「北海道や九州の人が米国の西海岸に逃げたら余計被ばくをしてしまう。 そういう汚染の仕方なのです」小出裕章氏4/19那須塩原(内容書き出し)
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2014-05-08(09:08) みんな楽しくHappy♡がいい♪
2014年4月19日 栃木県那須塩原市
−放射能と向き合い、子どもたちの未来を創る−
「未来のために今できること」
セシウム137汚染の世界への拡がり
文字起こし部分のYoutube→http://youtu.be/nQSTlM_9RiA?t=28m43s
大気中に放出されて放射性物質はどうなると思いますか?
皆さん分かって頂けると思うけれども、外に出てくれば風に乗って流れる。
そしてこの日本という国は北半球温帯という地域にあって、偏西風という風が常に吹いています。
西風が上空に吹いています。
そうすると、福島第一原子力発電所から放出された放射性物質は、
「偏西風に乗って東へ流れた」というのが本当の事なんです。
どうなったか?というとこうなるんです。
これが日本です。
福島原子力発電所で真っ赤になった部分があって、
その外側に黄色いところ、それから青いところがありますが、
青いところの方は汚染が少ないところ。
黄色になって赤になってくるとだんだん汚染が高くなってくるっていうものですけれども、
もちろん日本の東北地方関東地方は強い汚染を受けました。
しかし、ここから放出された放射能は偏西風に乗ってずーーっと太平洋を汚染して行って、
米国カナダの西海岸に落ちてしまったのです。
事故が起きた直後に私は沢山の方から相談を受けました。
「もう日本は怖いから海外に逃げようと思う」という相談でした。
しかし、日本でも北海道とか九州に住んでいた人達が、仮に米国の西海岸に逃げてしまえば、
余計被ばくをしてしまう。
そういう汚染の仕方なのです。
原子力発電所というものがたった一回でも事故を起こせば、
そこだけにとどまるのではなくて、全地球に汚染が及んでしまうと、
そういう汚染の仕方をするという事が分かって頂けると思います。
それでも原子力発電所の周辺はもちろん濃密な汚染を受けました。
日本政府が公表した汚染地図がこれです。
福島第一原子力発電所はここにあります。
周辺に点線で二つの円が書いてありますが、内側が20kmで外側が30km。
皆さんは十分御承知だと思いますが、
20kmの範囲は政府が「逃げなさい」と指示を出して、バスを差し向けて、
住民をバスに乗せて避難所に送ったのが20kmです。
30kmの範囲の住民に対しては、「家の中に閉じこもっていなさい」と。
「逃げたい人は自力で逃げはさいよ」というふうな指示を出したのが30kmです。
政府が出したのはそれだけです。
しかし、今聞いていただいたように放射能が外に飛び出してきてしまえば、
その放射能が同心円的に周辺に汚染を広げる道理はないんです。
偏って流れる訳だけです。
当初北風が吹いていたので放射能の雲は南に流れて行って、
福島県の浜通り一帯を汚染しました。
県境を越えて茨城県の北部を汚染して、一時期放射能の雲が太平洋に抜け、
そしてまた、茨城県の南部へ戻ってきまして、茨城県の南部霞ヶ浦の一帯を汚染して、
そして千葉県の北部を汚染して、東京の下町の一部を汚染しています。
ある時には南東の風が吹いていて、放射能の雲は北西に流れていきました。
赤、黄、緑と色が塗ってあるところを分かって頂けると思いますが、この部分が猛烈に汚染を受けたところです。
先程1000平方km、琵琶湖の1.5倍と聞いていただきましたが、
ここが現在無人地帯になっているところです。
なぜこんなことになったか?と言えば、放射能の雲が流れてきた時にここで雪と雨が降ったんです。
先程西川さんの報告にもありましたけれども、
那須に来た時にも那須で雨が降った、だからこの辺が汚れたという解説でしたが、これもそうです。
流れてきた時に雨が降って猛烈な汚染を受けてしまいました。
猛烈な汚染は20kmでもとどまらない。30kmでもとどまらない。
