築住宅価格は、前年比2・6%下落し、9月の1・3%下落に続き、2カ月連続の下落となった。
中国主要都市の住宅価格の下落は、今年の4月に始まった。14年4月の中国新築住宅価格指数は、主要70都市の内、6都市が対前月比で下落であった。5月は35都市、6月は55都市、7月は64都市、8月が68都市と、次第に住宅価格が下落する都市が増えていき、10月にはついに69都市に達した。
住宅価格の下落は、明らかに住宅の需要が大きいはずの北京、上海といった巨大都市でも発生している。北京の10月の新規住宅価格は対前月比で1・1%減、対前年比で1・3%減。上海は対前月比で0・6%減、対前年比で2%減。
ちなみに、北京の9月の住宅価格は、対前年比で見ると0・4%の上昇だった。それが、10月には対前年比1・3%減となってしまったわけで、中国の不動産バブル崩壊は、またもや「新たなステージ」に足を踏み入れたことが分かる。
もはや、中国は首都・北京であっても、住宅価格が対前月比、対前年比共に落ち込む段階に至ったのである。
不動産バブルが崩壊路線を突き進むなか、外資系企業の中国熱も完全に冷めてしまった。中国商務省が11月18日、日本の対中直接投資(14年1月〜10月)の額が、対前年同期比で、実に42・9%も減少したことを明らかにした。対中投資を減らしているのは、もちろん日本企業には限らない。米国の対中直接投資は同23・8%減、欧州は16・2%減。
現在の中国共産党政府は、人民の賃金を引き上げる政策を採っている。ひどいときには、1年間に1割から2割もの賃上げを迫られるケースも少なくないという。結果、外資企業にとって「割に合わない」国になりつつあるのだ。
不動産投資や外国投資が激減する中、中国では倒産した企業の経営者が「失踪」するケースが増えてきている。さすがは中国人というべきか、彼らの失踪手法は「突然、何もかも投げ捨てて、逃亡する」スタイルだ。結果的に、倒産企業から売掛金を回収できなくなった企業が、やはり倒産し、経営者が疾走するという「ドミノ失踪」「ドミノ倒産」が始まっているのである。
15年は、中国経済が本格的に低成長となり、追い詰められた共産党政府が「対外圧力」を高めた年として記録されるだろう。もちろん、わが国にとっては、全く人ごとではないわけだが。
■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は「経世論研究所」所長。著書に『いよいよ、韓国経済が崩壊するこれだけの理由』(ワック)、『愚韓新論』(飛鳥新社)、『2015年 暴走する世界経済と日本の命運』(徳間書店)など多数。