【日本ダービー】桜花賞上位馬のスリリングな攻防となったオークスの1週間後はもちろん、競馬の祭典・第81回日本ダービー(6月1日=東京芝2400メートル)。1年に及ぶ激戦をくぐり抜けてきた精鋭18頭が世代最強をかけて雌雄を決する。皐月賞戦線同様に混戦模様だが、その中で注目は何といっても“紅一点”のレッドリヴェール。2007年のウオッカ以来、7年ぶりとなる牝馬のダービー参戦の意味は? そして勝算は? 同馬に密着してきた“番記者”が詳細なリポートを連日お届けする。
レッドリヴェールは4戦目の桜花賞で初めて敗れた。クビ差2着。関係者やファンの一部から「ハープスターを避けたのでは?」という臆測も飛び交っているのは事実。しかし、須貝尚介調教師(47)の性格を知る記者は「ハープスターを同じ舞台で負かしたいという気持ちは誰よりも強かったはず」と思っている。
桜花賞の翌週、須貝調教師に「オマエは(レッドリヴェールが)どういうレースをすると思っていた?」と問われた。「もう少し前の位置で競馬をして内から抜けてくるものだと思いました」と即答すると、師は小さくうなずいた。想定とは違うパターンの競馬だった。それでもハープスターとの差はわずか「クビ」。愛馬の強さを再認識したからこそ、リターンマッチを熱望していたのは想像に難くない。
ただ、競馬で一生懸命に走り過ぎるがゆえに、レース後の回復に時間がかかってしまう。まして420キロくらいの小柄な馬だ。オークスより1週間、時間があるダービー参戦の含みは、かなり前からあったのも事実。
ハープスターはオークスでヌーヴォレコルトにクビ差で敗れたとはいえ、底力は見せつけた。皐月賞馬イスラボニータに3馬身差で勝利(新潟2歳S)。レッドリヴェールはその“3歳最強馬”とGIで2戦し、ともに小差で1勝1敗。現在のオークス優勝賞金は9700万円で、ハープスター不在のダービーが同2億円。日程を含めて、世代“ナンバー2”のダービー参戦は極めて妥当な選択でもある。
牡=ダービー、牝=オークス。そんな因習を打破したウオッカの角居勝彦調教師(50)にダービーを勝つために必要なものは?と尋ねると、即座に「挑戦する気持ち」という答えが返ってきた。
「馬主、厩舎、スタッフ…とにかく気持ちがひとつにならないとダメ。ウオッカの時はオーナーブリーダーで気持ちをひとつにしてダービーへ向かうことができた。でもこれは簡単にできることじゃないんです」
レッドリヴェール陣営は馬主、厩舎サイドが桜花賞前からダービー参戦の構想をイメージしてきただけに、準備という点では問題はない。
「やってみないと分からないけど、今年の3歳牝馬のレベルは総じて高い。ウオッカの時は東京への輸送のことで頭がいっぱいだった。パドックで堂々と周回しているのを見てホッとしたのを覚えている。ダービーの雰囲気にのまれていなかったね」と同師は続けた。
繊細な牝馬がダービーの異様なまでの重圧に耐えられるかが大きな課題、と“世界のスミイ”は強調した。レッドリヴェールはどうなのか?
「初めての長距離輸送になるけど、かなりリラックスできているから心配はない。初の左回り対策もOK。左回りになる日曜、火曜のコース(トラック)調教では手前もしっかり替えてくれているからね。牡馬相手の札幌2歳Sは極悪の馬場だったが、この馬だけが差してきた。スタミナ、勝負根性は相当なもの。牡馬相手でも臆するところはないし、今のところ何の不安もない」
須貝調教師の状況把握、分析は極めて明快だ。
昨年の凱旋門賞のトレヴの優勝など、近年は牝馬の早い時期からの活躍が目立っている。今年の日本では凱旋門賞に登録するような怪物級の牝馬が2頭(レッドリヴェールとハープスター)も出てしまっただけかもしれない。1937年ヒサトモ、43年クリフジ、2007年ウオッカ…牝馬による史上4頭目のダービー制覇が現実味を帯びてきた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140527-00000042-tospoweb-horse
http://www.asyura2.com/09/sports01/msg/499.html