40km、50km離れた彼方でも猛烈な汚染になってしまいました。
ここは福島県の飯舘村という村がありました。
みなさんよくご存じだと思います。
「原子力発電所からは何の恩恵も受けない、自分たちの村は自分たちでつくる」と言って、
長い間苦闘を続けてきて、「日本一美しい山村」と自他共に認める美しい村をつくりました。
しかしそこに放射能が降ってきて、全村離村になってしまいました。
猛烈な汚染をしたところの外側にももちろん汚染地帯はずーっと広がっています。
青い色を塗ったところ、くすんだ緑のところなどが、猛烈なかなりな汚染地帯ですけれど、
ずーっと広がっています。
数字を少し聞いていただこうと思います。
福島県の中通りを縦断して青い帯がありますし、それは栃木県の北部に繋がっている。
そして、群馬県にも繋がっていますが、
この青い帯は内側に薄い青があります。
外側が濃い青になっています。
薄い色の青のところは1平方メートル当たり、よろしいでしょうか、1m四方ですね。
1m四方にセシウムが10万ベクレルから30万ベクレル降り積もったと日本政府が言っている地域がこの薄い青。
濃い青色の方は、6万ベクレルから10万ベクレル、セシウムが降り積もっていると日本政府が言っています。
このくすんだ緑のところは1平方メートル当たり3万ベクレルから6万ベクレルセシウムが降ったよというところです。
この数字を言ってピンとこられた方もいらっしゃると思いますが、
「まだ数字の意味が分からない」という方もいらっしゃると思いますので、
比較の例を聞いていただきます。
私は京都大学原子炉実験所というところで、毎日原子炉や放射能を相手に仕事をしています。
ただし放射能を取り扱おうとするのは特殊な場所でしか取り扱う事は出来ません。
そこは放射線管理区域と呼ぶ場所です。
皆さんは入ることすら禁じられている。
「特別に手続きをしないと普通のみなさんは足を踏み入れる事が出来ない」という場所が放射線管理区域です。
私は仕事がらその場所に入ります。
しかし私が放射線管理区域に足を踏み入れた途端に、
私は水を飲むことを禁じられます。
食べ物を食べることも禁じられます。
そこで寝る事なんてもってのほかです。
「放射能を扱うという特別な仕事のためだけに入っていい」と。
「終わったらさっさと出てこいよ」というのが放射線管理区域です。
しかし、放射線管理区域からは簡単には外に出られないんです。
放射線管理区域の出口には必ず扉が閉まっている。
その扉を開けるためには一つの手続きをしなくてはいけません。
私が放射線管理区域の中で仕事をした。
という事は、私の身体が汚れているかもしれない、放射能で。
私の着ていた実験着が汚れているかもしれない。
放射能を取り扱った手が汚れているかもしれない。
そんな汚れたまま管理区域の外側に出てしまえば、普通のみなさんを被ばくさせてしまうから、
汚れがないかどうかの検査をしない限りはドアが開かないということになっています。
では、ドアが開く基準はいくつか?というと、
1平方メートル当たり4万ベクレルです。
もし私の実験着が1平方メートル当たり4万ベクレルを超えて汚れていれば、
私は実験着をそこで脱いで放射能のゴミとして捨てるしかないんです。
私の手が1平方メートル当たり4万ベクレルを超えて汚れていれば、ドアが開かないから私は出られない。
管理区域の中の流しで必死に洗い、水で洗って取れなければお湯で洗う。
お湯で洗って取れなければ石鹸を付けて洗う。
石鹸を付けても落ちないのなら、
薬品で手の皮が少しぐらい溶けてもいいから落とさないとドアが開かない。
つまり、放射線管理区域の外側には、1平方メートル当たり4万ベクレルを超える様な汚染物は、
どんな物でも持ち出してはいけないし、存在していてはいけないというのがこれまでの日本の法律だったんです。
私はその法律を何とか守ろうとしてずーーっとやってきました。
しかし今や、見て下さい。
このくすんだ緑のところですら、3万ベクレルから6万ベクレル汚れている。
青いところは6万ベクレルを超えているんです。
それも、私の手が汚れているとか、実験着が汚れているとかいうんじゃない。
