安倍首相(左)と習主席は、日中首脳会談を前に握手を交わした=10日、北京の人民大会堂(共同)
【中国大暴走】中国が抱く底なしの“欲望” 経済領土拡大、日本孤立へ執念
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20141116/frn1411160830003-n1.htm
2014.11.16 夕刊フジ
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先日閉幕したAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で、中国にとって最大の目玉が、3年ぶりの日中首脳会談でなかったことは誰の目にも明らかだが、実は米中首脳会談でもなかった。
1つは、これまで日米両国が強い影響力を持ち、日本が総裁席を確保してきた「アジア開発銀行(ADB)」に対抗する、中国主導の「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の設立を世界に喧伝すること。
もう1つは、米国主導の「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」に対抗し、中国が後押しする「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」の議論を加速させることだ。工程表「北京ロードマップ」などを盛り込んだ首脳宣言を採択した。
21カ国・地域の企業経営者や政府首脳らが参加した9日のAPEC・CEOサミットで、習近平国家主席は「インフラ整備を通じて、各国間の経済的距離を縮め、アジア太平洋地域がつながり、世界と道が通じることになる」と強調した。さらにFTAAP構想で経済統合を推し進めることを“アジア太平洋の夢”と表現した。
習主席は昨年3月、「中華民族の偉大なる復興が“中国の夢”だ」と熱弁したが、今度は「アジア・太平洋の宗主国として邁進(まいしん)していく」と、高らかに宣言した格好だ。
東南アジア諸国連合(ASEAN)との自由貿易協定(FTA)を締結している中国は今回、韓国との交渉合意に達し、オーストラリアとも早々に妥結する見通しだ。その先に描くのが、陸と海のシルクロードを結ぶ「新シルクロード構想」で、中央アジアを含み中国の“経済領土”を拡大させていく算段だ。
それにしても、習主席率いる中国共産党政権の執念、戦意にはすさまじいものがある。沖縄県・尖閣諸島の強奪は言わずもがな、日本の弱体化、さらにはアジア太平洋諸国においての“孤島化”までもくろんでいる。
そのうえで、習主席は「アジア太平洋地域では自由貿易に向けた取り組みが次々と現れ、困惑を招いている」と、暗にTPPを非難し、被害者ぶることも忘れない。
米中首脳の夕食会で、オバマ大統領は「米中両国が効果的に協力できれば、世界全体の利益になる」「米中関係を新たなレベルに高めたい」などと強調し、中国の平和的な台頭を歓迎する立場を改めて表明した。だが、中国にとっては米中2大国時代など通過点でしかないはずだ。
はてさて、中国の大暴走を尻目に、日本は今後、どういった道を歩むべきなのか? =おわり
■河添恵子(かわそえ・けいこ) ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。主な著書は「中国崩壊カウントダウン」(明成社)、「豹変した中国人がアメリカをボロボロにした」「だから中国は日本の農地を買いにやって来る」(産経新聞出版)など。