ヤマダ電機、アフターサービス8年連続最下位 発表元や競合他社に怒りの訴訟連発
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141113-00010006-bjournal-bus_all
Business Journal 11月13日(木)6時0分配信
「日経ビジネス」(日経BP社/11月3日号)は『クレーム上等! またアマゾンで買ってしまうワケ 2014年版アフターサービスランキング』という特集を組んでいる。
「クレームや不満をここぞとばかりにカイゼンにつなげる。異様なまでの執念で、顧客満足のみを追求するアマゾンジャパン。テニスの錦織圭選手の活躍で急増した加入申し込みの裏にあった、WOWOWのしたたかな戦略。先進企業のサービス戦略は、従来は知ることもできなかった『声なきクレーム』すら活用する段階に入った。顧客満足をめぐる競争は今、異次元のステージに差し掛かっている」という内容だ。
今年のアフターサービスランキングで注目しているのは、「ネット通販部門」で満足度指数は第7位ながらも、再利用意向率では92.2%をたたき出した「Amazon.co.jp」(以下、アマゾン)だ。これは、「家電や自動車、銀行、住宅など全部門を通じた最高スコアだ」。
アマゾンは「顧客第一主義」を掲げ、どの社員も「地球上で最もお客様を大切にする企業です」と口を揃える。クレームや意見が寄せられれば、待っていましたとばかりに解消し、さらに将来のクレームの芽さえも摘み取ってしまうのだ。
「10月には日本郵便とポスト製造のナスタとともに新型ポストを発表。不在時でもアマゾンの配送用ダンボール箱がポストに入れられるので、再配達を依頼する労力が省ける」(同特集より)
「昨年12月、米国で『予測出荷』の特許を取得した。消費者の購入行動を予測して、あらかじめ大まかな地域宛てに発送。実際に注文ボタンがクリックされたら即座に具体的な宛名を付与し、品物を届ける。注文前に発送してしまうという、究極の配送時間短縮策だ」(同)
また、プロテニスプレイヤーの錦織圭がアジア勢初の準優勝という快挙を成し遂げた今年8〜9月の全米オープンテニス男子シングルス。日本でその放映権を持っていたのはWOWOWだった。同社への問い合わせ件数は「準決勝の前で例年の10倍、決勝前には20倍以上に達した」。WOWOWは殺到する加入申し込みに対し、個人情報の入力を後回しにして新規加入者のテレビ画面に放送が映るようにする「カギ開け」を最優先にした。WOWOWには「申し込みを済ませた人が見られない」という事態だけは避けるという優先事項についての明確な共通認識があったのだ。
こうして決勝の放送開始の数分前にはすべてのカギ開けを完了し、「加入したが見られなかった」という人が出る最悪の事態を免れることができたという。
●業界トップのヤマダ電機、顧客の評価は最低?
このアフターサービスランキングは毎年掲載されており、さまざまな企業のアフターサービスへの取り組みが興味深い。
同ランキングの中で特に注目したいのは、「家電量販店」部門で10社中第10位の最下位になっているヤマダ電機だ。同社は2000年代に急成長し、14年3月期決算では売上高1兆8900億円を超える家電量販店業界最大手となっている。それにもかかわらず、同調査でランキング項目に「家電量販店」が設けられた07年にワースト1(18社中第18位)を記録して以来、最下位の地位をキープしているのだ。
しかも、このアフターサービスランキングをめぐって、ヤマダ電機と発行元の日経BP社の間には因縁がある。
07年版では、ヤマダ電機は「『電話に出ない』『店員が少ない』『長く待たされる』など、現場の人員不足による不満が多い」と散々な評価が掲載された。さらに翌年の調査(08年7月28日号)で再び最下位になると、日経BP社に対し5500万円の損害賠償を求める裁判を起こしたのだ。
最終的にこの訴訟は10年12月、「ランキングの根拠となった調査には、恣意的な結果が生じるような事情はなかった」とヤマダ電機側の請求が棄却されている。
怒りが収まらないのかヤマダ電機は、「ケーズデンキが1位でヤマダ電機が最下位」とする同誌12年のアンケート結果をコピーして店頭で配布していたケーズホールディングスを営業妨害として提訴している。
こうした経緯もあったためか、14年版のランキングでは「家電量販店」部門に関してはランキングが掲載されるだけで、何もコメントされていない。
なお、「日経ビジネス」におけるランキングでは最下位だが、ヤマダ電機は「お客様満足度第1位」を標ぼうしている。これは、とある調査会社の「顧客満足度アワード 家電量販店部門」で1位を獲得したことが理由なのだ。その調査では、13年度、14年度と2年連続でヤマダ電機が1位となっているのだが、同調査における「総合」「物販」「サービス」などの各部門に、ヤマダ電機はまったく出てこない。ヤマダ電機のどの部分が評価されてお客様満足につながっているのか、謎の多い調査だ。
余談だが、今年8月にヤマダ電機はブラック企業実行委員会が主催する「ブラック企業大賞2014」も受賞している。ヤマダ電機にとっては、思わぬ逆風が吹き始めていて、「クレーム上等」とは言っていられないのかもしれない。
松井克明/CFP