大地全部が汚れている。
那須塩原はここです。
皆さんにこんな地図を見せるのは大変心苦しいけれども、
「那須塩原は放射線管理区域にしなければいけない」というほどの汚染を受けたのです。
本当の事を言えば、福島県の東半分を中心にして、
宮城県と茨城県の南部・北部・さらに栃木県の北半分、群馬県の北半分、
千葉県の北部、岩手県の一部、新潟県の一部、埼玉県や東京都の一部というところを
放射線の管理区域にしなければならないというほどの汚染が生じたんです。
39:27 http://youtu.be/nQSTlM_9RiA?t=39m27s
一体どこの県がどれだけ汚染したか?という事を
私の知人の沢野さんという方が事細かに計算して教えてくれました。
それがここに書いた数字です。(右側)
福島県を筆頭として、その2番目には栃木県ですが、沢山の放射性物質が降り積もりました。
先程日本政府が広島原爆186発分放出したと言ったものが、この大きな4角で書いたものがその量ですが、
噴き出してきたもののほとんどは太平洋に流れて行きました。
それぞれの県に降り積もったのはこれだけです。
福島県がまず一番多い。
それから栃木県、群馬県、さらに茨城県、宮城県、岩手県とずーーっと、続いていきます。
放出した放射能の全体から言えば、1割か2割です、日本の本土に降ってきたのは。
残りのほとんどのものは偏西風に乗って太平洋に飛んでいって、
遠くカナダの方まで汚染を広げたという事になりました。
これが先程地図で見ていただいた、東北地方関東地方の広大な地域にばら撒かれました。
いま皆さんの地域でも除染という事をやっているかもしれません。
表土を剥いだりして、それをフレコンバックというバックに入れて
どこかに積み上げているという事をやっている訳です。
栃木県でも群馬県でも、もちろん福島県でも。
そこいら中に膨大なフレコンバックの山が今できてしまっています。
でも、その中に含まれているセシウム137という放射能の量は一体どの位だとみなさんは思うでしょうか?
放出された放射能の量は先程もちょっと聞いていただきましたが、
日本政府がIAEAに報告した値で 1.5×10の16乗ベクレル。
で、これが広島原爆168発分なのですけれども、みなさんピンとはこないと思います。
でも10の16乗というのは、10を16回掛けていくという事を示しています。
10倍100倍1000倍1万倍というふうに、
16回掛けるという気の遠くなるような数字という事は分かって頂けると思います。
そのうち、陸地に降下したセシウム137の放射能の量は、約1割か2割にすぎません。
2.4×10の15乗ベクレル(沢野伸浩さん(星陵女子短期大学)の評価)
いずれにしてもこの陸地に降下したものも10の15乗ですから、
10を15回掛けるというほどの膨大な数字だという事はみなさんにも分かって頂けると思いますが、
一体こういう数字に表れてくるセシウム137というものの
放射性物質の重さはどれほどのものだとみなさんは思われるでしょうか?
日本政府がまき散らしたと言っているこの全体の量でも、4.7kgです。
東北地方、関東地方に降り積もったセシウム137の量だけでいうなら、
750gです。
たったそれだけのもの、
片手で簡単に持てるようなものが福島の原子力発電所から噴き出してきて、
東北地方関東地方にダーーーッってばら撒かれた。
そしたら、人々が住めないような土地が広大に広まってしまって、
いまその表土を剥いで次々とフレコンバックの山をつくっているという、そういう事になっている。
その正体がこれだった。
想像もできないほどの僅かな量です。
もちろん五感なんかでは決して感じられません。
私は後からもう一度聞いてもらいますが、
「放射能が目で見えればいいな」と思い続けています。
そうすれば皆さんは危険を感じられる。
大小の違いはあると思うけれども、たったこれだけが東北地方関東地方にばら撒かれてこのような状態になっている。
目にも見えなければ五感で感じつことも出来ません。
そういうものを今私たちは相手にして戦っているのです。