「経済指標」をキチンと読めば景気はこんなに悪化している
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2014年6月3日 日刊ゲンダイ
数字のマジック/(C)日刊ゲンダイ
「雇用7年9カ月ぶり高水準」「求人 バブル後最高」「ボーナス8.8%増」――。
経済指標の公表ラッシュを受け、先週末の大新聞は景気回復を印象づける見出しが躍ったが本当にそうなのか。
労働力調査(総務省)によると、4月の完全失業率は3.6%と3カ月連続で横ばい。07年7月以来の低水準だという。だが調査結果をきちんと見ると、正社員は、前年同月比で40万人も減少している。しかも男性の失業率は3.8%で前月より0.1ポイント悪化した。
「政府や大メディアは、景気悪化を連想させる都合の悪い数字には目をつぶっている印象を受けます」(経済評論家の杉村富生氏)
■生活費高騰
政府が雇用改善の根拠にする4月有効求人倍率も同じだ。厚労省の資料には、「正社員有効求人倍率は0.61倍となり、前年同月を0.12ポイント上回りました」とある。ところが、前月(3月)と比較すると0.04ポイントの悪化だ。
毎月公表される家計調査(総務省)のサラリーマン世帯(勤労者世帯)の実収入も、4月は前年同月比で実質7.1%減だ。
「4月消費者物価指数(CPI)は3.2%上昇でした。一方、実収入は7%以上も減っている。生活実感としては実質10%の家計負担増です」(ロータス投資研究所代表の中西文行氏)
4月消費者物価指数を項目別で見るとウンザリする。生鮮食品は前年同月比10.0%増、電気代10.1%増、油脂・調味料(マーガリン、醤油など)5.5%増、調理食品(弁当、やきとりなど)4.9%増、身の回り品(かばん、腕時計など)9.1%増…。どれも消費増税3%分を超える値上がりだ。
収入は増えず、生活費は高騰するばかり。庶民生活は間違いなく悪化している。