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半数がゼロ 老後資金「50歳から1000万円貯金」具体策
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/154852
2014年11月12日 日刊ゲンダイ
老後資金は3000万円必要といわれる。ところが、フィデリティ退職・投資教育研究所「勤労者3万人アンケート」によると、そのうち45%、実に2人に1人は老後資金がゼロという。信頼性はともかく、年金があるとはいえ老後資金ゼロは厳しいだろう。
ファイナンシャルプランナー・紀平正幸氏がこう言う。
「老後資金3000万円は、年金受給開始年齢の65歳までに貯める金額です。年金は含めません。サラリーマンの方は、平均2000万円の退職金があるので、貯蓄や資産運用などで用意するのは1000万円でいい。50代から準備しておけば、そんなに難しい金額ではありません」
1000万円の老後資金を蓄える上で大きな壁になるのが、住宅ローン返済と子供の教育資金。50代でどちらかが終わっていれば、その分の一部を老後の蓄えに回せばいい。大変なのは、2つの壁がそびえているケースだろう。50歳から無理なく1000万円を工面するにはどうすればいいか。
「仮に50歳から貯蓄をスタートするとすれば、15年で1000万円を貯めるには、1年で70万円、1カ月6万円ほどです。一般的に老後資金の貯蓄に回せる資金は、毎月の手取り額の10〜15%。これに当てはめると、毎月の手取りが40万円以上の人は、貯蓄でゴールできる計算です」
貯蓄は、給与口座から自動的に引き落とされる財形や積立預金にすることだ。
■教育費は奨学金でカバー
「子供がいる家庭で、一番貯蓄しづらいのは、子供が大学生のとき。それが50代前半なら、つらい教育費の工面に耐えてから老後資金を工面すればいいが、50代後半から60代にかかる時期だと、そんな余裕がありません。そのときは、教育費を奨学金でカバーして、その分を老後資金に回すのです」
日本学生支援機構の大学生向け奨学金(貸与)なら、貸与総額は4年で200万円を超える。これだけ貯蓄できれば大きい。
「利回りを狙って運用するなら最大500万円、安全運転でいくなら、300万〜400万円がベターです。最初の3〜5年で貯蓄した分を運用資金にするなら、残りの5〜7年分には手をつけずに財形などで寝かせておくのです。運用方法は“株だけ”“債券だけ”というのではなく、国内と海外で株と債券にそれぞれ分散する4分散投資、あるいはさらに国内と海外のリートを加えた6分散投資が無難です」
年金資産の運用を担うGPIFは4分散投資で昨年、7%の利回りを確保した。シロウトが同じ成績を残すのは難しいから、せいぜい3%を狙えば十分だという。
こうしてみると、50代の早いうちにスタートして、教育費を奨学金に切り替える勇気があれば、65歳までに1000万円の確保はそんなに苦じゃないだろう。結果を急ぐあまり、ハイリスク・ハイリターンのFXのような金融商品に飛びつかないことだ。