「健康と長寿」の根源を語る08 ストレスのかわし方(1)精神論
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平成26年4月30日 武田邦彦(中部大学)
ストレスが病気のもとになることは十分に知られています。といっても、私の若いころはストレスと言う言葉がなく、最初に聞いた時には何かさっぱりわからなかったことを思い出します。
最近の研究の主流は、ストレスを避けるのも大切だが、それは仕方がないものとして受け止め、ストレスに耐性をつけようという方向に進んでいます。
先回、登場していただいた先生の話を再びしたいと思います。私の考えと少し違いますが、だからこそ、引用しながら整理すると立体的に考えることができると思います。
ここでは、まず第一に「運動とリラックス」を進めておられますが、これは「私たちは動物だ」ということです。動物と言うのは読んで字のごとく「動くもの」ですから、動いて始めて私たちは動物になるというわけです。
次に「体を冷やさない」とあります。この先生は漢方もご専門なので、人間の体は冷えてはいけないということを強調されます。現代流に言えば、血流を良くして、免疫力を上げるということで、湿布より温布、血圧に注意して熱いお風呂(湯治)などがこれに当たります。
「早寝、早起き、十分な睡眠」も当然でもありますが、体の中の老廃物を取り、頭の再整理を行うことで、十分な睡眠と言うのは若い人は7時間、年配は6時間がもっとも健康と言われています。でも、このシリーズの終わりに整理したいと思っていますが、老化を防ぐためにはできるだけ若い人の生活を取り入れなければならないので、そういう意味では年配の人も日中、活発に動いて、睡眠も7時間取るというのが正しいでしょう。
「朝起きたら太陽に顔を向ける」というのは、体内時計のリセットで、これも最近では定説になってきました。「町は西に発展する」と言いますが、毎朝、東に出勤する・・・朝、太陽に向かって歩く人が残るからと言われます。
「ビタミンB1とタンパク質とミネラル」とあります。これはこのお医者さんのご推薦ですが、肉にはタンパクとビタミンB1が多く、多種類の食材にいろいろなミネラル(金属)が入っています。
次に6番目からですが、5番目までと違い、やや社会性のあるものが登場します。まずは「人と美味しい食事をする」ということで、人間が集団性であることからきています。「他人と美味しい食事」といいますと、まずは「誰かと付き合うこと」、そして「その人が自分に好意を持っている」ことが前提ですから、人のために何かをするということでもあります。
「歌う、芸術に身を浸す」というのは人間が「知情体」で成り立っていて、スポーツ(体)、芸術(情)は知恵(知)とともに人間として大切だから、ストレス解消になるということです。この芸術や歌の中には、競馬やパチンコなども入ります。
「鏡に映った自分に微笑みかける」というのはなかなか深淵ですが、まず「自分に自信を持つ」こと、それから「ニコヤカでいること」、そして「ああ、これが自分なのだな」と思うことがストレスの解消になるという意味です。つまり「自分は自分なのだ。これでよい」とほほ笑むわけです。
「カイロス時空に遊ぶ」というのはさすがこのお医者さんが教養が高いので、このような表現をしていますが、私の言う「今日も朝」で、人間は長い時間を考えるより、やれる時にやり、その日、その日が大切と言う意味です。そうしたら本当にストレスは小さくなります。
「身近な誰かに優しくしてみる」と書かれていますが、良い言葉ですね。これも私流に言えばデディケーションで、人間は他人に親切にすることに世って、自分のストレスが解消する、つまりは人間は集団性の動物で、自分が良くなるより他人が良くなる方が、自分の健康になるという一見矛盾した関係を示しています。