【断末魔の中韓経済】“内憂外患”韓国の脆弱な経済構造 極端なウォン高ウォン安、どちらも危機招く
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140630/frn1406300830001-n1.htm
2014.06.30 夕刊フジ
★(5)
内需壊滅、外需も苦境にある韓国経済を朴大統領はどう立て直すのか(AP)
過去1年の韓国ウォン 対ドル為替レート
前々回、韓国が「先進国になり損ねた国」であると書いた。その1つの証左が、韓国が通貨ウォンの為替レートに極端に影響を受ける経済構造になってしまっていることである。
前回の通貨危機、すなわちリーマン・ショックによる第2次通貨危機勃発前、一時は1ドル900ウォンまでウォン高が進行した。一瞬、1ドル900ウォンを切った直後、ウォンの下落が始まり、最終的には1ドル1500ウォン水準にまで暴落したのである(当時の李明博=イ・ミョンバク=政権は日本、および米国と通貨スワップ協定を締結することで、何とか極度のウォン安を食い止めた)。
現在、日米の量的緩和の影響もあり、ウォンの為替レートが再び1ドル900ウォン台に上昇しようとしている。前回のパターンをそのまま踏襲するとなると、1ドル900ウォン台でサムスン電子や現代自動車など大手輸出企業の業績が急激に悪化し、1ドル900ウォンを切った瞬間に、為替レートが反転を始めることになる。
韓国経済が脆弱なのは、極端なウォン高も、極端なウォン安も、ともに経済危機をもたらしてしまうという点だ。韓国の経済が「好調」を維持できる為替レートは、1ドル1050ウォンから1200ウォンという、極めて狭いレンジなのである。
韓国は数字上の貿易黒字は、確かに拡大している。とはいえ、実は韓国の貿易黒字拡大は、輸出増ではなく「内需不振による輸入減少」の影響が大きいのだ。いわゆる、不況型の貿易黒字拡大だ。
韓国は国内の家計の負債膨張が限界に達し、現在は民間の消費が伸び悩んでいる。しかも、セウォル号沈没事故による「自粛モード」が、韓国の内需縮小の背中を押している。韓国最大のデパートであるロッテ百貨店は、それまでは対前年比プラスで推移していた売上高が、セウォル号の事故後にマイナス2〜4%に落ち込んでしまった。
内需が不振に陥った状況で、ウォン高により外需にも黄信号が灯った。すでに、韓国の5月の自動車輸出は前年同期比5・1%減となっている。肝心のアメリカ市場でも、日産自動車が18%増、トヨタ自動車が17%増と好調を維持しているのに対し、韓国の代表的自動車メーカーである現代自動車は3%増に過ぎなかった。
まさに内憂外患という韓国経済であるが、最大の問題はIMF(国際通貨基金)管理下や李明博政権下で大々的な構造改革が進んだ結果、危機に対し脆弱な構造モデルになってしまっている点だ。
韓国経済は、すでにポイントオブノーリターンを超えてしまい、国民経済中心の経済構造に回帰することは不可能なのである。 =おわり
■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は「経世論研究所」所長。著書に「いよいよ、韓国経済が崩壊するこれだけの理由」(ワック)、「愚韓新論」(飛鳥新社)、「G0・5の世界」(日本文芸社)など多数。